↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
97/157

97話

読んでいただきありがとうございます!

ブックマークとページ下部の評価を何卒何卒!

創作のモチベーションにつながっております!

よろしくおねがいいたいます!








 ――まずい。まずい。まずい。まずい。まずい。


 冷や汗が止まらない。


 魔力は、ほぼ底をついている。


「ふふふふふ! こんなに楽しいのは、何年ぶりかしら! 五十年? 百年? あの斧の中にいたから、わかんないわね! あはははははは!」


 ――どうする。


「まだ遊べるわよね? 大丈夫よね?」


 先ほどの攻撃で、体はすでに満身創痍だった。累纏・雷神の副作用で踏み込んだ足はほとんど力が入らず、蹴りを入れた脛や地面にやつを叩きつけた手の骨も、おそらく折れている。


「いくわよおおおおお!」


 悪魔が盛大に土を飛び散らせて、飛び出てきた。


「うぐっ!」


 回避するために地を蹴ると、ふくらはぎに激痛が走る。


「あはははは! 待ってよおおお!」


 累纏・雷神の速度にすら、容易く食らいついてくる。


「これはどう?」


 悪魔は、両手で貫手を嵐のように繰り出した。


 俺は、累纏・雷神によって爆発的に強化された反射神経で――そのすべてを、逸らす。


 受け止めるたびに、手の骨や筋肉が――過剰な強化の負荷に耐えきれず、壊れていく。


「いいわねええええ!」


 嵐は、止まらない。


 手刀、裏拳、回し蹴り、踵落とし――さまざまな攻撃が、次々と襲いかかる。


「っく!」


 いなす。逸らす。避ける。受ける。


 体の至るところが、悲鳴をあげていた。


 呼吸をする暇すら、ない。


 ――苦しい。


「はいはいはいはいはい!」


 相手の攻撃は、休まることがない。それどころか、一層苛烈になっていく。


 それは、必然だった。


 ミスとは言えない程度の、わずかな判断の誤り。


 荒れ狂う攻撃の最中。


 襲いくる、右手の貫手。


 俺は、左に逸らした。


 悪魔は、その瞬間にニヤリと嗤った。


 そらされた右手の力を、そのまま次の蹴りへの連携に繋げてくる。


 ――右側に、逸らすべきだった。


 そう思った時にはもう、右脇腹に強烈な蹴りが叩き込まれていた。


 俺の体は吹き飛び、ピンポン玉のように何度も地面をバウンドする。


 上下の感覚さえ、わからなくなった。


 累纏・雷神をかろうじて保っていなければ、確実に死んでいただろう。


 しかし、もう魔力の底は尽きていた。


 累纏が、完全に切れる。


 横たわったまま、途切れそうな意識の中で――熊のような巨体が、目の前に降り立つのが見えた。


「あなた、すごいわ! ここまで楽しめるなんて。できれば、もう少し遊びたいのだけれど……どう?」


 もはや、口を動かす元気すらない。


「そう。残念ね。……でも、あなたのことは一生忘れないわ」





 ――くそ。くそ。くそ。悔しい。


 今世では、もっと楽しい人生を送りたかった。


 父さん。母さん。ごめん。


 頑張ったのに。


 僕は、またダメだったよ。


 もう、生まれてこないほうがいいんだよ、きっと。


 来世はどうか、人間以外に生まれますように。





「ああ、あとね。いいこと教えてあげるわ」


 悪魔は俺の頬を撫でながら、愛おしそうに続ける。


「天国なんてないわよ。きゃはははははは」


 そうやって嗤って、俺の首筋を目がけて貫手を放った。


 俺はそれを、ぼんやりと眺めながら――知ってるよ。と心の中でつぶやいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
じーちゃん、早く➰ーー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。