第102話 六人目の裏切り者
「六人目の……仲間?」
俺は少女を睨んだ。
黒い翼。
赤く光る瞳。
そして、俺の名前を知っている。
「千年前……お前は俺の仲間だったのか?」
少女は静かに頷いた。
「そうよ」
「名前は?」
「……リゼリア」
その名前を聞いた瞬間――。
頭の中に映像が流れ込んできた。
巨大な戦場。
燃え上がる大地。
俺の隣に立つ五人。
そして、その少し後ろにいる――銀髪の少女。
「……リゼリア?」
「思い出した?」
「いや……」
頭を押さえる。
「まだ全部は……」
するとアストラ・ゼロが震えた。
《警告》
《過去の記録と現在の情報に矛盾があります》
「矛盾?」
リゼリアが笑う。
「当然よ」
そして彼女は言った。
「だって――」
「私は、あなたを裏切ったんだから」
「……!」
講堂の空気が凍りついた。
◇◇◇
「全員、下がって!」
セレナが叫ぶ。
リーゼたちが俺の後ろに集まる。
リゼリアは攻撃してこない。
ただ俺を見ている。
「なぜ裏切った?」
「……それを知りたいのは、私も同じ」
「どういう意味だ?」
「千年前の私は、誰かに操られていた」
その言葉に、アクアが震えた。
「……神喰らい」
リゼリアの表情が変わる。
「あなた……まだ生きていたのね」
「アクアを知っているのか?」
「ええ」
リゼリアは目を閉じた。
「そして私は――あなたを殺そうとした」
俺は拳を握る。
「だから俺は、お前を斬った」
「違う」
リゼリアが首を振った。
「あなたは……私を殺せなかった」
「……え?」
その瞬間。
学院地下から黒い魔力が噴き上がった。
リゼリアの顔から笑みが消える。
「来るわ」
「何が?」
「神喰らいの――」
「本体の一部よ」
――ゴゴゴゴゴッ!
学院が大きく揺れた。
そして地下から巨大な目が開いた。
「……レオン」
アクアが震える。
「逃げて……」
俺は神剣を抜いた。
「嫌だ」
「俺は――仲間を置いて逃げたりしない」




