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第1話 「初めての人間よ!」

ここは九州の南にある街


朝日が照りつける海沿いの街。


潮の匂いが風に混じる中、今日もひとりの男子高校生が働いていた。


「生ビール二丁お待ちー!!」


蛇丸の声が、店内に元気よく響く。


昼前だというのに、店はすでに満席だった。

観光客に地元民、いろんな客が入り混じっている。


「学校はどうだい?楽しいかい?」


カウンター席の常連客が、にやにやしながら聞いてくる。


「はい!めちゃくちゃ楽しいです!」


蛇丸は笑顔で答えた。


「こらー!お客さんと話してないでキビキビ働きなさい!!」


奥から店長・和春の怒鳴り声が飛んでくる。


「すんませーん」


軽く頭を下げて、蛇丸はまた動き出す。


――いつも通りの一日。


少し忙しくて、少し騒がしくて、でも退屈ではない日常。


そのはずだった。


「人間共!平伏すがいいわ!」


そこには水色の長い髪に、金色の瞳。

細く裂けた蛇のような瞳孔が、不気味に光っている。


そして何より目立つのは、腰のあたりから伸びる大きな蛇の尻尾だった。


勢いよくドアが開いた。


店内が、一瞬で静まり返る。


「ふふふ……怖気づくのも無理はないわね。そう、私は蛇の王ネ――」


「ちょっと来い」


蛇丸は少女の腕を掴み、そのまま店の裏へ引きずっていった。


「ちょ、待ちなさい人間!まだ決め台詞が――!」


裏口のドアが閉まる。


「……なんだよ、いきなり」


「なんだとは失礼ね」


少女は腕を組み、堂々と名乗った。


「私は蛇の王ネーク。この星を支配するために来たわ」


「……」


蛇丸は一瞬だけ考える。


(面倒くさいやつ来たな……)


「なんでよりによってこんな小さい店なんだよ」


「目をつぶって適当に選んだらここだったわ」


「雑すぎるだろ」


その時、扉が開いた。


「いつまでその子に構ってるの?早く仕事して!」


和春が顔を出す。


「あっ、はーい!……お前はとりあえず外で待ってろ」


「私に命令?……まあいいわ。今日は特別に許してあげる」


「なんで上からなんだよ」


蛇丸は店内に戻る。


――が。


「……なるほど」


聞き覚えのある声がした。


振り向くと、ネークが普通に店の中に立っていた。


「思ったより面白そうじゃない」


「なんで入ってきてんだよ」


「支配する価値はありそうね」


「働いてみる?」


和春が軽く言った。


一瞬の沈黙。


「いいわね」


ネークは即答した。


「は?」


「まずは内部から支配する。それが最も効率的よ」


「絶対違う理由だろ」


――数分後。


「はぁ……はぁ……」


店内は、静かだった。


いや、正確には――壊滅していた。


割れた皿。

倒れたテーブル。

なぜかヒビの入った壁。


「……お前、すごいな」


蛇丸が呟く。


「当然よ」


ネークは誇らしげに胸を張る。


「この程度、私にかかれば――」


「全部壊してるんだよ」


「え?」


和春が笑顔で近づいてくる。


「さて……どう落とし前つけてもらおうかしら?」


「……」


「その髪の蛇、売る?」


「それだけはやめてください!!」


――こうして、最強の蛇による地球侵略は、


なぜか飲食店を半壊させるところから始まった。

第1話を読んでくださりありがとうございます!

ネークと蛇丸の、少し変わった日常がここから始まっていきます。

鹿児島のゆるい空気感や、キャラクター同士の掛け合いを楽しんでもらえたら嬉しいです!

これから少しずつ賑やかになっていく予定なので、ぜひよろしくお願いします!


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