88話
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「なんだと!? もう一回言ってみろ!」
「は! 全体の損耗率は、五割です!」
――五割? 五割だと?
この数年、かき集めてきた八百人。
死をも恐れぬ戦士が、半数も死んだというのか。
残るは、わずか四百人強。
額に浮かんだ青筋が、今にもはち切れそうなほど、くっきりと浮かび上がっていた。
「ボブロン様。今回の略奪は、諦めた方がよろしいかと」
手下の参謀が、恐る恐る――そう助言する。
「諦める!? 諦めてどうする!? この準備をするまでに、どれだけの時間がかかったと思っている!?」
ボブロンは歯を食いしばりながら、斧を地面に叩きつけた。
その一撃だけで、大きな穴ができる。
「次、その舐めた口を利いたら――お前から、八つ裂きにしてやる」
参謀は冷や汗を垂らしながら、口をつぐんで引き下がった。
「皆、雑木林に入れ! 身を隠せ! ここにいれば、先の投擲の的になるかもしれん!」
ボブロンには、一つの確信があった。
船上から見た、あのひ弱な体つきで石を投げつけてくる姿。
――尋常じゃない。異様だ。
異様なことには、大抵――魔法使いが、絡んでいる。
その元凶さえ潰せば、後は――ただの村だ。
そうしてボブロンは、その魔法使いの討伐を、心に誓った。
◆
雑木林の中。
結構な広さがあるため、四百名ほどの兵士がすっぽりと入っても、問題はなかった。
だが、これだけ木々が生い茂っていると、数メートル離れただけで――敵か味方かの判別すら、つかなくなる。
その時、後方から――悲鳴が上がった。
「今度は何だ!?」
いい加減、苛立ちを抑えきれなくなったボブロンが、怒鳴るように叫ぶ。
「落とし穴です!」
「ところどころに、落とし穴が仕掛けられています!」
――落とし穴?
そんな、子供騙しが……何のためだ?
だが、ヴァイキングの一団は――他にも罠があるかもしれないと警戒し、進みを緩めていく。
それこそが、エルの狙いであるとも知らずに。
それは――唐突に、始まった。
始まりは、誰かの場違いな一声だった。
「何だ、あれ? 綺麗だな」
昼間だというのに、輝く何か。
その身に、輝く炎をまとい――死すらも燃やし尽くすと言われる、伝説の鳥。
つぶやいた男は、次の瞬間には――炭と化していた。




