第100話 十二歳、王立魔法学院へ
あれから。
一年。
俺は。
十二歳になった。
王都を出て。
世界各地の異変を調査して。
いくつもの魔物を倒して。
いくつもの遺跡を探索した。
そして。
俺たちは再び。
王都へ戻ってきた。
「……懐かしい」
学院の門を見上げる。
隣には。
リーゼ。
エリシア。
セレナ。
アリシア。
ノア。
そして。
アクア。
「ここから」
リーゼが笑う。
「本当の学院生活ね」
「そうだな」
俺は笑った。
だが。
学院の門をくぐった瞬間。
アストラ・ゼロが震える。
《警告》
「また?」
《第四封印跡地より》
《未知の反応》
俺は立ち止まる。
「……学院に何かいる」
その時。
背後から声がした。
「レオン!」
振り返る。
金髪の少女。
「久しぶり!」
「……?」
誰だ?
「忘れた?」
少女は笑う。
「昔、王都で会ったでしょう?」
「えっと……」
少女が頬を膨らませる。
「ひどい!」
リーゼが近づいてくる。
「誰?」
セレナも。
「……」
なぜか。
二人とも少し警戒している。
少女は笑う。
「私は――」
その瞬間。
学院の鐘が鳴った。
――ゴォォォン。
そして。
校舎の最上階。
赤い瞳が。
俺を見ていた。
「……!」
アストラ・ゼロが震える。
《敵性存在を確認》
「誰だ?」
少女が。
小さく笑った。
「それは――」
「私にも分からない」
「でも」
少女の瞳が。
一瞬だけ赤く光る。
「あなたのことを」
「ずっと待っていたみたい」
俺は。
神剣へ手を伸ばす。
だが。
少女は笑った。
「安心して」
「今日は戦わない」
「だって――」
彼女は。
学院の制服を整える。
「今日から私たち――」
「同じクラスだから」
「……は?」
俺は固まった。
リーゼの顔が引きつる。
セレナも驚いている。
アリシアは無言。
ノアは笑いをこらえている。
アクアだけが。
「新しい仲間?」
と嬉しそうに言った。
俺は。
深いため息をついた。
「……学院生活」
「絶対、普通じゃ終わらないだろ」
その瞬間。
学院の地下深く。
誰にも聞こえない声が響いた。
『――やっと来た』
『十二歳の器』
『今度こそ――』
『目覚めてもらうぞ』
そして。
王立魔法学院の地下で。
新たな封印が。
ゆっくりと。
開き始めた。




