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第82話:暴君の矜持と消滅した二つの異常ステータス!〜自分の心臓を貫いて自決したアーサーと、仲間を失った海賊王の静かなる誓い〜

崩れ落ちる瓦礫の音と、獅子の途切れ途切れの荒い息遣いだけが、中庭の重い空気を切り裂いていた。

海軍の要塞は水没した墓場と化し、静寂を破るのは滴り落ちる海水と遠くで燃える炎の音だけだった。


レオンはアーサーを見下ろしてそびえ立っていた。

新たに解放された【覇権(ヘゲモニー)】によって巨大で恐ろしいものとなった海賊王の影が、『厄災の獅子』の体を完全に覆い隠している。アーサーの片手首は、犬の人間離れした握力によって粉砕され、あり得ない角度でだらりと垂れ下がっていた。


8体の仲間を失ったレオンの胸の疼きは、燃え盛る溶鉱炉のようだった。

彼は苦痛に歪むアーサーの顔を見下ろしたが、その盲目的な怒りはすでに、冷たく計算高い「死刑宣告」へと変わっていた。


「お前は生かしておくべきだったんだ」


レオンが口を開くと、その深く威圧的な声が濡れた石畳の上に反響した。

アーサーは折れた腕の痛みに歯を食いしばりながら唸り、黄金の瞳をレオンの血のように赤い瞳へとロックした。


「お前は俺たちを助けるべきだった」船長は彼を追い詰めるように続けた。「海に散らばるあの偽のモノリス(石碑)を書いた奴を、転生者全員で見つけ出してぶっ殺すために力を貸すべきだったんだ。俺たちはオリジナルの人間たちによってここに召喚された……闘技場の家畜みたいに殺し合うためじゃなく、絶滅しかけている人間たちを救うためにな。俺たちは彼らのクソみたいな命綱だったんだ」


レオンは指の関節が鳴るほど強く拳を握りしめた。


「だが、今日お前がやったことの後では……俺の家族のメンバーを殺した今となっては、お前を生かしておくという選択肢はもうなくなった」


アーサーはレオンの足元に血の塊を吐き捨てた。

その超越的な真実を聞かされても、獅子は後悔もショックも微塵も見せなかった。彼の鼻面は、純粋で盲目的な軽蔑の仮面へと歪んだ。


「人間どものことなど、知ったことか」


アーサーはシューッと息を吐き、その瞳を再び飢えた緋色の光で燃え上がらせた。


「誰がルールを書いたかなどというお前のバカげた理論も、どうでもいい。この世界では、力を持つ者がすべてを奪う。そして俺が、すべてを奪い取るんだ!」


周囲の水たまりを震わせるほどの咆哮と共に、アーサーは折れた腕を無視し、自身の原初のオーラを最後の一滴まで呼び起こした。


【 スキル発動:原初の暴君の激怒(フューリー・オブ・ザ・プライモーディアル・タイラント) 】

【 攻撃力(ATK)および防御力(DEF)が50%増加しました 】


獅子の無傷の筋肉が異常なまでに膨れ上がり、豪華な真紅のコートを引き裂いた。その体躯そのものが一回り巨大化したかのように見え、周囲の瓦礫を吹き飛ばすほどの衝撃波を放射する。


「貴様はクソったれなレベル100を超えたかもしれん、犬!」アーサーは脚の爆発的な推進力で前方へと飛び出しながら咆哮した。「だが、それでも俺を殺すには足りんぞ!」


技術も戦略もすべてかなぐり捨て、獅子は巨大な顎を大きく開き、たった一度の壊滅的な噛みつきでレオンの頭を首ごともぎ取るつもりで、その顔面へと真っ直ぐに飛びかかってきた。


しかし、基本速度(SPD)が1415ポイントに達し、パッシブスキルによってさらに永続的に倍増している今のレオンにとって、時間は文字通り止まっているも同然だった。

アーサーの怪物的で致死的な猛攻も、舞い落ちる木の葉のようなもどかしい遅さでしか進んでこない。


(遅すぎるぜ)レオンは氷のような明晰さで考えた。


一歩後退することすらなく、船長はほんのわずかに上体を横に傾けた。

アーサーの顎はガチン! という鋭い牙の音を立てて何もない空気を噛み砕き、標的を完全に外した。その勢いで獅子は前方へと大きくバランスを崩し、太い喉元を完全に無防備に晒した。


今だ。

自身の回避の慣性をそのまま利用し、レオンは前へと踏み込み、顎を大きく開いた。

まさにその瞬間、レザージャケットの下に隠れていた【深淵の骨のネックレス】が息を吹き返した。呪われたアーティファクトから濃密で生々しい暗黒のオーラが爆発し、海賊王の牙を分厚い壊死の霧で包み込む。


彼はアーサーの首筋に犬歯を直接突き立てた。

パッシブスキル【犬の噛みつき】と【野獣の指輪】が衝撃の威力を4倍に引き上げていたが、その一撃を止められないものにしたのは、ネックレスが放つ純粋で破壊的な暗黒エネルギーだった。

レオンの牙は、強化された獅子の防御を溶けたバターのように貫通し、引き裂かれた組織へと破壊的な闇を直接注入した。


バキバキィッ!!


アーサーの気管と頸椎が粉砕される音が耳をつんざいた。

獅子の目が大きく見開かれ、肉体を蝕む深淵の力とショックに麻痺して、喉の奥で息が詰まった。


レオンが乱暴に引き剥がして放り投げると、アーサーは泥と瓦礫の中に仰向けに重々しく墜落した。

『厄災の獅子』は必死に喘ぎ、ネックレスのエネルギーに汚染されたどす黒い血の川を口から吐き出した。肺にはもう酸素が届いていない。断末魔の声すら上げられないまま、窒息と失血で死に瀕していた。


レオンは立ち上がり、手袋の甲で血と黒煙に汚れた鼻面を拭った。

彼は怪物が苦悶するのを見下ろし、その死を確認して待望の『厄災 100』のステータスを吸収するシステム通知を冷酷に待った。


だが、自らの血に溺れながらも、アーサーはこれから何が起きるかを正確に理解していた。

あの忌々しい犬に与えるために、システムの影が自分の魂を引き剥がそうとしているのを感じ取ったのだ。

そして彼の「百獣の王」としてのプライド――自分が万物の頂点にいると信じて疑わないあまりにも巨大な傲慢さが、そのような勝利を敵に与えることを断固として拒絶した。


目を大きく見開き、血走らせ、純粋で毒々しいほどの意地を漲らせながら、アーサーは無傷だった片方の手――シミターのように鋭い恐るべき爪を備えた手を持ち上げた。

彼はそれをレオンには向けなかった。

絶対的な軽蔑に満ちた視線で船長を睨みつけたまま、獅子は自らの胸へと、自分自身の爪を残忍に突き立てたのだ。


レオンは、その予想外の捨て身の行動に目を大きく見開いた。

アーサーは砕けた筋肉と肋骨を掘り進み、最後の苦悶の一引きで、自らの心臓を貫いて粉々に破壊した。

獅子の最後の吐息が、挑発的で不気味な笑みに歪んだ唇から血の泡となって漏れた。そして、その黄金の瞳から完全に光が消えた。


怪物の肉体は即座に崩れ始め、黄金の塵と灰へと変わり、冷たい海風によって一瞬で吹き飛ばされていった。

レオンの目の前で青いインターフェースが明滅し、その最後の極端な行為の結果を確定させた。


【 対象が自壊しました。致命傷は自己によるものです。 】

【 炎は自らの手によって消されました。 】

【 異常(アノマリー)ステータスの吸収に失敗しました。 】


レオンは1秒前までアーサーの体があった空っぽの場所を凝視した。

呼吸は荒く、指の関節が白くなるほど強く拳を握りしめていた。


ゆっくりと、現実の重みが彼の上に崩れ落ち、山のような力で彼を押し潰した。

彼の計画――『災厄』のソーンを解放するためにあの最高セキュリティ監獄へ突入したすべての作戦は、巨大で哀れな計算ミスだったのだ。ソーンは8人目の転生した魂ではなかった。ただの途方もなく強い現地の獣人に過ぎなかった。

アーサーは、島に到着するずっと前に最後のオリジナルの人間の転生者を見つけ出し、殺してしまっていたのだ。そして今、自決したことによって、獅子はレオンから『厄災 100』を奪っただけではなかった。目の前で「二つの異常な力」を同時に粉砕し、永遠に消し去ってしまったのだ。


