我が名はデオカウス
あらすじにも多分書いてありますが、何でもありです。
緑の多い公園で、ペストマスクを被った男が佇んでいた。男は徐に、懐から小型の機械を取り出す。男が機械にチップを入れると、機械は銃の様な形に変形した。
「出でよ、デオカウス」
光が銃口から発射され、地面に衝突。すると、着弾点を中心に光を線とした魔方陣が描かれ始めた。魔方陣は数秒で完成し、その効力を発揮し始める。
魔方陣へ、膨大な量の魔力がペストマスクの持つ機械から注がれた。機械は火で炙られたかの様な熱を帯び、とても触れる状態ではないので魔法で浮かされていた。
魔方陣から光が噴き出し、纏まり、一つの形となっていく。それは一見、ヒトの形をしていた。しかし、その巨大さが、その翼が、その魔力が、それがヒトでない事を誇示している。ヒトを遥かに超えた存在だ。
形が完全となり、光の殻を破った時、それは名乗りを上げる。
『我が名はデオカウス。この世に顕現せし万能の化身なり。我が力を持って、全ての難事を容易く解決しみせよう……!』
「デオカウス、この公園のゴミを全て回収してくれ。俺の友人の頼みだ」
『御意……!』
万能の化身、デオカウスはあらゆる属性の魔法を使い、公園中のビンやカン、紙クズなどを全て回収してみせた。公園掃除が終わるのに一分もかからなかったという。
別の日、ペストマスクの男は少年少女達の前に姿を表した。彼は機械を空に向け、光を撃ち出す。
「降臨せよ、デオカウス……!」
魔方陣が空中に生成され、魔力を貪り始める。魔力は魔方陣のプログラムへ入力され、魔方陣は物体を出力する。そして、混沌の魔神は顕現した。
魔神の翼はある一つを除いた、魔力の十二属性を表している。魔神はこの十二属性を自在に操り、時には空間を歪める。本来なら一人の男が手にして良い魔物ではない。だが、生みの親がこの自称天才のペストマスクである以上、所有権は彼にある。既に決められた結果だ。
魔神、デオカウスは二対の目を輝かせる。バイザー状の赤と青に輝くそれは少年少女達に向けられ、彼らの存在を理解した後に、魔神は告げる。
『我が名はデオカウス。森羅万象を掌握する究極の電脳生命体なり。望むのならば、我が力を存分に示してみせよう……!』
少年少女達はその圧倒的な存在感に驚き、声を上げる。数秒間動けずにいた彼らだが、黒髪の少年がいち早く硬直から抜け、一歩前へと出る。
「すごい、これがΩクラス……! いるだけで、どんどん周りの魔力が活性化していってるよッ! 電脳生命体って事はやっぱり分類は電脳類かな!? 系統は……この神々しさ、もしかして伝説の魔神系ッ!!? 属性は! 属性はなんだろ? ギンギラのシルバーをしているから光導か、もしくは錬金か、いやでも――」
デオカウスは少年から次々と飛び出てくる専門用語と凄まじい熱意に、少し引いた。目線で救援を求めるも、主であるペストマスクは機械を冷やすのに忙しい。
仕方なく、魔神は自らデオカウスというモンスターについて解説を始めた。力だけでなく、知能にも優れている。それがデオカウスなのである。
また別の日。ペストマスクの男は山を登っていた。
すると突然の山崩れがペストマスクを襲うッ!!!
「デオカウス!!」
天才的な反射能力でペストマスクは魔神を召喚する。黒と銀に彩られた混沌、デオカウスは状況を瞬時に把握し、言葉を紡ぐ。
『我が名はデオカウス。自然を凌駕し、蹂「せき止めろォ!!」御意……!』
主の指示に従い、魔神は魔法を放った。瞬間、世界の時が止まった様に――否、実際に止まったのだ。この瞬間に、山全体が“停止”している。
迫って来ていた岩石は全てのエネルギーの運用を中止し、空中に留まっている。だが、魔法が解ければ再び物理法則の元に忠実に働き、暴威を振るうだろう。故に、デオカウスは腕をブラスターへと変形させ、膨大な魔力を放つ事で穴を開けた。理不尽な暴力を全て飲み込む、不条理な、次元の穴を。
そして、時は再び動きだす。
大量の土砂が丸ごと、時空の狭間へと流されていく。数十秒後、山崩れが収まるのを確認すると魔神は穴を閉じた。山は何事も無かった様に静かになった。
「……これで麓の方にも被害は及ばないだろう。助かった、デオカウス」
主の言葉を受けて、魔神は誇らしげに宣言した。
『我が名はデオカウス。秩序と混沌を掌握する者なり。我が力は、我が主の思いのままに……!』
何でもできる力がある≠何をしても良い
ある程度の自制は大事です。




