↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
71/144

71話

 会場を出ると、俺の周りにはあっという間に、人だかりができた。


「おい! 坊主! あれはどうやったんだ?」


「なんでそんなに強いんだ?」


「普段、何を食ってる?」


「親は誰だ?」


「俺の金をどうしてくれる!?」


 よしよし。みんな、注目してくれているようだ。

 ……最後のは、知ったことか。


「ジーンおばあちゃんのところで、祈祷をしてもらったんだ! なんか、それで体が強くなったんだよ! ほら、こんなふうに」


 いい宣伝の機会だと思い――俺は大きく跳躍し、人だかりをひとっ飛びに飛び越える。くるくると回転しながら着地し、振り返った。


「ね!」


 呆気に取られる、人だかり。

 一拍置いて――どっと、騒ぎ出した。


「すげー! ジーンって、予言師のジーンさんだろ? そんなことできたのか!」


「そういえば、うちの母ちゃんも最近ジーンさん家に通い詰めて、何かやってるぞ! それも、何か関係があるのかも!」


「それ、うちもだ! うちは付きっきりの世話が必要だったばあちゃんまで、先週からまた歩けるようになって大騒ぎしてたんだ!」


 その話題で、あっという間に持ちきりになった。

 これで噂はまたたく間に広まり――ジーンおばあちゃんの家には、人が殺到するだろう。


 そう思っていると――試合場のほうで、大きな歓声が再び上がった。


 開始早々、対戦相手の大人を手刀で意識を刈り取った――ギンへの、歓声だった。


「おい、今年は一体全体どうなってるんだ!」


「子供が……子供が、優勝しちまうんじゃないのか!?」


「俺の金が……」


「おい、賭け直しだ! さっきの子供に、全額入れ直す!」


 観客のほうも、出場している子供たちがただ者じゃないと確信したらしい。

 賭け屋も、賭け直しを求める客が殺到し――てんやわんやになっていた。


「ギンお兄ちゃん! バッチリだね!」


 試合場を後にしたギンに、駆け寄って労う。


「お……おう!」


「どうしたの? どこか怪我でもした?」


「いやいや。怪我なんて、何もしてない。すぐに終わったし……」


「なんていうか……俺って、本当に強くなってるんだな。あんなでかい大人に、簡単に勝てるなんて……」


「ふふ、そうだね。言われてみれば確かに。――じいちゃんに毎日コテンパンにされてるから、実感が湧いてなかったもんね」


「でも、これもギンお兄ちゃんの、血のにじむような努力の賜物だと思うよ!」


 ギンは、それを聞くと――照れくさそうに頭を掻き、「そうだな」と笑った。


 そうして、次々に試合は進んでいく。

 エランギルンのメンバーは、全員が圧倒的な勝利を収め――目的だった"宣伝"としても、十分すぎる成果が見られた。


 第二回戦も、同じ日に開催された。


 俺としては――もう、十分な宣伝効果はあったと思っていた。

 だから、ここから先は、負けてもいいかな。


 ……なんて、試合前にそう考えていると。


「エル」


 ギンから、声をかけられた。

 ちょうどいい。降参するつもりだと、伝えようとする。


「あ、ギンお兄ちゃん。次の試合さ……」


「――次の試合、本気でやってくれないか」


「え?」


 ギンは、真剣な表情をしていた。


次回!ギンVSエル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この村、介護認定があるぞ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。