~森の最深部で~
黒猫に導かれるように辿り着いた森の最深部。
そこには、家がひとつ
黒猫について行くと森の最深部へ到着した。
花が咲き乱れ、綺麗な川が流れている。
そして中央にひとつの家が建っていた。
黒猫は迷いもなく先へ進む。
家の前に着くと扉がひとりでに開いた。
部屋は物で溢れかえって散らかっている。
ソファには、一際綺麗な女性がで眠っていた。
黒猫はため息をつくと
───起きて
呆れたように声をかけた。
差し込む日差しに、女性は顔をしかめている。
そして、欠伸をひとつしたあと
「こんな時間に、なぁに?」
固まっていると、黒猫が一言
───この子の面倒見てやってよ。
「んー?」
女性は不思議そうに黒猫の方へ目線を向けた。
「その子、ひとりでも生きていけるんじゃない?」
私を少しだけ見つめた後、のんびりとした口調で言った。
私はこの世界のことについてなにも知らない。
今来たばかりだ。
前の身体はどうなったのかも分からない。
もしかしたら……
この人のそばにいれば…
この世界のことを少しでも知れるのではと思った。
気づけば
「……教えてください」
そんな言葉が飛び出ていた。
ただ、それだけでは足りないと
「この世界のこと……何も知らないんです」
俯きながら、声も小さくなっていた。
目の前の女性は面倒そうに目を細め
「私、教えられることなんてないけど」
そう言って、また欠伸をした。
少しの沈黙の後、
「…あ」
「……あなた、家事できる?」
“できる”と答えようとした。
が、
こんな姿ではできそうにない。
答えに詰まっていると、女性は続けて
「人間、なれるわよね?」
この世界に来て何度目かの驚きだった。
私は人間になれるのか?
どこからどう見ても私は白猫なのに。
「…どうしたらなれますか?」
そう問いかけると、
女性はゆっくりと頭に手を置いた。
少し冷たい手だがなぜか心地よかった。
見上げると女性は目を瞑り、
「まだ、魔力を感じられていないだけね」
「私の魔力を少し流してあげる。それを感じとって」
“魔力”
聞き馴染みのない言葉を頭の中で繰り返しながら、
私もそっと目を閉じた。
すると、体の奥からなにかが流れる感覚がした。
「…その感覚、掴んで。」
「そして、なりたい姿を思い浮かべてみて。」
私は、
“人間になりたい”
そう願った。
その瞬間、
光に包まれた。
女性はゆっくりと手を離し、
「あら、初めてにしては上出来ね。」
そう言うと笑みを浮かべた。
手がある。足がある。
数時間ぶりか。数日ぶりか。
久しぶりの人の身体だ。
「あら、可愛い子ね」
そんな言葉が耳に入らないほど驚きだった。
「その姿なら家事、できるかしら?」
驚きと喜びで首が取れるほど頷いた。
「そのままってのも、なんかね」
女性が指を鳴らすと……
私の周りを漂っていた小さな光が身体を包み込み
服へと変わった。。
ある“女性”と出会いましたね。
5話目で主人公は、この世界について知ることはできるのでしょうか?




