第75話:海底監獄でかつての宿敵とまさかの再会!?〜【支配】で看守を操り人形にし、ワニとサイの凶悪コンビを解き放って大暴動を起こします〜
深淵の岩盤が完全に密閉される鈍い轟音が回廊に響き渡り、レオン、アリック、そして影を刈る鴉の3人を外海から完全に遮断した。
突破口から流れ込んだ海水は、黒い鋼の床にある巨大な排水格子へと急速に吸い込まれていく。
地下監獄全体が不気味な赤色の警報灯で激しく点滅し始め、耳をつんざくような甲高いサイレンが鼓膜を突き刺した。
レオンは長いレザーコートから塩水を振り払い、野生の五感を極限まで研ぎ澄ませた。
「パトロールが来る。10秒でここに着くぞ」
海賊王は頭の上の犬の耳をピンと立てながら囁いた。
「カラス。俺たちを隠せ」
巨大な羽の生えた悪魔は、一切の音を立てなかった。
ただ荘厳な黒曜石の翼を広げ、パッシブスキル【影の静寂】を発動させた。
濃密で不自然な暗闇がモンスターの体から広がり、警報の赤い光を完全に吸収して、3人の海賊を絶対的な虚無の泡の中へと飲み込んだ。
天井の影と完全に同化したそのスキルは、彼らの呼吸音や心臓の鼓動すらも完全に消し去った。
数瞬後、重厚な魔導ライフルで武装した約10人の海軍看守の分隊が回廊になだれ込んできた。
彼らはたった今再生を終えたばかりの岩壁の前で急停止した。
「なんだこの大量の水は!」
看守隊長が叫び、無人の回廊にライフルを構えた。
「構造物が自己修復する前に、何かが厚さ8メートルの深淵岩を突き破りやがったぞ! 隅々まで探せ! 突破口を見つけるんだ!」
兵士たちは散開し、ライフルの魔法のライトであらゆる隅をスキャンした。
しかし、何も見つからない。
パトロール隊長は武器を下ろし、首を横に振って安堵のため息をついた。
「侵入者はなしか。外部圧力センサーの誤作動に違いない。きっと巨大な深淵の海獣、たぶん盲目のリヴァイアサンか何かが壁に激突したんだろう。この深度じゃ前にもあったことだ。警報を解除して、上層のパトロールに戻れ!」
彼らの頭上3メートルの絶対的な影の中に隠れながら、レオンは牙を剥き出しにしてニヤリと笑った。カラスの隠密魔法は完璧だった。
隊長が撤退の命令を下した瞬間、レオンは彼らの背後に音もなく降り立ち、小隊全体の不意を突いた。
兵士たちが振り返るよりも早く、異常が放つ圧倒的な黄金のオーラが巨石のように彼らの上に降り注いだ。
【船長の絶対権限】。
10人の海兵は瞬時に硬直した。
魔導ライフルが一斉に下ろされ、彼らの目は感情のない分厚い乳白色の膜に覆われた。
彼らの意志は、海賊王の【支配(DOMINION)】によって完全に打ち砕かれ、服従させられたのだ。
「完璧だ」
アリックとカラスと共に影から歩み出ながら、レオンは囁いた。
マインドコントロールした10人の海兵を完璧なカモフラージュとして使い、検問所を怪しまれずに突破しながら、一行はレオンが『レベル・オメガ』だと信じていた区画へと足を踏み入れた。
ここの独房には鉄格子がなく、代わりに青いエネルギーの分厚いガラス板が張られていた。
しかし、独房ブロックを調査していた彼の黄金の瞳は、自分がよく知っている「二つの顔」と鉢合わせた。
エネルギーガラスの向こう側、床に座り込み、古い傷跡に覆われていたのは、緑色の鱗と巨大な顎を持つ大男――かつての『クロコダイル船長』だった。
そして、その真向かいの独房で壁に鎖で繋がれていたのは、あの『サイの獣人』だった。
レオンはすぐにある恐ろしい変化に気づいた。彼らの肉体はマストドン級に巨大化し、以前戦った時とは比べ物にならないほど筋肉が異常に膨れ上がっていたのだ。
システムが彼の推測を裏付けた。
