第74話 俺の中に眠る力
「本当の力……?」
俺はアストラを見る。
すると。
神剣が震えた。
《警告》
《深層権能への接続を確認》
「深層権能?」
リリスが驚く。
「まさか……」
「何を知ってる?」
「……」
リリスは初めて動揺した。
「まだ目覚めていないはず」
「なら」
俺は剣を握る。
「目覚めさせる」
魔力を集中する。
だが。
アストラから声が響く。
《危険》
《使用すれば周囲の世界法則に干渉》
「……」
俺は止まる。
「世界を壊す可能性がある?」
《肯定》
俺は拳を握る。
「なら使わない」
リリスが笑う。
「……馬鹿ですね」
「何?」
「その力があれば、すべてを救えるのに」
「いらない」
俺は答える。
「仲間を守る力なら――」
「今ある力で十分だ」
アストラが輝く。
《所有者の意思を確認》
第三権能――守護。
俺の周囲に光が広がる。
「――守護領域」
リリスの虚無が押し返される。
「そんな……!」
「力は」
俺は一歩進む。
「使い方が大事なんだろ?」
神剣を振る。
「――断絶」
虚無そのものを切る。
リリスが後退した。
「……ありえない」
「終わりだ」
だが。
リリスは笑った。
「いいえ」
黒い魔法陣が開く。
「今日の目的は果たしました」
「何?」
「第三封印は――」
彼女の指先から黒い光が放たれる。
「もう壊れています」
神殿が。
大きく揺れた。
「……!」
リリスは消えた。
「レオン!」
地面が崩れ始める。
『急げ!』
水竜王が叫ぶ。
『ここは沈む!』
俺たちは。
崩壊する神殿から脱出した。




