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専門用語が多過ぎるゴリ押し実況

ルールは1対1の「デュエル」。天候は「晴れ」。ステージは「森林」で行います。

 深い深い森の中、一匹のキツネがおります。


 種類はハガネオギツネ。鍛え抜かれたマッスルとガチガチの尻尾が自慢の生物です。モンスター協会が近年定めた種別法に寄りますと、分類は変異類、種族は妖狐族、系統は妖獣系となっております。


 ハガネオギツネが森の中を散策していますと、遠くに何かを発見しました。あれは……プラスジカです!


 プラスジカは魔法によって自分をシカだと錯覚させる憑魔類のモンスター。種族は擬態物魔、系統はハガネオギツネと同じく妖獣系です。


 さあ、ハガネオギツネがプラスジカに向かって行く! どうやら獲物と認識した模様。


 ハガネオギツネは筋肉を鍛える為に上質なタンパク質を好み、自分より大きな生物でも積極的に襲います。しかしプラスジカは本来、生分解性プラスチックと硬いツタで構成された魔物。食べられません。


 そんな事にも気づけずに、ハガネオギツネは真っ直ぐ走る! このキツネには(はかりごと)なんてものは必要ありません。


 何故なら! 筋肉があるからッ!!


 プラスジカの目の前に飛び出し、ハガネオギツネが『ガチガチテール』を狙っていく! しかしプラスジカ、当たる寸前に回避します。


 尻尾を地面に叩きつけたハガネオギツネは、バク転で一時退避。ひとまず体勢を整えます。


 いよいよ、本格的な戦いが始まります。ここで両者のステータスを確認しましょう。


 まずはハガネオギツネ。属性は錬金の一つのみ。推定危険度はβクラスであり、鍛えられた鋼の身体は攻撃力と耐久力に優れています。しかしながら、魔力と素早さにやや難がある様です。得意ワザは先程見せた『ガチガチテール』等の物理攻撃です。


 それに対して、プラスジカの属性は念動と緑植の二つ。推定危険度は同じくβクラス。プラスチック製の身体に物理的な攻撃力と耐久力は期待できませんが、ハガネオギツネとは対照的に魔力と素早さに優れているモンスターです。


 危険度は互角。属性相性の点で見ると、プラスジカが錬金属性に耐性を持ち、更に緑植属性でハガネオギツネの弱点をつけます。現在の魔力活性化レベルは2であり、βクラスではまだバーストできません。このままでは逆転も難しいでしょう。


 状況的にはプラスジカが一方的に有利です! ハガネオギツネはこれをどう覆すのでしょう。これは見ものです!


 さて、先に動くのは…………プラスジカだーッ!


『キリサケソウ』がハガネオギツネの周囲に生え、動きを阻害します。牽制といった所でしょうか。


 ハガネオギツネは焦らずに光導魔法『パワーフロー』で自己強化しつつ、慎重にキリサケソウを避けて移動します。


 プラスジカは続けて攻撃! 繰り出したのは『念圧波』です。ハガネオギツネ苦しそうだッ!!


 魔力の少ないハガネオギツネでは魔法攻撃をあまり軽減できません。マッスルがあるとはいえ、これは厳しいか!?


 が、ハガネオギツネは耐える! やはりマッスルは伊達ではない!! キリサケソウの密集地帯を抜け、今、反撃に出ます。


 一気にプラスジカとの距離を詰め、尻尾を振り抜く! プラスジカはワザの反動で動けず……!


『ガチガチテール』が決まったーーッ!!


 相性的にいくらか軽減できるとはいえ、プラスチックの体に鋼は刺さる! プラスジカが本来の姿を晒し、痛々しいヒビが確認できます。


『ガチガチテール』が命中した事により、ハガネオギツネの尻尾は更に硬化。『パワーフロー』と合わせてググンと攻撃力が上昇しています。


 流石にプラスジカは命の危機を感じたのか、『キタカタスギ』を数本勢いよく生やして防壁とし、逃走しようとします!


 しかし、ハガネオギツネはそれを許さないッ!! 『ガチガチテール』でなんとキタカタスギをなぎ倒し、駄目押しに攻撃力を上昇させる!


 さあ、そして。ハガネオギツネ、跳ぶ! 空中で一回転し、尻尾を振り上げた!!


 トドメの一撃がプラスジカに迫ります。プラスジカ、絶対絶滅! おっと!? ここで、プラスジカがバーストしました! 現在の魔力活性化レベルは5であり、本来ならまだバーストできる段階ではありません。これは、プラスジカの生存本能が生み出した奇跡でしょう! プラスジカは全力を振り絞り、念力でハガネオギツネの尻尾を止め……られなーーい!!?


 ハガネオギツネが繰り出したのは錬金属性の『ガチガチテール』ではない! まさかの気龍属性攻撃、『ブレイクテール』だーーッ!!!


 弱点の属性で攻撃され、鍔迫り合いが起こる事もなく破壊を纏った一撃が無情にもプラスジカを砕く!


 この戦いを制したのは、ハガネオギツネだッ!!


 さて、ハガネオギツネの勝因ですが、やはりその筋肉でしょう。極限まで鍛え抜かれたといってもいい程の筋肉があったからこそ、相性の不利を覆し、パワーで押し切れたという訳です。プラスジカはハガネオギツネよりも素早さが高い事を活かし、上手くハガネオギツネを翻弄できれば勝利もありえたかもしれません。


 勝利したハガネオギツネの様子を見てみましょう。胸を張り誇らしげです。将来、上位種のコウテツキュウビに進化する日も近いかもしれません。


 おや? ハガネオギツネが何かを噛んでいます。あれは砕けたプラスジカの破片ですね。しかしプラスジカはプラスチックで構成されていた魔物。食べられません。


モンスターにレベルとかはありません。急成長はせず、日々の経験によって強さのランクを上げるのです。

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