【 クロコダイル船長 - レベル100 (MAX) 】
【 サイの獣人 - レベル100 (MAX) 】
サイの獣人は目を大きく見開き、自分が幻覚を見ているのではないかと目をこすった。
「て、てめえは……」装甲のような肌を持つ巨獣が立ち上がり、鎖をガチャガチャと鳴らしながら唸った。「あの時のイカサマ犬野郎じゃねえか! こんなところで一体何してやがる!? 捕まったのか!?」
クロコダイルもエネルギーガラスに身を乗り出し、ノコギリのような歯を剥き出しにした。
「このクソ犬が! よくも俺のクルーを壊滅させてくれたな! 頭ごと食いちぎってやる!」
レオンは唇に指を当て、面白そうな表情で静かにしろと合図した。
「俺は誰の囚人でもねえよ。ただレベル・オメガに散歩しに来ただけさ」
乳白色の目をした海兵の小隊を両脇に従え、レオンは囁いた。それから彼は二体の巨獣を上から下まで値踏みした。
「それより、上限に到達するまで随分と忙しくしてたみたいだな」
サイの獣人は血走った目でガラスに唾を吐きかけた。
「第3階層で息をしてた同房の連中を、片っ端から素手でぶち殺してやったんだよ。乱闘に次ぐ乱闘で奴らの経験値を貪り食ってレベル100に到達したら、海軍の奴らにガスで眠らされて、この穴ぐらに放り込まれたってわけさ」
レオンは困惑して眉をひそめた。「レベル・オメガってのは、こんな丸見えの独房に入れられるのか?」
クロコダイルは喉の奥でバカにしたように笑った。
「レベル・オメガだと? 思ってた以上にマヌケだな、犬。ここは『第5階層』だ。オメガはさらに下の第6階層だよ」
巨大な爬虫類は優越感を漂わせながら鱗に覆われた腕を組んだ。
「懲罰房から懲罰房へとたらい回しにされたおかげで、俺たちはこの監獄のすべての階層をツアーして回ったからな。今じゃ自分の手のひらみたいに隅々まで知り尽くしてるぜ」
レオンは首を傾げ、不遜でからかうような笑みを浮かべた。
「へえ、そいつはあまり自慢できる話には聞こえねえがな」
二体の巨獣は瞬時にブチ切れた。
「「てめえのせいだろうが、このクソ馬鹿野郎!!」」
サイとクロコダイルは声を揃えて絶叫し、壁が揺れるほどの猛烈な勢いでエネルギーガラスを拳で叩きつけた。
「てめえが俺たちの人生を滅茶苦茶にしなければ、こんな監獄の観光ツアーなんてハメにはならなかったんだぞ!」
レオンは鼻で笑い、すぐに主導権を取り戻した。
「わかった、わかったって。よく聞け。どうやら俺は階層を間違えたらしい。それに俺一人じゃこの独房を開けることはできない。だが――こいつらならできる」
海賊王は、服従させた10人の兵士たちを指差した。
クロコダイルとサイは動きを止め、エリート看守たちのガラス玉のように虚ろで乳白色な目に初めて気づいた。
重武装した海兵たちが意志のない操り人形のように無言で従順に立っているのを見て、彼らの憎悪の奥から、純粋で渋々ながらの敬意が垣間見えた。
「てめえ……海軍の分隊を丸ごと精神崩壊させたのか?」クロコダイルが目に見えて感心したように呟いた。
サイも鼻を鳴らし、凶悪な笑みを浮かべた。「イカれた野郎だぜ、犬」
「俺にもちょっとした手品があってね」レオンは滑らかに答えた。「さて、取引といこうか。俺がお前らを自由にしてやる。その代わり、お前ら二人が先頭に立って、この監獄がかつて経験したことのない最大の大騒ぎを起こせ。看守どもの気を引くための本格的な大暴動だ。そうすれば、俺は邪魔されずに下の階層へ行ける」
サイはクロコダイルと意味ありげな視線を交わした。
二人ともレオンを憎んでいたが、脱獄し、武器を取り戻し、海軍を虐殺できるという見通しは抗いがたいほど魅力的だった。
「乗ったぜ、犬」サイが唸った。「扉を開けろ」
