表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
61/108

61話

 午後は、じいちゃんとの訓練。


 この二か月、ひたすら親指を中心に鍛えてきた。

 今では、何度も親指の皮が破れ、硬くなり、また破れる――その繰り返しだ。


 こんなの、意味があるのかと思っていたのだが。

 じいちゃんとの模擬戦で、徐々に成果が現れ始めている。


 移動はもちろん、拳打、足技――戦闘アクション、そのすべての出力が上がっている気がするのだ。


 ……もっとも、いつもボロボロに負けるので、あまり実感はないのだが。


「よし、親指はここまでじゃな。ほれ、三人ともかかってくるんじゃ」


 ランとギンも、今では一時間半の親指トレーニングに耐えられるようになっていた。

 俺はといえば、一か月前にじいちゃんから"次のステップ"を言い渡され、親指だけでのジャンプを、ひたすらやらされている。


「あ、エル。今日から魔法つかえるんじゃろ?――魔法も使っていいぞ。実戦で使えなければ、無用の長物じゃからな」


 ……え。魔法、使っていいのか。


 でも、まだサンダーボールとサンダーガンしか使えない。

 サンダーボールは、戦闘にはほとんど使えないし。サンダーガンは、逆に強すぎる。


 いくらじいちゃんでも――大丈夫かな。


「何を気にしとるか知らんが、遠慮するな。やれ」


 ……確かに。じいちゃんだし、大丈夫か。


「じゃあ――ギンお兄ちゃん、ランお姉ちゃん。じいちゃんに、隙を作って」


 二人は頷き、じいちゃんへと飛びかかった。


 身体強化による、生身の人間とは隔絶した速度。

 しかし、じいちゃんは――意に介していない。


 左手でギンの横っつらを、右足でランの脇腹を蹴って、あっさりと跳ね飛ばす。


 その瞬間。

 指先をじいちゃんへと向けていた俺は、サンダーガンを放つ。


 一瞬の、雷の軌跡。


 じいちゃんの右胸を、貫い……てない。


 ――しまった。


 じいちゃんは、ギンとランを弾き飛ばした直後、既に、その場から離脱していた。

 俺のサンダーガンは――じいちゃんの、虚像を貫いたのだ。


 気づいたときには、後頭部に手刀を叩き込まれ、気絶させられていた。


「さっきのは、全然だめじゃのう」


 ――反省会である。


「まず、ギンとラン。攻撃の威力とスピードは申し分ないが――本来の目的は、エルの魔法を当てるための時間稼ぎじゃろう。それなら、ワシの目を隠すような攻撃をせにゃならん」


「「・・・・・・はい」」


「そして、エル。魔法に過信したらいかんぞ。魔法が外れたとき、効かなかったときの想定は、常にしておくことじゃ。さっきのは、わしの反撃にまったく反応できとらんかった」


 ……おっしゃる通りだ。


 魔法が使えるようになったからといって、魔法に頼りすぎるのは良くない。

 あくまでも、選択肢のうちの一つ――そう思っておかないと、油断の一瞬で、足元をすくわれることになりかねない。


 気をつけないと。


 ーーその後もじいちゃんとひたすらぶつかり稽古を行った。

 しかし、じいちゃんの動きが早すぎて、照準を合わせることすらできない。

 結局三人そろってぼこぼこにされた。


 二か月間毎日ぼこぼこにされている。

 そろそろ、一矢報いたい。

 なにか考えないと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