家族の8人が、何の成果も得られないまま虐殺された。二つの神の力が虚無へと消えた。

レオンの士気は文字通り粉々に打ち砕かれた。これは勝利ではない。完全な失敗であり、彼の中身を空っぽにする戦略的・感情的な大惨事だった。


「このクソッタレのゴミ野郎が……」


レオンは地面に唾を吐き捨て、ひび割れた声で囁いた。


「最後の最後まで、全部台無しにしてくれやがって」


しかし、レオンが自らの暗い思考に完全に沈み込む前に、水流の轟音が彼の注意を引いた。

100メートル離れた崩壊した城壁の瓦礫の間で、異常な大波の海水が激しく渦を巻いた。海流を使って逃走していた海軍最高司令官『青虎』の緋色の視線が、遠くの人影を捉えたのだ。


司令官は流れるような撤退に急ブレーキをかけ、目を大きく見開いた。

獅子の灰が消え去るのを見て、黒い革に包まれた海賊王の巨大なシルエットを認識したのだ。


「貴様……あの犬か」青虎は巨大な大剣を掲げて唸り、怒りが一時的に彼の戦術的判断を曇らせた。弟である赤虎の賞金稼ぎの仇を討ちたいという誘惑が彼を焼き尽くそうとしていた。「たった今『厄災』を殺したところだな。今の貴様は無防備だ。我が一族の血の代償を払わせて――」


青虎の宣戦布告は、残酷に遮られた。

水没した瓦礫の中から、傷だらけの巨大な姿が飛び出したのだ。タイタンのような跳躍で、ソーン ”災厄” がレオンと最高司令官のちょうど中間に真っ逆さまに降り立ち、巨大な両刃の斧を振り下ろして耳をつんざくような轟音と共に岩盤に叩き込み、青虎を後方へと弾き飛ばした。


そのすぐ後ろから、波の瓦礫をいとも簡単に振り払った『緑虎』が兄弟の前に立ち塞がり、退路を完全に封鎖した。


「あいつには手を出すな」緑の虎は最高司令官を睨みつけて唸った。「俺が聞いた話じゃ、その犬にはこの世界で果たすべき重要な役目があるらしい……てめえに指一本触れさせはしねえよ」


「どこへ行く気だ、司令官?」ソーンは首をポキポキと鳴らしながら笑った。「犬の出番はもう終わった。次は俺たちの番だ」


後ろに残ったレオンは、ソーンと緑の虎が最高司令官をブロックするのをただ見ていた。

彼は介入しなかった。実のところ、船長にはもう戦うための精神力が残っていなかったのだ。覇権のアドレナリンは蒸発し、胸の痛みが息もできないほど重く脈打っていた。彼はただ無気力に、打ちひしがれたまま彼らに背を向けた。


廃墟の中庭では、青虎が歯を食いしばって一歩後退していた。レベル118とレベル122という二体の圧倒的な優位は明白だった。


「そこをどけ、不良品ども!」青虎は緑の虎に大剣を突きつけて咆哮した。「奴は俺たちの弟を殺したんだぞ! お前にとっても同じ血を分けた兄弟だろうが! お前は本来なら大将として俺の隣に立つはずだったのに、同じ一族から生まれたお前が、あの犬の逃走を援護するつもりか!?」


緑の虎はエメラルドの巨体を震わせ、しゃがれた苦々しい軽蔑の笑いを鼻で鳴らした。彼は何年も前にその役割を拒絶し、一度たりとも後悔したことはなかった。


「俺の家族だと? 俺たちに兄弟なんていねえよ、司令官」緑の虎は最後の言葉に純粋な侮蔑を込めて唾を吐いた。「俺たちはただのクソったれな実験体、奴のためにこの世界を檻に閉じ込めておくためだけに作られた肉の駒に過ぎねえんだ! てめえは大事なお題目の『正義』に目が眩んで、自分を操ってる糸が見えてないだけだ! 赤の小僧の代わりが欲しいのか? なら『俺たちの父親』のところへ泣きついて、もう一匹新しく捏ねてもらえ。あのクソみたいな玉座に、まだ何匹の色違いのクローンを隠し持ってるか分かったもんじゃねえからな」


