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第67話 魔王、王都へ
その日の夕方。
戦場が静かになった。
魔族軍が撤退したのだ。
「勝った……?」
リーゼが呟く。
「いや」
俺は空を見る。
「まだだ」
巨大な魔力。
山すら揺らすほどの力。
そして。
黒い魔法陣が王都上空に出現した。
――ズズズズズ……。
その中から。
一人の男が現れた。
黒い鎧。
巨大な角。
赤い瞳。
「……魔王」
アリシアが呟いた。
魔王グレイヴ。
本人が。
王都へやってきた。
国王が叫ぶ。
「全員、戦闘態勢!」
俺は前へ出る。
魔王が俺を見る。
「……お前がレオンか」
「そうだけど」
「神剣の担い手」
「何で知ってる?」
「知らぬ方がおかしい」
魔王の視線がアストラへ移る。
「その剣は――」
「千年前から我らを苦しめてきた」
俺は眉をひそめる。
「どういう意味?」
魔王は答えない。
代わりに。
アリシアを見る。
「アリシア」
「……父上」
「帰ってこい」
「嫌」
即答だった。
魔王の表情が険しくなる。
「なぜだ」
「私は……」
アリシアがレオンを見る。
仲間を見る。
そして。
「ここにいたい」
魔王はしばらく黙った。
そして。
「……そうか」
魔力が膨れ上がる。
「ならば」
俺は神剣を構える。
「相手になる」
魔王が笑った。
「面白い」
「来い」
そして。
魔王が拳を握った。
――王都の空が。
割れた。




