78/143
第78話 怒り
「やめろ」
俺の声は。
自分でも驚くほど低かった。
クロウが笑う。
「どうする?」
「斬るか?」
「殺すか?」
「好きにすればいい」
俺は。
神剣を握る。
「……そうか」
アストラが。
今までにないほど強く輝いた。
「じゃあ」
俺は一歩。
踏み出す。
「俺は、お前を止める」
「来い!」
クロウが無数の黒槍を放つ。
俺は全部斬る。
右。
左。
上。
下。
一歩も止まらない。
「なぜだ!」
クロウが叫ぶ。
「なぜ、そこまで動ける!」
俺は答える。
「怒ってるからだ」
「……!」
「仲間を傷つけた」
「それだけで十分だ」
クロウが魔力を爆発させる。
「――《黒界崩壊》!」
地下遺跡が崩れる。
「レオン!」
リーゼが叫ぶ。
「みんなはセレナを連れて逃げて!」
「でも!」
「早く!」
エリシアが頷く。
「行きましょう!」
俺はクロウと向き合う。
「二人だけになったな」
「……」
「アクアを狙う理由」
俺は聞く。
「神核だからか?」
クロウが笑う。
「それだけではない」
「では何だ」
「神核は――」
クロウが告げる。
「神喰らいを、この世界へ固定するための鍵」
「……!」
「そしてお前は」
クロウの目が赤く光る。
「その鍵を動かすための――」
「器だ」
その瞬間。
俺の胸の奥で。
何かが。
目を覚ました。




