第二十話
また涼を出すことに
目の前でとてつもない爆発が起こる。
涼は、ただでさえ重いハルバートに爆風がぶつかっているにもかかわらず、何も考えないで押し返した。爆風が収まり、数秒間の静寂。
彼は、自分の後ろにいた二人を見て言った。
「俺って、こういうとこでも神運使ってるのか…」
琥珀色の目をした少女の、漆黒のジャージとショートパンツはズタボロになっている。黒影旅団か。
もう一人の少女は、戦闘服に浜名機甲隊のバッジがついていた。階級は兵長。足に結構な怪我があった。
涼は二人を見て
「ちょっと来い」と言って近くの森へ連れて行った。
当然二人の反応は
「えっ、ちょ」である。
Mokaだけは「りょーちゃんまたまた運がいいねぇ」と笑っていた。
さほど深くはないが茂みに入ると涼は立ち止まった。
黒い方は「あ、ありがとうございますぅ」とだけ言ったが。
兵長の方は「なな何する?!さては過度な痴漢だな?…って都宮軍伍長のバッジ… ああ、じょ、上官でしたか!すみません私の無礼をお許しくださいぃ… ええい腹を切ってやる…」
彼女はポケットから小型のナイフを取り出した。
「うわあああぁっ!やめろ!命を無駄にするんじゃないっ!」
涼は必死で止めにかかったという。
なんとか落ち着いて涼は一日分の自分の食料と毛布を渡して
「しばらくここに隠れていろ」と言った。
二人は身を寄せ合って小さく頷いた。
そして涼はそれを見ると、徐々に迫ってきた戦闘最前線へ走り出すのだった。
一方その頃東京では、浜名機甲隊の防御力と、黒影旅団について早くも議論が白熱した。
浜名機甲隊の生き残りには、防御力が高いM15Cハイエンドが配備されることとなった。前話で兵長の少女が乗っていたのはバランス重視のM15Aハイエンドである。
一方、黒影旅団については後ろ向きに議論が爆走した。今まで旅団がいた寮や拠点取り壊しとなった。
直接的な理由としては「生き残りが一人いるとの情報もあるが、一人の為に大きな寮をずっと使っているのはもったいない」ということだ。
中には「どうせ真田涼なんだろ(苦笑)」みたいな気持ちで会議に出た者もいた。
その通りなのだが。
今まで後ろの方で機会を待っていた俺にやっと出番が来た。
俺はいつも通り死体の山を作り、いつも通り先陣を切って戦った。
そして2時間後には、あれだけ押されていたのにもかかわらず、とうとう撃退してしまった。
さっき少女たちを置いてきた場所に戻ると、疲れたのか安心したのかわからないが寝てしまっていた。
そして俺はその場で東京にコールした。
「こちら都宮陸軍の真田。浜名機甲隊と黒影旅団の負傷兵がいる。回収を頼む」
『了解。今日も運がいいな。お前さんは』
「はは、切るぞ」
そして今度は自宅に電話をかけた。
『はい、真田です』
「その言い方やめてくれ」
『…うう』
「ごめん、話がある」
『何?』
「家族、増えた」




