「あ、居た……!」「…………」
これは、少女と少年の日常の一幕です。
「ねぇ、何読んでるの?」
「……ん、君か。魔物図鑑だよ。新しいのが出てたから借りてきた」
「本当に好きねぇ。将来は魔物博士にでもなるのかしら?」
「うーん、勉強して博士になるにしても、学費がちょっと辛いし……」
「あなたの家、貧乏だものね。……私が代わりに負担するってのはどうかしら? お金ならいくらでもあるし」
「女の子に世話になるのは僕的に情けないというか……そもそも、そんな事してもらえる様な理由がないでしょ」
「理由ならあるわよ!」
「どんな?」
「あ……えぇと、その、せ、先行投資! 先行投資よ。あなたはきっと大物になるから、今のうちに借りを作っておくのよ。私の将来の為にも、ね」
「将来かぁ。君が世界中の情報を握るなんて、相変わらず想像できないな。ただの変な少女にしか見えないよ」
「もう、変な少女ってなによ。私はどこからどう見ても立派な社長令嬢でしょ! ほら、アメジスト色に艶めく髪! いつスカウトが来てもおかしくないこのスタイル! 極めつきの、気品溢れる端正な顔立ち! パパとママのいいとこ取りをしたこの容姿は、正に世界のトップに相応しいわ」
「はいはい、わかったから色々強調しないで。僕がそういうアピールされるの苦手だって知ってるでしょ? 控えてくれると嬉しいんだけど」
「うっ……ご、ごめんなさい」
「あー、別に、謝らなくても……。そうだ、友達から映画のチケットを二枚もらったんだ。良かったら一緒に――」
「行くわっ!」
「急に元気に……。あ、でも、予定は空いてるの? 一応社長令嬢だし、やる事が多いんじゃ?」
「そこは大丈夫。なんとしてでも空けるから」
「……もしかして、映画好きだったりする?」
「えっ? あっ! そ、そうなのよ! 映画ダイスキよ!」
「それなら良かったぁ。貰い物は絶対に使いたいんだけど、このチケットをどうするかずっと悩んでて」
「それで、どんな内容なの?」
「基本モンスターパニックものなんだけど、男女の恋愛も綿密に描かれているとか、そんな感じの事があらすじに書いてあったよ。だから、兄さんや母さん、男友達と行くのはアレだなって」
「へ、へぇ。面白そうね。……ところで、モンスターと魔物ってどう違うのかしら」
「ほとんど同じだと思うよ。獣と動物くらいの違いかな」
「確かにそんな感じかも」
「そういえば、動物と魔物もほぼ同じ意味だね。動く物は大体、魔力を持つ物だし」
「そうねぇ。魔力を持たない生き物っているのかしら?」
「君の実家のデータベース探せば見つかるんじゃないかな」
「……今度、家に来てみる?」
「あー、どうしよう……」
「じゃ、じゃあ、映画の帰りにでも、その、お礼に美味しい物を食べさせてあげるから……どう?」
「……そういう事なら」
「よし、決まりね!」
「……もうこんな時間か。帰らないと」
「私は迎えが来るから、ここでお別れね」
「うん、後で映画の日程を送るから、行けそうな日が決まったら連絡して」
「わかったわ」
「それじゃあ、またね」
「 」
地の文はいらない事もあります。でもあったらあったで情報量が増え、想像しやすくなります。話のテンポや作風と要相談です。




