108/144
第108話 怒り
「レオン……」
セレナが震える。
俺は静かに剣を構えた。
「フィリア」
「はい?」
「今の言葉……取り消せ」
「嫌です」
「そうか」
俺の周囲の空気が変わった。
リーゼが息を呑む。
「レオン……魔力が……」
「違う」
エリシアが呟いた。
「魔力ではありません」
アストラ・ゼロが光る。
《感情反応》
《怒り》
ネメシスも震える。
『破壊するか?』
「……いや」
俺は首を振った。
「俺はもう、世界を壊す力は使わない」
そして一歩踏み出す。
「仲間を守る」
「それだけだ」
――ドン!
一瞬でフィリアの前に移動した。
「え……?」
「遅い」
「――っ!」
俺は彼女の魔法陣だけを斬った。
「な……」
「人は斬らない」
フィリアが後退する。
「あなた……本当に変わったのですね」
「何?」
「千年前のあなたは――もっと怖かった」
「……」
フィリアは笑った。
「だからこそ、神喰らい様はあなたを欲しがる」
「俺を?」
「ええ」
その瞬間、フィリアの背後に巨大な目が開いた。
『――レオン』
世界が震えた。
『我が器よ』
俺は剣を握る。
「俺はお前の器じゃない」
『ならば――』
巨大な腕がこちらへ伸びる。
『奪うまでだ』
俺はアストラ・ゼロを構えた。
「来い」




