第72話:深淵の待ち伏せと『レベル100の壁』を超越する者!〜絶対防壁を貫く魚人軍団の猛攻と、海の王を圧倒するレベル108の恐怖〜
深海の暗闇は、単なる光の欠如ではなく、船体そのものを押し潰そうとする分厚く重苦しいインクの帷のようだった。
巨大な魔導海賊弩級戦艦は、船のコアが生み出す空気のドームの微かで幽霊のような青い輝きだけに包まれ、深淵の腹の中を音もなく滑るように進んでいた。
メインデッキでは、空気が引き絞られた弓の弦のように張り詰めていた。
レオンの巨大な軍隊は、獣の五感を極限まで研ぎ澄まし、筋肉を隆起させながら、魔法の障壁の向こう側の暗闇を睨みつけている。
「外部圧力、安定している」
サイラスが呟いた。フクロウのサイバネティック・アイが狂ったように回転し、エネルギーのガラスの向こうの暗い海流を分析している。
「だが、この下の海流は不自然だ。過度な乱気流が発生している。まるで水そのものが何かを準備しているかのような……」
彼が文を言い終える暇はなかった。
漆黒の深淵から、飢えた何十もの黄色い目が完璧なシンクロで一斉に点灯した。
しなやかで筋肉質な人型のシルエットが恐ろしいスピードで泳ぎ回り、狂乱した捕食者の群れのように空気のドームの周りに泡の軌跡を描き始めたのだ。
シュパッ! ドゴォン!!
外側から超人的な怪力で投げつけられた黒珊瑚とチタンの銛の雨が、船の障壁に激突した。
そのうちの3本が魔法の膜を貫通する。
致死的で計り知れない水圧に押し出された海水が、耳をつんざくような噴出音と共にドームの内部へと破裂するように流れ込み、液体の刃のように木の甲板を打ち据えた。
「ドームに穴が開いたぞ! 障壁が崩れれば、1ミリ秒で水圧に押し潰される!」
足元にすでに塩水が満ち始める中、ポールがサーベルを抜きながら叫んだ。
「アリック!」
レオンは水の轟音をかき消す声で雷鳴のように命じた。
「あの穴を塞げ! これ以上、一滴たりとも水を入れるんじゃねえ!」
霊体の副船長に二度言う必要はなかった。
純粋な絶対零度のつむじ風と化したアリックは、障壁の穴に向かって突進した。
実体のない両手を大きく振るい、その力を解き放つ。噴き込んでいた超高圧の水は瞬時に凍結し、分厚い永久凍土の層となって穴を塞ぎ、ドームの縁を深淵の氷の丸天井へと変えた。
船が一時的に安全になると、レオンは甲板の中央へと歩み出た。
彼の犬の瞳が、黄金の冷酷で暴君のような光を放つ。
本格的な戦闘が始まる前に、この脅威を根絶やしにするつもりだった。
圧迫感のある【船長の絶対権限】を拡大させ、レオンは水中の生物たちの精神を押し潰し、服従を命じようとした。
彼の【支配(DOMINION)】の黄金の衝撃波がドームを通り抜け、襲撃者たちを真正面から直撃する。
しかし、海溝の暗闇から、巨大でエレガント、かつ致死的な存在が姿を現した。
イルカの獣人だ。
その肉体は青灰色の鋼のような筋肉で鍛え上げられ、古の戦いの傷跡に覆われており、背中にはシミター(三日月刀)のように鋭い背ビレがそびえ立っていた。
怪物は顎を開き、海そのものを振動させるほどの恐ろしい高周波ソナー――耳をつんざくような口笛を放った。
純粋な原初のエネルギーの異常な波が、彼の群れ全体を包み込む。
魚人たちの鱗が、濃密な銀色の光で脈打ち始めた。
レオンの【絶対権限】が彼らに激突した瞬間、それは目に見えない障壁に阻まれて文字通り砕け散り、風に吹かれる煙のように霧散してしまったのだ。
イルカの歌は、クルーの精神をあらゆる支配の試みから完全に免疫にしただけでなく、彼らの肉体に野生の怒りを吹き込み、その肉をダイヤモンドのように装甲化し、物理的な怪力を倍増させていた。
レオンは驚いて拳を握りしめた。彼の権威がこんな風に弾き返されたことは一度もなかった。
