82話
冬が近づき、ついに・・・・・・
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※エル達の村の名前がこれまで出てきてなかったのですが、
アルンヴィーク村という名前です。今回初出ですが過去話のどこかで出すように修正します。
三本角の兜を被ったボブロンは、赤黒く輝く巨大斧の柄を、指先でそっと撫でながら――今回の獲物を、眺めていた。
比較的、穏やかな波の上。
二十六隻からなる、ヴァイキングの船団。
それぞれの帆船には約30人の戦士が乗船している。
その中でも一際目立つ――竜の船首を掲げた、獰猛な印象を抱かせる船に、ボブロンはいた。
「あそこが――例の、アルンヴィーク村か」
「はい、そうです。――やつらとも、あそこで落ち合う手筈になっておりやす」
ボブロンは、静かに頷いた。
まだ、村は目に小さく映る程度。上陸まで、まだしばらくの時間がかかるだろう。
「皆に伝えろ。目標まで、もうすぐだとな。自分でぶんどった獲物については――好きにしていいとも」
「いいんですかい? 結構大きな村みてぇですし、女子供は高く売れると思いやすが」
「いい。中枢にたどり着くまでにも、十分な稼ぎは出るだろうさ。それより――戦士たちの士気の方が、よほど大事だ」
「へっへ。さすが頭目。わかってらっしゃる」
手下は、下卑た笑みを浮かべながら、船団全体へその言葉を伝えに走っていく。
やがて、各船から――地鳴りのような歓声が沸き起こった。
「ボブロン様万歳ッ!!」
「一生、ついていきやすぜ!!」
ボブロンは、この村になんの価値も見出していなかった。
中枢へ辿り着き、貴族も金持ちも根絶やしにして、大金を稼ぐ。
いや――あわよくば、そのまま。国そのものを、乗っ取る。
そんな妄想を膨らませながら、ボブロンは、にやりと笑みを浮かべた。
――その時。
首筋に、ピリッと。
ごく微弱な、痺れにも似た感触が走った。
「おい。今――何か、感じなかったか?」
「へ? なんのことでやすか」
首筋に、触れてみる。
だが、もう――何も感じない。
――気のせいか。
ボブロンは、そう結論づけた。




