第104話 もう一つの神剣
「神剣が……もう一本?」
リーゼが驚く。
俺は黒い剣を見つめる。
「アストラ・ゼロと同じ存在なのか?」
《否定》
アストラが答えた。
《あれは私と対になる存在》
「対……?」
黒い剣が笑った。
『俺の名は――ネメシス』
「ネメシス……」
『破壊を司る剣だ』
アストラ・ゼロが言う。
《ネメシスは、世界を終わらせるために存在する》
「なら……」
俺は剣に手を伸ばした。
「なぜ千年前に俺が持っていた?」
リゼリアが答えた。
「あなたが必要だったからよ」
「神喰らいを倒すために?」
「違う」
リゼリアの瞳が赤く光る。
「神喰らいを――」
「殺すために世界そのものを壊すため」
「……!」
俺は手を止めた。
「千年前の俺は、そんなことを?」
「そう」
「でも、最後にあなたは拒んだ」
リゼリアは悲しそうに笑った。
「だから私は……あなたを裏切った」
「違う」
俺は首を振る。
「それは裏切りじゃない」
「……え?」
「世界を守るために俺を止めたんだろ?」
リゼリアの目から、一粒の涙が落ちた。
「……馬鹿」
「え?」
「千年前も……あなたはそうだった」
その瞬間。
黒い剣ネメシスが浮かび上がる。
『話は終わりだ』
『俺を手に取れ』
「断る」
『……何?』
「俺にはアストラがある」
『ならば――』
ネメシスから黒い光が放たれた。
『力で奪う!』




