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88/153

88話

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「なんだと!? もう一回言ってみろ!」


「は! 全体の損耗率は、五割です!」


 ――五割? 五割だと?


 この数年、かき集めてきた八百人。


 死をも恐れぬ戦士が、半数も死んだというのか。


 残るは、わずか四百人強。


 額に浮かんだ青筋が、今にもはち切れそうなほど、くっきりと浮かび上がっていた。


「ボブロン様。今回の略奪は、諦めた方がよろしいかと」


 手下の参謀が、恐る恐る――そう助言する。


「諦める!? 諦めてどうする!? この準備をするまでに、どれだけの時間がかかったと思っている!?」


 ボブロンは歯を食いしばりながら、斧を地面に叩きつけた。


 その一撃だけで、大きな穴ができる。


「次、その舐めた口を利いたら――お前から、八つ裂きにしてやる」


 参謀は冷や汗を垂らしながら、口をつぐんで引き下がった。


「皆、雑木林に入れ! 身を隠せ! ここにいれば、先の投擲の的になるかもしれん!」


 ボブロンには、一つの確信があった。


 船上から見た、あのひ弱な体つきで石を投げつけてくる姿。


 ――尋常じゃない。異様だ。


 異様なことには、大抵――魔法使いが、絡んでいる。


 その元凶さえ潰せば、後は――ただの村だ。


 そうしてボブロンは、その魔法使いの討伐を、心に誓った。



 ◆



 雑木林の中。


 結構な広さがあるため、四百名ほどの兵士がすっぽりと入っても、問題はなかった。


 だが、これだけ木々が生い茂っていると、数メートル離れただけで――敵か味方かの判別すら、つかなくなる。


 その時、後方から――悲鳴が上がった。


「今度は何だ!?」


 いい加減、苛立ちを抑えきれなくなったボブロンが、怒鳴るように叫ぶ。


「落とし穴です!」


「ところどころに、落とし穴が仕掛けられています!」


 ――落とし穴?


 そんな、子供騙しが……何のためだ?


 だが、ヴァイキングの一団は――他にも罠があるかもしれないと警戒し、進みを緩めていく。


 それこそが、エルの狙いであるとも知らずに。


 それは――唐突に、始まった。


 始まりは、誰かの場違いな一声だった。


「何だ、あれ? 綺麗だな」


 昼間だというのに、輝く何か。


 その身に、輝く炎をまとい――死すらも燃やし尽くすと言われる、伝説の鳥。


 つぶやいた男は、次の瞬間には――炭と化していた。


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― 新着の感想 ―
とても面白く、最新話まであっという間でした。 ありがちな意味の無い不殺もなく、納得感がある展開は自分好みでした。 期待を込めてブクマ、星5評価させていただきます。 これからも無理せず頑張ってくださ…
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