表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/53

39話

 雷属性――か。


 かなり、いいんじゃないだろうか。応用も、色々ときそうだし。


「雷、じゃと……?」


 じいちゃんが、額に手を当てて呻いた。


「ますます、雷神トールではないか……まったく、わしの孫は、一体どうなっとるんじゃ」


 そう言って、じいちゃんは困り果てたように頭を掻く。


「エル、すごい!! よかったじゃない!」


 ランが、ぱっと顔を輝かせて俺に抱きついてきた。喜びを、そのまま体で表現するタイプらしい。


「ジーンおばあちゃん。雷って、強いの?」


「雷の魔法使いはな」


 ジーンおばあちゃんの目が、ふっと遠くなる。


「わしのお師匠様の属性でな。……それはもう、強かったぞ。むかついた国を、丸ごと滅ぼしたりしとったわい。わしも――一度たりとも、勝てたことはなかったな」


 国を、滅ぼす……?

 ……お師匠様って、まさかドラゴンとかじゃ、ないよね?


「じゃが、もう一方の――色のほうの属性は、わしも知らんな。見たことがない。ジークは? 何か、わかるか?」


 ジーンおばあちゃんが、じいちゃんへと視線を向ける。


「うーん……わからん」


 じいちゃんは、腕を組んだまま首を捻った。


「そもそも、おまえがわからんもんを、わしがわかろうはずもなかろうて」


「そう、だよね……」


 二人の間に、しばし沈黙が落ちる。


「エル坊」


 ジーンおばあちゃんが、俺のほうへ向き直った。


「ユニーク属性っちゅうのはね。こういう難点も、あってね。――そもそも、"何の属性か"すら、わからないんだよ。だから、訓練のしかたも、習得の方法も、まるっきりわからない」


「え……? それじゃ、どうやって、その魔法を使えるようになるの?」


「自分探しの旅に出るやつもおるし、ひたすら魔力操作の訓練を続けて、ある日ふと、なんとなく正体がわかる――なんてこともあるらしい。まあ、そんな感じじゃと、これは師匠から聞いた話だがね」


 ……そうか。お師匠様も、雷属性を自分自身の力で突き止めたんだもんな。

 いったい、どうやって突き止めたんだろう。


 もう一つ――残る一属性のことも、正直かなり気になる。


「まあ、とりあえずじゃ」


 ジーンおばあちゃんが、ぱんと手を打った。


「エル坊も、明日から魔法の修行を始めるよ。わかっている雷魔法のほうを、まず習熟させておくんだよ」


「はぁい。おねがいします」


 俺は、素直に頷いた。


「それじゃ――残るは、ギンだね。手を、置きな」


 名前を呼ばれ、ギンが、びくりと肩を震わせる。


 その顔は、明らかに萎縮していた。

 ……そりゃ、そうだよな。ランは、希少属性を含む複数属性持ち。俺は――ユニーク属性の、二つ持ち。


 インパクトが、強すぎる。


 そもそも、属性の素養そのものを持つ者のほうが、圧倒的に少ないというのに。


 ギンが、震える手を石の上に置き、ぐっと魔力を込めた。


 ――しばらく、そのまま待つ。


 だが、石は、ただ静かに、もとの色のまま佇んでいる。


 ギンは、まるで「魔力が足りないんだ」とでも言うように、苦悶の表情で、なおも魔力を流し込み続けた。


「ギン。……もう、いいよ」


 俺は、そっと声をかける。


 それでも、ギンはやめなかった。


「ギン! もう、やめなさい」


 ジーンおばあちゃんの声が、珍しく強く響いた。


「残念だが……あんたに、魔法の素養はない」


 ――その一言で。


 ギンの手が、ゆっくりと、石から離れた。


「おれ、だけ……うああああ!!」


 叫び声を、置き去りにするように。


 ギンは、勢いよく部屋を飛び出していった。


 俺とランが、思わずその後を追おうと腰を上げかけたところで――


「大丈夫じゃ。わしが、行く」


 じいちゃんが、片手でそれを制した。


 そうして、じいちゃんもまた、静かに部屋を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