60話
ブックマークと評価を何卒!
ランの家。
魔法の訓練だ。
一応、四工程すべてができるようになった。
属性変換は、魔力同調のときの感覚に近かったし、現象の維持も、累纏を維持するときとあまり変わらなかったため――すぐに、できた。
しかし、本格的な魔法の発現については話が別だった。
「魔力の圧縮スピードが、一秒を切ってから」
――そんなジーンおばあちゃんのお達しがあり、この二か月は、ほとんど魔力圧縮の訓練だけに費やしてきた。
来る日も来る日も、ひたすら圧縮、圧縮、圧縮。いっそ修行僧のような日々だった。
その甲斐あってか、今では、0.5秒もかからず圧縮できるようになっている。
そして――ようやく、今日から。
本格的な、魔法の発現練習に入る。
正直、この日が――待ち遠しくて仕方がなかった。
「よし。魔力圧縮のスピードも、申し分ないね。……このレベルまで二か月で来るなんて、聞いたことないわ。まったく、呆れるよ」
「ありがとう!」
「別に、褒めてるわけじゃないんだが……いや、褒めてるか」
ジーンおばあちゃんが、独り言のように、ぼそりと呟いている。
「それじゃ、魔法の発現をしていくよ」
「はい!」
ちなみに、ランは属性変換に手こずっている模様で、毎日、悪戦苦闘している。
……変換の感覚は、教えようがない。自分で頑張るしかない。
頑張れ、ランお姉ちゃん。
「まず。イメージは、球体。それを、放つイメージだよ。細部のイメージは――自由にしていい」
「はい!」
やっとだ。魔法を、放てる。
イメージなんて、もう完璧だ。寝る前に、何度もイメージトレーニングを重ねてきたのだから。
球体のイメージに、雷の特性を、目一杯乗せる。
それこそ――雷鳴を置き去りにする、雷のように。
手のひらから出力する――よりは。
指先から出力したほうが、速く進む気がする。
息を、細く吐く。
指先を、大きな岩へと照準を合わせる。
既に体に染みついた、魔力圧縮。指先に、意識のすべてを集める。
――変換!
瞬間。
視界が白く弾け、稲妻の軌跡が、岩まで一瞬で走り抜け、貫いた。
遅れて――「バチバチッ!」と、小さな雷鳴が轟く。焼けた岩の匂い。
……完璧だ。
「できた!」
振り返ると――ジーンおばあちゃんは、目をこれでもかと見開いて、俺と、岩とを、何度も見比べていた。ぽかんと開いた口が、しばらく閉じない。
「な、なんじゃ、今のは……?」
「え? なにって――球体を出すんでしょ? 細部は、自由にって」
「自由が好きすぎじゃろ……! あんな殺傷力の高い基礎魔術、見たことないよ」
よくよく話を聞いてみると。
まず最初に覚える魔法というのは、属性変換した球体の魔力を出して、ふわりと漂わせるだけの、初級魔術らしい。
メジャーな名前でいうと――ファイアーボール。というらしい。
……いやいや。そんなこと言われても。
ちなみに、雷属性だから――呼び方は、きっと"サンダーボール"になるんだろう。
やってみると――あっさり、できてしまった。
「え? さっきの魔法に、名前を?」
「ああ。魔法は、イメージじゃ。だから、イメージを想起させるのに――名前があると、楽なんじゃよ。別に、発動のときにその名前を言わなくてもいい。ただ、さっきの現象と名前を、紐づけておくことが大事なんじゃ」
名前か。
……うーん。
今、考えてみれば――球体っていうか。弾丸? って感じかな。
安直だけど――サンダーガンで、いっか。
「サンダーガンにする」
「ガン? 本当に、それでいいんか?」
あ。
こっちには、銃なんてないから――わからないか。
……まあ、いっか。たぶん、自分の中での納得感のほうが、大事だし。
とにかく。
――ようやく、魔法が使えるようになった!
【名前】エル
【レベル】4
【力】71(+5)
【器用】54(+10)
【敏捷】65(+3)
【知能】60(+5)
【魔力】190(+20)
【運】10
【魔法】身体強化、雷魔法(NEW)
【スキル】魔力操作、魔力同調




