第83話 王都を襲った神災
神喰らいが消えた。
だが。
王都は無事ではなかった。
街の一部は破壊され。
城壁には大きな亀裂が走っている。
多くの建物も崩れていた。
それでも。
死者はほとんどいなかった。
俺たちが結界を張ったおかげだ。
「レオン!」
城壁へ降りると。
セレナが駆け寄ってきた。
「怪我は?」
「ないよ」
「本当に?」
「うん」
セレナは俺の腕を掴む。
「……よかった」
その顔を見て。
俺は少し照れた。
「セレナも無事でよかった」
「……うん」
すると。
「レオン!」
リーゼが飛び込んできた。
「無茶しすぎ!」
「ごめん」
「本当に心配したんだから!」
「分かったって」
「分かってない!」
エリシアもやってくる。
「ですが……」
彼女は少し微笑む。
「戻ってきてくれて、本当によかったです」
アリシアは少し離れた場所から俺を見る。
「……」
「アリシア?」
「……私も」
「え?」
「心配した」
小さな声だった。
「ありがとう」
アリシアは顔を逸らした。
「別に」
アクアが笑う。
「みんなレオンのこと大好きだね!」
「アクア!」
全員が一斉に赤くなった。
「……?」
アクアだけが不思議そうに首を傾げる。
その日の夜。
俺たちは王城に集まった。
国王アルフォンスが言った。
「今回の事件を正式に――」
「神災と認定する」
「神災……」
俺は呟く。
「はい」
国王は真剣な表情だった。
「これまでの魔族の侵攻とは、明らかに次元が違います」
そして。
一枚の古文書が机に置かれた。
「これは千年前の記録です」
そこには。
巨大な赤い瞳が描かれていた。
「これが……神喰らい?」
「はい」
さらに。
その横には。
一人の少年の姿が描かれていた。
「……これ」
俺は固まった。
黒髪。
黒い瞳。
そして。
俺と同じ顔。
「……俺?」
国王も答えを失っている。
「記録によれば」
「千年前、神喰らいと戦った英雄が存在した」
「その名は――」
古文書の文字が。
一部だけ読めた。
レオン・アークライト。
「……」
部屋が静まり返る。
俺は。
ただ古文書を見つめていた。
「どういうことだよ……」
そして。
アクアが。
小さく呟いた。
「……やっぱり」
「え?」
「ぼく、知ってた」
アクアの瞳が。
淡く光った。




