第73話 神喰らいの使徒・リリス
「私の名前はリリス」
女性は優雅に頭を下げた。
「よろしくお願いします、勇者の器」
「その呼び方、嫌いなんだけど」
「ふふっ」
リリスは笑う。
「あなたは自分が何者か、まだ知らないのですね」
「知る必要もない」
俺は剣を構える。
「仲間を守れれば、それでいい」
「……」
リリスの笑顔が消えた。
「やはり」
「その精神性」
「神喰らいが欲しがるはずです」
「何?」
リリスが手を伸ばす。
黒い魔力が広がる。
「――《虚無の庭》」
周囲の空間が。
黒く染まった。
「……!」
魔法が消える。
音も消える。
光すら吸われる。
「何これ……!」
リーゼが驚く。
「魔法が使えない!」
エリシアも精霊を呼べない。
「精霊との繋がりが……!」
セレナが剣を構える。
「レオン!」
「大丈夫」
俺はアストラを見る。
「こいつは俺がやる」
「でも!」
「みんなを守って」
リリスが笑う。
「一人で私に勝てると?」
「やってみる」
俺は走った。
リリスも手を伸ばす。
――ドン!
黒い衝撃が俺を吹き飛ばす。
「ぐっ……!」
壁に叩きつけられる。
「レオン!」
俺は立ち上がる。
「……なるほど」
口元を拭う。
「強いな」
リリスが笑う。
「まだ終わりではありません」
彼女の瞳が赤く光る。
「さあ」
「あなたの中に眠る――」
「本当の力を見せてください」




