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人素

この物語群の世界の話です。

 人間の体内に未知の成分が検出されたのは、世界の大異変から間もない頃だった。


 ただ、魔力の顕現や未確認生命体の大量発生等の大混乱によってこの小さな混乱は掻き消されてしまった。然程注目されぬまま、この未知の成分は水面下で研究される事になった。


 やがて、この成分は地球上で生活する知的生命体(宇宙人も含む)のみ、つまりはヒトと呼ばれる存在だけが体内に所有すると判明した。しかし、それ以上の発見は無く、研究は暫く停滞していた。


 この成分の更なる性質を判明させたのは凶暴な野生動物、所謂モンスターによるヒト喰い事件だ。


 ヒトを数人喰い殺したモンスターは事件の数日後、死体となって発見された。問題になったのはこの死体の姿だ。事件当初は四足歩行だった筈のモンスターは、数日の内に二足歩行に適した姿に変異していたのだ。


 死体は研究所へ持ち運ばれ、解剖が行われた。死因は急激な身体の変化による衰弱死。そして、死体からは微量の例の成分が検出された。


 ここで、ある仮説が立てられた。ヒトからのみ検出されていた例の成分は動物をヒトに変えるのではないか、と言うものだ。


 実験は早速行われた。結論から言うと、仮説は正しかった。人素を投与されたマウスは数日をかけて姿を変え、最終的にヒトと言っても差し支えない存在となったのである。


 こうしてこの成分は人の(もと)、「人素」と呼ばれるようになった。これを「じんそ」と読むのか「にんそ」と読むのかは未だに意見が分かれている。


 さて、ヒトとなったマウスについて詳しく話そう。完全にヒトの姿へ変態を果たしたマウスは先程も言った通り、極めてヒトに近い姿をしていた。差異があるとすれば、頭頂部にマウスの耳が、尾骶骨の延長線上にマウスの尻尾が生えていたくらいだろう。元マウスはヒトとして見ればおおよそ十二歳前後で、雪の様に白い髪と肌を持った赤眼の少女の姿をしていた。


 つまり白ネズミの擬人化である。その姿は世界に衝撃をもたらした。色んな意味で。


 これ以降、人素は世界に注目され急激に研究が進められた。人素の発生源がヒトの魔力だという事や、人素によってヒト化した者は定期的な人素の摂取が必要だという事。更には、人素が一部の病気の治療に有効だという事が判明し、人素の需要が発生した。だが、人素はヒトから抽出する以外の生産方法が確立していない為、安定供給は難しかった。


 だからこそ両生類型モンスター、ヒューワロの発見は歓迎された。ヒューワロは人素を摂取しても変化が起こらない例外であり、このモンスターからはヒトの何十倍もの効率で人素を生産できる。オマケに、裏で問題となっていた廃棄物も有効活用が可能。ヒューワロの畜産が始まるのも自然な流れだった。


 そして現在、人外だった者達が社会に受け入れられる様になって人素は一つのビジネスとなった。どう言った経緯でヒトになったにせよ、彼らは人素を摂取し続けなくてはならない。そうでないとヒトでいられなくなる。彼らは人素を買い、ヒトとしての権利を得るのだ。


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