第37話 古代竜の贈り物
セレスティアは俺たちの前に巨大な頭を下ろした。
『勇者の器よ』
「俺のこと?」
『そうだ』
『お前には、この世界を変える力がある』
俺は困った。
「俺は普通に暮らしたいんだけど」
『……』
セレスティアが黙る。
リーゼが笑った。
「レオンらしい」
エリシアも頷く。
「本当にそうですね」
『ならば』
セレスティアが笑ったように見えた。
『その普通の暮らしを守ればよい』
そして。
セレスティアの口から小さな光が飛んできた。
俺の手に入る。
「これは?」
『竜王の鱗』
「……もらっていいの?」
『我を救った礼だ』
鑑定する。
【竜王の鱗】
効果:あらゆる魔法耐性
「すごい……」
リーゼが目を輝かせる。
「これ、魔道具にしたらすごいことになるわよ!」
「じゃあ使ってみる?」
「いいの!?」
リーゼが嬉しそうに笑った。
セレスティアが続ける。
『そして、もう一つ』
銀色の光がエリシアへ。
『精霊王の祝福』
エリシアの身体が光に包まれる。
「これは……」
『お前は精霊に愛されている』
エリシアが目を閉じる。
「ありがとうございます」
最後に。
アクアへ。
『そして――』
セレスティアがアクアを見る。
『お前はまだ、己の正体を知らぬ』
アクアが震える。
「……ぼく?」
『いずれ思い出す』
『その時、お前は――』
セレスティアが言葉を止めた。
『いや』
『今はまだ知らぬ方がよい』
俺はアクアを守るように抱き上げた。
「分かった」
『レオン』
セレスティアが俺を見る。
『王都へ戻れ』
「どうして?」
『お前の運命を動かす者が――』
『もう王都に集まり始めている』




