27話
ランの家を後にした俺たちは、いつもの広場に集まっていた。
「ちょっと! さっきのどういうこと!? あたし、全っ然わかんなかったんだけど! 勝手に話を進めないでよ!」
「俺もわかんなかった! 結局、どうなったんだよ!?」
ランとギンが、そろって頬を膨らませてご立腹である。
「なんじゃ、二人には言うとらんかったんか」
じいちゃんが、呆れたように顎を撫でた。
「行き当たりばったりじゃのう。まったく、誰に似たんじゃか」
……いや、絶対あんたに似たんだと思うよ、俺は。
「ごめんっ! ランお姉ちゃん、ギン兄ちゃん!」
俺は、ぱんと両手を合わせて頭を下げる。
「いいから早く説明してちょうだい」
ランは、もう今にも叫び出しそうな勢いだ。
「そうだぞ。──村人全員に身体強化を教えるって、いったいどういうことだよ?」
これが、俺の提案した作戦だった。
村人ひとりひとりが、自分の身を自分で守れるようになれば。ヴァイキングに対抗できるだけの戦力になれれば。
──そうすれば、誰も死なずに済むんじゃないか、と。
俺はこの場で、改めて作戦の全体像を語る。ついでに、これまで曖昧にしてきた魔力のことも、身体強化のことも、ぜんぶ引っ張り出して説明していった。
「……なるほどね。だいたい、わかったわ」
「あの『魔法使いごっこ』が、ぜんぶ本当の話だったってのかよ……マジか」
二人とも、困惑を顔に貼りつけたまま、それでもちゃんと呑み込んでくれたようだった。
「なんか二人とも、意外とすんなり信じてくれるんだね」
俺は、少し拍子抜けして言った。
「もっと、説明に時間かかると思ってたんだけど」
「……まぁ、これまでのほうが、おかしいっていうか、異常だったのよね」
ランが、腕を組んで小さく息を吐く。
「逆に、いくつか納得がいったわ」
「そーそー。かけっこでも、たたかいごっこでも、エルに勝てたことねーもん。そんなの、絶対おかしいって」
ギンが、うんうんと大きく頷いた。
……まぁ、そりゃそうだよな、と俺は内心で苦笑する。
こんな年下の弟分に、毎日毎日コテンパンにされてたら、さすがに嫌でも気づくか。
「それで──その身体強化を、今日からひと月以内に、二人には習得してもらいたいんだ」
「エル。それはちと、酷な話じゃろう」
そこへ、じいちゃんが横から割り込んできた。
「さっきは黙っておったがな。身体強化ってのは、魔力の制御も、発動の維持も、どれもこれも一筋縄ではいかん。まともに習得するには、何年もの修行が要るものじゃ」
「でも、じいちゃんは最初から使えてたんでしょ?」
「あれは、無意識にやっとっただけじゃ」
じいちゃんは、少しばつが悪そうに髭を掻いた。
「自分で言うのもなんじゃが──ああいう芸当ができるのは、ほんの一握りの、才覚を持って生まれた者だけよ」
──それを聞いて。
俺は、口の端を、にぃっと吊り上げた。
「──ちょっとさ。試してみたいことが、あるんだ」