(近道はなし、ってわけか)
冷たい悪寒が毛皮を撫でる中、船長は考えた。
(こいつ、分厚くて押し潰されそうな力のオーラを放ってやがる……)
新たな精神的・肉体的シールドに勢いづいた魚人たちは、アリックが作った氷の壁とドームの縁に向かって一斉に身を投げ出した。
船が激しく揺れる。
何十人もの魚人が障壁の弱点を強引に突破し、塩水を滴らせながら甲板へと雪崩れ込み、銛を構えて大虐殺を引き起こそうとした。
「服従はなしだ、野郎ども! 奴らは貫通不可能なシールドを持ってやがる!」
レオンは牙を剥き出しにして唸った。
「八つ裂きにしてやる! 【海賊王の鼓動】!!」
深紅の爆発がレオンの胸から波紋のように広がり、クルー全体を洗い流し、巨獣たちの力、耐久力、そしてスピードを爆発的に膨れ上がらせた。
侵入者たちはただの船に乗り込んだと思っていたようだが、そこが「地獄」であることを身をもって知ることになった。
船長のバフの下で、レオンの軍隊は絶対的な支配者として君臨した。
止められない青い稲妻と化したポールは、魚人たちが武器を構えるよりも早く、たった一閃で3人の首を刎ね飛ばした。
アナベルは湿気にもかかわらず炎のつむじ風を解き放ち、敵を一瞬で炭化させる。
タイタンのような【鉄茨のベヒーモス】が斧を振るい、銀の盾ごと肉体を真っ二つに切断し、3体の【魔王】は純粋な黒魔術の触手を噴出させて侵入者の生命力を吸い尽くし、床板の上の空っぽの抜け殻へと変えていった。
ほんの数秒のうちに、甲板は一掃された。船上で生き残った魚人は一人もいなかった。
しかし、本当の危険は船内にはなかった。
「船長! 甲板は制圧しましたが、外が悪夢です!」
ポールが魔法のガラスの向こうを指差して叫んだ。
彼らは完全に包囲されていた。
数百、いや数千の魚人たちが、狂乱した群れのように外側から空気のドームを激しく叩き続けていたのだ。
障壁は目に見えて震え、危険なひび割れが無数に走っている。
「サイラス、浮上しろ! 急速浮上しないと水圧で圧死するぞ!」
レオンは制御コンソールに向かって命じた。
魔導機関のフクロウは冷静さを失わなかった。サイラスはサイバネティック・メガネを直し、金属のくちばしの下で鋭い笑みを浮かべた。
「包囲され、水圧も限界だが、水中強襲の可能性は予測していた」
フクロウが呟き、鋼の指がコントロールパネルの上を踊る。
「俺たちの新しいプラズマ砲なら奴らを蒸発させ、海面への道を切り開くことができる……だが、一つ問題がある。熱の反動と海水の沸騰によって、俺たちの空気の泡が崩壊してしまうんだ。浮上する前に、俺たち自身が茹で上がって死んでしまう」
サイラスは亡霊の方へと勢いよく振り返った。
「アリック! 絶対的な断熱シールドが必要だ! 今すぐ!」
霊体の副船長は瞬時に理解した。
甲板の中央へと進み出たアリックは、実体のない両手を高く掲げた。
声なき叫びと共に、亡霊は自らのエッセンスと氷の魔法の最後の一滴まで引き出した。
絶対零度の猛吹雪が彼の体から爆発し、ドレッドノート全体を包み込む。
厚さ数メートルにも及ぶタイタン級の永久凍土の層が内側から船を完全に覆い尽くし、空気のドームを裏打ちして、ドレッドノートを貫通不可能な「水中のイグルー(氷の家)」へと変えたのだ。
作業が完了した瞬間、アリックの眼窩の青い炎はほぼ完全に消えかかり、亡霊はすべてのエネルギーを使い果たして木の甲板に膝から崩れ落ちた。
「撃て(ファイア)!」
サイラスが重い青銅のレバーを引きながら唸った。
外側の側面に沿って、20門の巨大な統合型大砲が水密ハッチから滑り出た。
『永久の火山石』が脈打ち、砲口へと計り知れない熱エネルギーを送り込む。
ドゴォォォォォン!!
