第92話 学院を守れ
「全員、避難!」
教師たちが叫ぶ。
生徒たちが講堂から逃げていく。
だが。
黒い鎖が床から伸びてくる。
「危ない!」
俺は剣を振る。
「断絶!」
鎖を切る。
「レオン!」
セレナが走ってくる。
「私は生徒たちを避難させる!」
「頼む!」
「任せて!」
セレナは騎士たちと共に動き始めた。
リーゼは魔法障壁を展開。
エリシアは精霊を呼ぶ。
「――精霊王の加護!」
巨大な光が学院を包む。
アリシアとノアは。
黒い魔物を相手にしていた。
「ノア!」
「分かってる!」
黒翼が広がる。
「――黒翼乱舞!」
無数の羽根が魔物を吹き飛ばす。
アリシアも剣を振る。
「――魔剣・月牙!」
二人の連携で。
魔物が次々と倒れていく。
俺はゼノスと向き合っていた。
「お前が学院を狙った理由は?」
「簡単ですよ」
ゼノスが答える。
「この学院の地下には――」
「第四封印があります」
「……!」
俺は気づいた。
第五封印は王都地下。
第三封印は南の大森林。
そして。
学院の地下には第四封印。
「じゃあ」
俺は剣を構える。
「お前は封印を壊すために?」
「正解です」
ゼノスが笑う。
「ですが」
「あなたがここへ来ることも計画通り」
「俺を?」
「ええ」
「あなたが来れば――」
ゼノスが指を鳴らした。
――ズン。
学院地下から。
巨大な魔力が噴き上がった。
「あなた自身が封印を破壊する」
「……何?」
俺は驚く。
「神剣の力は、封印と同じ系統です」
「あなたが本気で戦えば」
「第四封印は耐えられない」
ゼノスが笑う。
「だから――」
「力を出せないでしょう?」
俺は黙った。
確かに。
俺が全力を出せば。
学院ごと壊す可能性がある。
ゼノスは。
それを知っている。
「……なるほど」
俺は剣を構え直す。
「だったら」
「力を出さずに勝つ」
ゼノスの笑みが消えた。
「……本当に」
「面白い人ですね」
二人の姿が。
同時に消えた。




