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転生した俺は、全属性魔法と神剣を極めて異世界で無双する  作者: ななほし


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第81話 神喰らい、降臨

――ズズズズズズ……。


空が、震えていた。


いや。


震えているという表現では足りない。


まるで世界そのものが、何か巨大な存在に怯えているようだった。


王都の人々が空を見上げている。


「な、なんだ……あれ……」


「空が……割れてる……?」


「逃げろ!」


「魔物が来るぞ!」


街中で悲鳴が上がる。


俺は王城の屋上から、空を見上げていた。


巨大な黒い裂け目。


その向こう側にあるのは――。


赤い瞳。


たった一つの瞳なのに。


それだけで、身体が本能的に警告を発している。


――逃げろ。


――戦うな。


――あれは敵ではない。


敵という言葉では足りない。


あれは。


世界の外側にいる何かだ。


「レオン……」


隣にいたセレナが、俺の服を握った。


「……怖い」


「うん」


俺は正直に答えた。


「俺も怖い」


「え……?」


セレナが驚く。


俺は苦笑した。


「そりゃ怖いよ」


これまでの敵とは違う。


魔王でさえ、まだ理解できる存在だった。


でも。


あれは違う。


理解することすら難しい。


「でも」


俺はセレナを見る。


「だからって逃げるわけにはいかない」


セレナは少しだけ笑った。


「……レオンらしいね」


「そうかな?」


「うん」


その時。


空から声が響いた。


『――器よ』


王都中に響く声。


「……!」


俺はアストラを握った。


『我が力を受け入れよ』


『そうすれば――』


『この世界の苦しみから解放してやる』


「断る」


即答した。


『……なぜだ?』


「俺は、この世界が好きだからな」


『……』


「美味い飯もある」


リーゼが呆れた顔をする。


「そこ?」


「重要だろ」


「重要だけど……!」


俺は続ける。


「仲間もいる」


エリシアが微笑む。


「……はい」


「セレナもいる」


「……!」


セレナの顔が赤くなる。


「な、何で私だけ名前……」


アリシアが小さく呟く。


「……私もいる」


「もちろん」


「……ならいい」


アクアが俺の肩へ飛び乗る。


「ぼくも!」


「もちろん」


俺は笑う。


「だから――」


神剣を抜いた。


「世界を壊させるわけにはいかない」


赤い瞳が。


俺を見つめる。


『――愚かな器よ』


空間が震える。


『ならば試してやろう』


次の瞬間。


裂け目から。


巨大な黒い腕が伸びた。


「……!」


王都上空へ。


巨大な手が迫る。


「全員!」


俺は叫んだ。


「結界を張る!」


リーゼが杖を掲げる。


「《王都大結界》!」


エリシアも精霊を呼ぶ。


「精霊王よ!」


アリシアも剣を構える。


セレナは騎士たちへ叫ぶ。


「全員、住民を地下避難所へ!」


俺は空へ飛び出す。


そして。


神剣を構えた。


「――断絶!」


黒い腕と。


神剣が衝突する。


――ドォォォォン!!


世界が。


揺れた。


俺は歯を食いしばる。


「……重い!」


初めてだった。


アストラの斬撃が。


押し返される。


「これが……神喰らい……!」


赤い瞳が。


笑ったように見えた。


『――まだ弱いな』


「……!」


そして。


黒い腕が。


俺を掴もうと迫ってきた。


俺は剣を握り直す。


「なら――」


「もっと強くなるだけだ!」


その瞬間。


アストラが。


今までにない光を放った。


そして。


刀身に。


新たな文字が浮かび上がる。


――第五権能。


俺は目を見開いた。


「……第五権能?」


だが。


その力が何なのか。


俺にはまだ分からなかった。


そして神喰らいの声が響く。


『――そうか』


『お前も、まだ知らぬのか』


「何を……?」


『その剣の――』


赤い瞳が細くなる。


『本当の名前を』


――その瞬間。


黒い腕が。


再び俺へ襲いかかった。

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