12話
今日もランとギンをしごき倒し、満足して帰宅した。
が、祖父の姿はなかった。
ギリギリまで待ち続けたのだが、業を煮やした母に首根っこを掴まれ、強制的にベッドへ連行される。
まだ起きていたいという抵抗も虚しく、布団に押し込まれた。
……まあいい。今夜もやることはある。
まずはステータスの確認から。
【名前】エル
【レベル】1
【力】22(+2)
【器用】8(+1)
【敏捷】12(+4)
【知能】25(+5)
【魔力】53(+13)
【運】10
【魔法】身体強化
【スキル】魔力操作
着実に伸びている。特に魔力と敏捷の伸びは顕著だ。
筋トレは変わらず継続中。負荷を少しずつ増やしながら、今日も赤ん坊とは思えない動きで体を鍛えている。
ギンに筋トレの基礎を教えたところ、これが見事にどハマりした。
最近では自分から「もう一回!」と言い出す始末で、筋肉の道をまっしぐらに突き進んでいる。将来が楽しみだ。
魔法の運用面でも、大きな変化があった。
【身体強化】を、今では常時発動させている。魔力を常に消費し続けることで枯渇を早め、魔力量の増加を狙う。それでいて身体強化の持続精度も上がる——一石二鳥どころか、一石三鳥の訓練だ。おかげで魔力量は順調に増え、ランやギンと遊んでいる最中に魔力切れで卒倒することも、以前に比べればずいぶん減った。
……以前は割とひんぱんに倒れていた。そのたびにふたりが大慌てで駆け寄ってきて。
思い返すと、申し訳なくなる。
魔力操作の練度も、日を追うごとに上がっている。今では呼吸と変わらない感覚で魔力を動かせるようになった。そこで最近の日課として取り入れたのが——両手のひらの上に、太陽系を逆回転で同時に作り出すことだ。
惑星の自転・公転をそれぞれ忠実に再現しながら、それを左右で別々に制御する。これがなかなか、相当な集中力を要する。知能の伸びが他に比べて良いのも、こういった繊細な作業の積み重ねが影響しているのかもしれない。
しかし——ここへきて、壁を感じている。
魔力操作はどれだけ磨いても、あくまで"制御"の技術に過ぎない。
魔法を習得するには、何か別の突破口が必要だ。魔法使いごっこの中でそれらしい詠唱を試したり、手のひらに火を灯そうと念じたりと、あれこれ試行錯誤してみたのだが、成果は出なかった。
実際に魔法を目にするか、誰かに教わるか——おそらく、それ以外に道はなさそうだ。
だが、どちらも一歳という身の上ではそう簡単に叶わない。結局のところ、今できることを磨き続けるしかないのだ。
太陽系を四つに増やそうと挑んだところで、魔力が尽きた。
電池の切れたおもちゃのように、静かに意識が沈んでいった。




