第19話 王女セレナの決意
王都襲撃から数時間。
魔族の魔物は全て撃退された。
俺はギルドに戻った。
すると。
「レオン!」
セレナが駆け寄ってきた。
「大丈夫!?」
「うん。怪我一つないよ」
「本当に?」
「本当に」
セレナは俺の身体を確認する。
腕。
肩。
胸。
顔。
そして。
「……よかった」
安心したように微笑んだ。
その瞬間。
セレナの瞳から涙が落ちた。
「え?」
「怖かった……」
「セレナ?」
「レオンが戻ってこなかったら……って」
俺は何も言えなかった。
セレナは俯いた。
「私……王女なのに」
「……」
「何もできなかった」
彼女は小さく拳を握る。
「レオンが戦っている間、私はただ見ているしかなかった」
「それは違うよ」
「え?」
俺は笑った。
「セレナは王女だから、王都の人たちを守ることができる」
「でも……」
「俺は戦うことができる」
俺は自分の手を見る。
「だから、それぞれできることが違うだけだよ」
セレナは顔を上げた。
「……レオン」
「それに」
俺は笑う。
「俺はセレナを守るって約束したから」
「……!」
セレナの顔が真っ赤になった。
「や、約束……」
「うん」
「……絶対?」
「絶対」
セレナは嬉しそうに笑った。
「なら私も……」
小さな声。
「私も、レオンを守れるようになります」
「え?」
「王女としてだけじゃない」
セレナは俺を見る。
「いつか、あなたの隣に立てるような人になります」
俺は笑った。
「楽しみにしてる」
その様子を少し離れた場所から見ていたエリシア。
「…………」
「エリシア?」
「なんでもありません」
そう言いながら。
なぜか少し頬を膨らませていた。
「……?」
俺には、その意味が分からなかった。
その夜。
王城では緊急会議が開かれていた。
「六魔将が王都に現れた」
「しかも目的は、あの少年……」
「レオン・アークライト」
そして。
国王は静かに口を開いた。
「――あの少年を王城へ呼べ」
この日。
レオンの運命は。
ただの冒険者から――
王国そのものを巻き込む存在へと変わり始めた。