濃縮された火山プラズマの一斉射撃が暗闇を切り裂いた。
海そのものがジュウジュウと音を立て、瞬時に超高圧の蒸気の巨大な柱へと変わる。
白熱する弾丸は魚人の群れのど真ん中に直撃し、彼らが悲鳴を上げるよりも早く、その銀の鱗を蒸発させて灰へと還元した。
発生した熱はまさに黙示録的だったが、アリックの永久凍土のシールドは、激しく音を立てて部分的に溶けながらも熱衝撃に完璧に耐え抜き、内部のクルーを守り抜いた。
敵の群れに風穴を開けたサイラスは、深淵スラスターを最大稼働させた。
巨大な黒い船は、ミサイルのように海面に向かって垂直に打ち上げられた。
「水中部隊、泡の外へ出ろ! 浮上を護衛しろ!」
レオンが命じた。
キング・トリトン、3体の【深淵のオーク】、そして4体のマストドン級の【装甲ガニ】が凍ったドームの向こう側へと飛び出し、上昇中の船から生き残りの敵を引き離すため、暗い外海へと飛び込んだ。
最後の一つ、怪物的な推進力の跳躍と共に、ドレッドノートは海面を突き破り、泡と蒸気の凱旋の中で夜空の下へと浮上した。
レオンはすぐに船の舷側から身を乗り出し、眼下の荒れ狂う暗い海の中を覗き込んだ。
深海は青いエネルギーの閃光に照らされ、血で沸騰するタイタンたちの戦場と化していた。
3体の深淵のオークと4体の装甲ガニは、群れを相手に誇り高く戦線を維持していた。巨大な鋼のハサミが敵の鎧を断ち切り、オークたちの致死的な超高圧水流ジェットが一度に何十人もの魚人を吹き飛ばしている。
本来の領域で戦い、船長の深紅のオーラで強化された海の巨獣たちは、純粋で生々しい暴力の激突の中で、銀の歩兵部隊と互角以上に渡り合っていた。
しかし、視線をもう少し深い場所へと移した時、レオンの目に飛び込んできた光景が彼の血を凍らせた。
キング・トリトン――海の絶対的な覇者であり、進化の頂点に立つ自然の猛威そのものである彼が、文字通り八つ裂きにされかけていたのだ。
あのイルカの獣人は、水の自然な抵抗をあざ笑うかのようなスピードで動き、電撃の三叉槍の突きを笑えるほど簡単に躱していた。
そして、純粋な腕力による壊滅的な打撃の連打で海の王の防御を引き裂き、容赦なく一方的な接近戦で彼に重傷を負わせていたのだ。
レオンは目を大きく見開き、無垢の木の手すりが爪の下で軋むほど強く握りしめた。
トリトンは食物連鎖の絶対的な頂点にいる。この世界で許される最大値である「レベル100」に達しており、おまけに海賊王のオーラで強化されているのだ。
(どうしてこんなことがあり得る……?)
怪物の不自然な動きを観察しながら、純粋なアドレナリンと狼狽の悪寒が背筋を駆け上がるのを船長は感じた。
(頂点に立つ二つの力の衝突にしては、あまりにも一方的すぎる。論理的に考えてあり得ない)
なぜあの敵がこれほど信じられないほど優位に立てるのかは分からなかったが、自分の巨獣が海の底で虐殺されるのをただ突っ立って見ているわけにはいかなかった。
レオンはコンマ1秒も躊躇しなかった。
【暗黒の短剣】の柄をしっかりと握りしめ、左腕に【伝説の盾】を固定する。
手すりの上に飛び乗り、使える酸素を一滴残らず取り込むように、肺が大きく膨らむほど深く力強い息を吸い込んだ。
ブーツに力を注ぎ込み、【天空の支配】を発動させる。
純粋な青いエネルギーの円盤が空中に実体化し、重力スラスターとして機能する準備を整えた。
マナの円盤の暴力的な推力と、自身の恐るべき敏捷性を組み合わせ、海賊王は虚空へと直接身を躍らせ、海に向かって真っ逆さまにダイブした。
彼は一人の男としてではなく、一発の「砲弾」として水中に突入した。
その推進力の凄まじさに、彼の周囲の海水がジュウジュウと音を立てて沸騰し始め、絶対的な流体力学の真空状態を作り出す。
水中に致死的な蒸気の軌跡を残しながら、レオンは前代未聞のスピードで、イルカの獣人へと一直線に突き進んだ。
深淵における生存をかけた本当の戦争が、たった今、幕を開けたのだ。