「おしゃべりはそこまでだ」ソーンがタイタンの斧を構えて唸った。「八つ裂きにしてやる」


ソーンと緑の虎が一斉に突撃し、致死的な連携攻撃を解き放った。

勝ち目がないことを悟った青虎は、戦術的自殺となる剣戟を避け、足元の水の中に大剣を突き立てた。


「正義は今日、ここでは倒れん!」


最も防御に特化したスキルの一つを発動させると、巨大な【水流の壁(アクアティック・ウォール)】が上方へと噴出した。

そのスキルは蒸気と超高圧の斬撃波の濃密なバリアを作り出し、二人の攻撃者を直撃して目眩ましを与え、貴重な一瞬だけ彼らを押し戻した。泡と霧のカーテンに紛れ、青虎は荒れ狂う海へと飛び込み、崩れ去った自らの帝国の廃墟を後に残して深淵の海流の中へと姿を消した。


そこからそう遠くない場所で、鋼鉄の瓦礫の山から息を切らして這い出してきたサイとクロコダイルがその光景を観察していた。

海軍との戦いで傷だらけになった二体の巨獣は、レオンとアーサーの最終決戦を遠くから一部始終見ていたのだ。


クロコダイルは爬虫類の目を細め、泥を吐き出した。「さっきあいつらが叫んでたのを聞いたか、サイ? 『異常(アノマリー)』に、『転生者』だとよ」


サイは頷き、瓦礫から湾の荒れ狂う水面へと視線を移した。「ああ。もっと詳しく知りてえな。あいつらが俺たちとは違うルールで遊んでるってのに、蚊帳の外に置かれたままってのはごめんだ。あの犬の後を追うぞ」


「だが、それには軍隊が必要だ」クロコダイルは瓦礫の間から立ち上がり始めた脱獄囚たちを指差してシューッと息を吐いた。


二体の巨獣は、生き残った犯罪者や獣たちの群衆の前に立ちはだかった。


「よく聞け、クズども!」サイが大地を震わせる声で咆哮した。「俺とクロコダイルが率いるこの新しい海賊団は、今日、すべての海軍を根絶やしにするために誕生した! この海に残っている兵士どもを一人残らず狩り立て、そのまま『玉座』を征服しに行くぞ!」


その言葉に煽られた囚人たちは、野蛮な雄叫びを爆発させた。だが二人のボスの本当の狙いは別だった。船を奪い、レオンを追跡するのに必要な戦力を確保するため、脱獄を生き延びた海賊たちを自分たちに従わせる口実に過ぎなかったのだ。


「船へ向かえ!」クロコダイルは沖に放置された3隻の巨大な真紅のガレオン船を指差して命じた。


二度言われるまでもなく、二人の犯罪者ボスは水際へと突進し、最初のガレオン船に素早く乗り込むと、係留ロープを断ち切って未知の海へと出航した。

数瞬後、青虎のスキルが巻き起こした霧も晴れた。ソーンは塩水を吐き出し、悪態をついた。「あの青虎野郎、指の間からすり抜けやがったか」


「いずれ見つけ出してやるさ」緑の虎はずぶ濡れの毛皮を振りながら唸った。「だが、奴を狩り出すにはそれ相応の船が必要だ」

彼のエメラルドの瞳が、アーサーの2隻目の真紅のガレオン船を捉えた。「あれで十分だろう」

『災厄』と緑の虎は2隻目の船に飛び乗り、重い帆を掲げて廃墟と化した要塞から急速に離れていった。


◇ ◇ ◇


何千メートルも上空。

レオンは呪われた戦場から離れるため【天空の支配】を発動し、逆さになった隕石のように雲に向かって一直線に飛んでいた。

超音速で飛ぶレオンのペースについていけないと悟ったアリックは、霧の両腕を伸ばし、船長の長いレザーコートの裾をしっかりと掴むと、そのまま引きずってもらえるように自らのエーテルの手を布地へと瞬時に凍りつかせた。


