第20話 王城への招待状
翌朝。
冒険者ギルドに一人の騎士がやってきた。
銀色の鎧。
胸には王家の紋章。
「レオン・アークライトはいるか?」
ギルド内がざわつく。
俺は手を上げた。
「俺です」
騎士が近づいてくる。
「王家からの命令だ」
差し出されたのは。
真紅の封蝋がされた手紙。
「国王陛下がお会いになられる」
「……俺が?」
「そうだ」
俺は手紙を見る。
エリシアが横から覗き込んだ。
「王城ですか」
「うん」
「危険では?」
「たぶん大丈夫」
「またその言葉ですか……」
そこへ。
セレナが現れた。
「レオン!」
「セレナ」
セレナは騎士を見る。
「父上からの呼び出しですね」
「うん」
「私も行きます」
騎士が驚く。
「殿下、それは――」
「私が呼んだと思ってください」
「しかし……」
セレナが微笑む。
「彼は私の友人です」
騎士はそれ以上何も言えなかった。
こうして俺は。
エリシアとセレナと共に。
王城へ向かうことになった。
だが。
その頃。
王都から遠く離れた魔王城では――
ヴァルガスが跪いていた。
その前にいるのは。
魔王。
だが。
玉座に座る魔王は。
どこか苦しそうな顔をしていた。
「ヴァルガス」
「はっ」
「……あの少年を見たか?」
「はい」
「ならば分かったはずだ」
魔王は拳を握る。
「――あれは勇者ではない」
ヴァルガスが顔を上げる。
「では……何者なのです?」
魔王は答えなかった。
ただ。
震える声で呟いた。
「……あれは」
「かつて世界を救った者ではない」
「――世界そのものを終わらせる可能性を持った存在だ」
そして。
魔王城の地下深く。
誰にも知られていない場所で。
巨大な黒い瞳が開いた。
『――ようやく見つけた』
『我が器……』
その声は。
魔王にも。
ヴァルガスにも。
届いていなかった。
だが。
神剣アストラだけが。
その声を聞いていた。
――そして。
アストラは初めて。
恐怖した。