レオンは支配下にある分隊の方を向いた。
「お前たちのうち5人は、こいつらの独房を開け、この階層にあるすべての独房のセキュリティシステムを解除しろ」彼は冷酷に命じた。「その後はこの二人について行き、上の階層の独房を開けるのを手伝え。残りの5人は俺と一緒に残れ」
5人の海兵は機械的に従った。手首の装具に最高セキュリティコードを入力し、メインレバーを引き下ろす。
ブウウウン……。
その音は同時かつ耳をつんざくものだった。
クロコダイルとサイの独房だけでなく、第5階層の回廊に並ぶ何百もの独房の青い隔離ガラスが一瞬にして消滅したのだ。
サイは残っていた鎖を純粋な腕力で粉々に引きちぎり、手首をさすりながら回廊へと歩み出た。クロコダイルを隣に従え、彼はレオンのすぐ横を通り過ぎる。
装甲の巨獣は海賊王の鼻先から数センチのところで立ち止まり、彼を見下ろした。
「一つだけハッキリさせておくぞ、犬。この休戦、このクソみたいな同盟は……俺たちがこの監獄から出るまでだ」サイは鼻孔を膨らませながら唸った。「その後は、俺たちがお前を殺さないなんて期待するなよ」
「空を拝んだ瞬間、お前は再び俺たちの獲物に戻るからな」クロコダイルもノコギリ状の歯を剥き出しにしてシューッと息を吐いた。
レオンは瞬き一つせずに彼らの視線を受け止め、傲慢な笑みを浮かべた。
「その列には順番に並んでもらおうか。さあ、仕事に行ってこい」
クロコダイルは背を向ける前に一瞬だけ足を止め、黄色い目を死ぬほど真剣なものに変えた。
「最後に一つだけ言っておくぞ、犬」巨大な爬虫類が警告した。「お前がどうしても下のオメガ区画へ行くつもりなら……何があっても、あそこに閉じ込められている『イカれたジジイ』だけは絶対に解放するな。あいつは完全に頭が狂ってやがる」
サイも険しい顔で頷いた。「ああ。俺たちもバケモノかもしれないが、あの老いぼれネズミは歩く天災だ。あいつはあそこで腐らせておけ」
そう言い残すと、二体の巨獣は鼻を鳴らし、独房から呆然と這い出してくる何百人もの凶悪犯、暗殺者、そしてモンスターたちの方へと向き直った。5人の海兵も影のように従順に彼らの後ろに続く。
サイは壁から太い鋼鉄のパイプを引き剥がすと、全員の注意を引くために床に激しく叩きつけた。
「よく聞け、クズども!」レベル100で増幅された声で、サイの獣人が咆哮した。「自由が欲しいか!? あのクソったれな青虎どもに代償を払わせてやりてえか!?」
囚人たちから同意の咆哮が沸き起こった。
「俺たちはこの監獄の隅々まで知り尽くしてるし、上の階層への鍵も持ってる!」クロコダイルが歯を光らせ、服従した海兵たちを指差して続けた。「ここから脱出する計画がある。だが、俺たちの命令には絶対に従ってもらうぞ! 最初の目的地はブロックの突き当たりにある武器庫だ! 俺たちに従わねえ奴は、ここで死ね!」
囚人の群衆は、黙示録的な雄叫びを爆発させた。
クロコダイルとサイに率いられ、犯罪者たちの軍団は駆けつけてきた看守たちに向かって、止められない雪崩のように突撃した。
魔導ライフルの銃声、悲鳴、骨の折れる音、そして総合警報が要塞中に響き渡り始め、大脱獄を食い止めようと必死に集結するすべてのパトロール隊の注意を引きつけた。
二体のモンスターと残りの5人のマインドコントロールされた海兵と共に脇の窪みに隠れながら、レオンは暴徒の波が遠ざかっていくのを見送った。カオスは絶対的で、完璧だった。
「いい仕事だ」
点滅する赤い警報灯に顔を照らされながら、レオンは囁いた。そして、まだ自分の精神の囚人である5人のエリート兵士たちの方を向いた。
「さて、道案内をしてもらおうか。オメガへ行くぞ」