空を見上げていたソーンは、急上昇する海賊にぶら下がる亡霊の姿を視界に捉えた。傷だらけのネズミの獣人は、鼻面に微かな笑みを浮かべた。


「また必ず会えるさ、アリック船長」


ソーンはそう呟くと、新しく手に入れたガレオン船の操舵輪へと向き直った。


上空へと突き進むレオンの視線は、固定され、氷のように冷たかった。胸の痛みは鈍く絶え間なく脈打ち、あらゆる思考を押し殺していた。

数瞬後、レオンはまだ雲の海に浮かんでいた魔導海賊弩級戦艦の黒い木の甲板に重々しく着地した。アリックの氷が砕け、亡霊も彼の隣に優雅に降り立つ。


生き残ったクルー全員が甲板に集まっていた。船長が着地するのを見るや否や、ポールとアナベルが一歩前に出たが、すぐに言葉を失って足を止めた。

レオンは笑っていなかった。

その黄金の瞳には生気がなく、空虚で、深い暗い影に囲まれていた。

船長は士官たちの肩越しに視線を向けた。いつもならあと6体の巨大な火山蜂が羽音を響かせ、あと2体の巨大な装甲ガニが木材を軋ませていたはずのドレッドノートの甲板を見つめた。


空っぽのスペース。埋めようのない空白。

8体の喪失は巨石のように重くのしかかり、おまけに2つの転生者の力を永遠に失ってしまったという事実が、その徒労感を耐え難いものにしていた。


海賊王は一言も発さず、前へと歩き出した。

ポールの横を通り過ぎ、アナベルを無視し、サイラスを避けて、死のような沈黙の中で重い足を引きずっていった。

彼は船長室にたどり着くと、重いオーク材の扉を開けて中に入り、背後で扉を閉めた。内側から金属の鍵が閉まる「カチャリ」という音が、静まり返った船上に銃声のように響き渡った。


「船長……?」


ポールとアナベルは声を揃えて呟き、その打ちひしがれた様子に目を丸くして心配そうに船長室へと後を追おうとした。

しかし、ポールの肩に凍てつく手が置かれ、アナベルの前にはサイラスが立ち塞がった。


「今はその時じゃない」サイラスは魔導ライフルを下ろしながらしゃがれた声で言った。


アリックもゆっくりと首を横に振り、その燃える瞳には深い喪の悲しみが宿っていた。

魔導機関のフクロウは、亡霊と深い理解の視線を交わした。二人とも、仲間をあんなにも残酷な形で失うことがどういうことか嫌というほど知っていた。船長には今、自らの失敗と亡霊たちと向き合う一人の時間が必要だった。


だが、アリックは熟練の海賊でもあった。

彼はサイラスの方を向き、エーテルの手の正確なジェスチャーで、まず船を指差し、それから眼下の海を指差した。

魔導機関のフクロウは即座に理解した。「船を降ろすんだな。了解した」とサイラスが確認し、レバーを操作する。


巨大な魔導弩級戦艦はゆっくりと高度を下げ、雲を切り裂いて再び荒れ狂う海面へと降り立った。

深海へ潜ったり盲目的に逃げたりする代わりに、サイラスは黒い船を巧みに操縦し、残されていた3隻目の真紅のガレオン船へと静かに横付けした。アーサー個人の旗艦が、全滅した傭兵部隊によって放棄され、無傷のままそこに浮かんでいたのだ。


アリックは、船長が払った犠牲をただの喪失と灰だけで終わらせるつもりはなかった。

氷のような口笛を吹き、亡霊はクルーたちの注意を引いた。

アリックはモンスタークルー全員を送り込み、横付けした敵船の積み荷を調査させた。彼らの目が大きく見開かれる。かつての『厄災の獅子』の船倉には、文字通り山のような金貨、エピック級の武器、超希少な素材、そして何トンもの最高級の食料とラム酒が溢れかえっていたのだ。


アリックの無言かつ効率的な指揮の下、巨獣たちは猛烈な勢いで働いた。二つの船体の間に広い木のタラップを渡し、すべての木箱、すべての武器、すべての樽をレオンの船へと運び込み、旗艦の財産を一滴残らず吸い上げていった。

それは失ったものに対するささやかな埋め合わせに過ぎなかったが、彼らが立て直すために奪えるすべてだった。


最後の樽が積み込まれ、空っぽになったガレオン船が嵐の波間に漂流して沈むに任されると、アリックはドレッドノートの操舵輪へと戻った。

亡霊は木製の舵輪にエーテルの手を置き、その氷の視線を『起源の航路』がさらに暗く深まっていく果てしない水平線へと向けた。

船は航海を続けなければならない。そして船長があの部屋から出てくる時、彼の艦隊は物資を満載し、完全武装して、この狂った世界の残りのすべてを八つ裂きにする準備を整えているはずだ。

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