42話
翌日。俺たちは、いつもの広場に集まっていた。
「よし、全員揃ったのう。昨日ジーンと話して、大体のスケジュールを決めてきたからの。共有するぞ」
俺たちは今日から、正式にじいちゃんとジーンおばあちゃんの弟子になる。
特に俺とランは、二人に師事することになるから――スケジュールの管理が必要なのだ。
「午後から三時間は魔法、そのあと三時間は、わしとの戦闘訓練じゃ。午前は自由。――例の作戦を、進めるんじゃろ?」
「うん。そのつもり」
「よし。それじゃ、午後三時に――そうじゃな、海辺の岩場に集合でたのむぞ」
「じいちゃんは?」
「わしはちょっと、情報収集にひとっ走り行ってくるわい。ヴァイキングの動きも、掴めるかもしれんしの」
……そうだ。
"三年の猶予"というのも、あくまで予想であって、確定じゃない。
そこを、じいちゃん自身が調べてきてくれるのは――正直、ありがたかった。
じいちゃんは、そのまますぐに出発した。
……足が速すぎて、あっという間に、背中が米粒みたいな大きさになっていく。
相変わらず、規格外のじいちゃんである。
「それで、エル。今日は午後までどうするんだ?」
「うん。例の作戦について、考えてたんだけど」
「子供たちに、身体強化を教えるってやつだよな?」
「うん、そう。……そういえば僕、ギン兄ちゃんとランお姉ちゃんとばっかり遊んでたから――他の子供たちに、会ったことないんだよね」
「そういえば、そうだよな。まあ、おれたちも似たようなもんだけど」
「ねー。私たち、ちょっと、はぶられてたから」
……何か、事情がありそうである。
聞いてみると――ギンは親の事情で、ランはジーンおばあちゃんの関係で、周りの子供たちから近寄られないのだという。
そのおかげで、この二人は自然と、なんとなく一緒に行動するようになっていったらしい。
「他の子たちって、いつも、どこで何をしてるの?」
「大体、村の東側の原っぱで――"戦ごっこ"をしてるよ」
「戦ごっこ、って?」
「戦争の真似事さ。木の剣と木の盾を持って、戦うのさー。みんな、しょっちゅう怪我してる」
「男の子は、みーんなあの遊びしてるの。バカよねー。戦争なんて、何にも面白くないのに」
「……まあ、おれはちょっと、やってみたいんだけど」
「え? なんか言った?」
「な、なんでもない!」
俺は、ランのほうへと向き直る。
「じゃあ――女の子は?」
「女の子は、全員一緒ってわけじゃないわ。少人数で集まって、おままごととかをしてるの」
「あんなことして、何がおもしれーんだか。笑っちゃうよな」
ランが、じとっとした目でギンを睨んだ。
「じょ、冗談だよ」
……この二人は、本当に仲がいい。
「よし、じゃあ――まずは、男の子たちから攻略しよう!」
「お、おう。……具体的には、どうするんだ?」
俺は、ニカっと笑って告げた。
「シンプルに――叩きのめして、力関係を示す!」




