~掃除と森の仲間たち~
主人公は掃除を始めます。
荒れた部屋は、綺麗になるでしょうか。
けれど、不安になったところで
部屋が綺麗になるわけではない。
私は再び片付けに取り掛かる。
床に散らばった本を棚へ戻し、
使い終わったカップをキッチンにまとめる。
何に使うのかわからない瓶は
とりあえず、机の上に集める。
綺麗な石や見たことのない植物。
「なんだろ、これ」
捨てていいものなのかも分からないので
一ヶ所にまとめておく。
無言でひたすら片付ける。
ソファでは女性が相変わらず気持ちよさそうに眠っていた。
これだけ音を立てているのに、
一度も起きる気配はない。
そんなことを考えながら続けていると、
いつの間にか窓の外は赤く染まっていた。
「はぁ……終わった」
思わずその場に座り込む。
まだ完璧ではない。
けれど足の踏み場どころか、
部屋らしい姿には戻ったと思う。
達成感と疲労でぼんやりしていると、
扉がゆっくりと開いた。
振り返ると、扉の向こうに黒猫が座っていた。
───やあ。
───様子を見に来たよ。
そう言いながら部屋の中へ視線を向けた黒猫は、
───え?
固まった。
───これキミがやったの?
「うん」
───昨日別れたあとから一日で?
「起きてからだから、正確には朝からだね」
黒猫は目を丸くした。
「でも、まだ完璧じゃないよ」
───いや、昨日の状態に比べたら十分すぎるね。
呆れたように黒猫は言った。
すると、開いたままの扉の向こうから小さな声が聞こえた。
───ほんとだ!
───綺麗になってる!
───床が見える!
次々と顔を覗かせたのは
最初の森で出会った動物達だった。
驚いている私とは反対に、
動物達は部屋の方を見て騒いでいる。
───すごい!
───歩ける!
───前は入れもしなかったよね
───ほらね。
黒猫はどこか得意げにそう言った。
「まだちゃんと終わってないけど……」
───十分だよ。
───うんうん。
───前より百倍いい。
動物達は目を輝かせながら何度も頷いている。
───満足した?
黒猫が呆れたように言った。
───なら本題に入ろうか。
───キミ達、持ってきたんだろ?
その言葉に動物達が一斉に頷く。
───うん!
───ご飯!
───いっぱい持ってきたよ!
動物達が次々と前へ出てくる。
木の実や果物。
見たことのない野菜のようなものまで抱えていた。
その中には肉らしきものまであった。
「このお肉はキミ達の仲間じゃ……」
そう言いかけると動物達は大笑いしている。
───ここは魔力が多いから魔物がいるんだ
そう黒猫が説明してくれた。
───ボク達は仲間を食べたりしないよ。
黒猫の説明でほっと胸を撫で下ろした。
「魔物なんているんだね」
───うん。
───ボク達の食料だよ。
横から兎がそう言った。
「いつも、食べるの?」
───もちろん。
そうなのか、と納得する。
せっかく持ってきてくれた食料だ。
「とりあえずご飯にしよっか」
ある程度片付いたキッチンへ食材を運ぶ。
動物達も嬉しそうについてきた。
───何作るの?
───何作るの?
───何作るの?
気づけば周りを囲まれている。
「えっと……」
持ってきてもらった食材を見下ろす。
見たことのないものばかりだ。
「まずは、何が食べられるのか教えてくれる?」
掃除も終わり、やっと部屋らしくなりましたね。
そして集まってきた森の仲間たち。
次回は初めての食事です。




