第87話 断ち切る剣
「――断絶!」
神剣を振る。
ノアの身体から。
黒い鎖のようなものが飛び出した。
「これか!」
俺はさらに斬る。
一本。
二本。
三本。
「ぐああああっ!」
ノアが苦しむ。
「もう少し!」
「レオン!」
リーゼが叫ぶ。
「その力、危険じゃないの!?」
「大丈夫!」
俺は集中する。
黒い鎖は。
ノアの魂そのものへ繋がっている。
普通なら切れない。
だが。
アストラ・ゼロなら。
「――切れる!」
一閃。
――ズバァン!!
黒い鎖が。
完全に消滅した。
ノアが地面へ落ちる。
「……」
「ノア!」
俺が駆け寄る。
ノアは。
ゆっくり目を開けた。
「……俺」
「助かった?」
「ああ」
俺は笑う。
「良かったな」
ノアはしばらく黙っていた。
そして。
「……お前」
「ん?」
「馬鹿だろ」
「よく言われる」
「普通、敵を助けるか?」
「困ってるなら助ける」
ノアは。
初めて笑った。
「……変な奴」
その時。
黒い魔力が空から降ってきた。
「――!」
俺は空を見る。
巨大な黒い魔法陣。
そこから。
女性の声が響く。
『器を奪われたか』
「……神喰らい?」
『違う』
声が笑う。
『私は、その使徒』
「また使徒か」
魔法陣から。
リリスが現れた。
「久しぶりですね」
「リリス……!」
ノアが立ち上がる。
「お前が俺を操っていたのか」
「ええ」
「……許さない」
ノアの黒翼が広がる。
リリスが笑う。
「あなた一人では無理ですよ」
俺はノアの隣へ立つ。
「一人じゃない」
ノアが俺を見る。
俺は笑う。
「仲間だろ?」
「……」
ノアは少し驚いて。
「……ああ」
翼を広げた。
「そうだな」
俺とノア。
二人の器が。
並んで立った。
リリスの表情から。
初めて笑みが消えた。
「……二人の器が共鳴している?」
「これは――」
リリスが後退する。
「想定外です」
俺は剣を構える。
「逃がさない」
リリスは。
小さく笑った。
「いいえ」
「今日は戦いません」
「何?」
「伝言です」
「誰から?」
リリスは。
空を指した。
「神喰らいから」
そして。
一言。
「――学院で待っています」
魔法陣が消えた。
俺たちは。
顔を見合わせた。




