第71話:新懸賞金50万ゴールドと「デブ犬」疑惑!?〜王のプライドを傷つけた奴らを神速のビンタで吹き飛ばし、海底監獄『レベル・オメガ』へ突入する〜
魔王たちの真の正体についての暗い啓示から一夜明け、太陽が魔導海賊弩級戦艦の甲板を照らし出していた。
しかし船上の空気は、昨夜のシリアスな雰囲気とは打って変わって、はるかに世俗的で悲惨な「肉体的崩壊」に直面していた。
レベル100のモンスタークルーたちが昨夜の記録的な二日酔いから立ち直れず、黒い木の甲板の上で哀れな姿で転がり回る中、サイラスがレオンと士官たちの注意を船体の舷側へと向けさせた。
魔導機関のフクロウは、サイバネティック・アイを満足げに唸らせながら、船体に統合された20門の巨大な大砲の一つの砲身をレンチでカンカンと叩いた。
黒い金属は微かな赤い光を放ち、息苦しいほどの熱気を帯びている。
「コアにある『永久の火山石』との接続が完了したぞ、レオン」
サイラスは誇らしげな金属音混じりの声で宣言した。
「俺たちの砲撃には、もう古い火薬は必要ない。これらの大砲は火山石の無限の熱エネルギーを圧縮し、濃縮された『火山プラズマ』の弾丸を発射する。何マイルも先から、敵の艦隊や要塞の壁をドロドロに溶かすことができるぞ」
レオンは赤熱する金属を撫で、捕食者の笑みを浮かべた。
「素晴らしい仕事だ、サイラス。間違いなく役に立つぜ」
その時、鈍く苦しげな唸り声が響き、船長は動きを止めた。
上の甲板を振り返ると、荘厳な【天空のドラゴン(エンピリアン・ドラゴン)】――クリスタルと星の光でできたあの巨大な獣が、メインマストにもたれかかってぐったりとへたり込んでいた。
モンスターは巨大な前足でタイタンのようなお腹を抱え、哀れな声を上げている。そのダイヤモンドの鼻面は、不穏な緑色に染まっていた。
「あのデカいトカゲは一体どうしたんだ?」
レオンは片眉を上げて尋ねた。
「昨夜、一人でラム酒を5樽も空にしたんですよ」
ポールも二日酔いと戦いながら、こめかみを揉んでため息をついた。
サイラスはサイバネティック・メガネを直し、首を横に振った。
「生物学的に広く知られた事実だ。ドラゴンの生体組織には、アルコールを分解するために必要な酵素が完全に欠如している。奴は今、劇症の消化不良を起こしているんだ。今後数時間は、飛ぶのを控えさせることを強く推奨する」
「くだらねえ」
レオンは背を向けて一蹴した。
「あいつはレベル100のドラゴンだぞ! ちょっとした腹痛くらいでどうにかなるもんか。船で休ませておけ、俺たちは上陸するぞ」
◇ ◇ ◇
ドレッドノートは、『ブラック・ロック』の隠された入り江に音もなく錨を下ろした。
そこは密輸業者、賞金稼ぎ、そして商人が、腐敗した海軍のパトロールと頻繁に交わる繁栄した商業の前哨基地だった。
往来が激しく厳重に警備された交差点であるため、レオン、ポール、アナベル、そしてサイラスの4人は、正体がバレないよう暗いマントのフードを鼻面まで深く被って上陸した。
彼らは賑やかな港の市場へと足を踏み入れた。
空気はエキゾチックなスパイスと焼いた魚の香りで満たされている。
レオンは露店から巨大なワイバーン肉の串焼きをいくつか買い、士官たちに手渡した。
「悪くない味だ」
屋台の間を歩きながら、船長は美味しそうに肉を噛み締めた。
しかし、メインの桟橋を過ぎたあたりで、彼らはある異変に気づいた。
いつもの市場の喧騒が静まり返っていたのだ。衛兵からただの船乗りに至るまで、途切れることのない人の流れが中央広場へと急いでいた。
興味をそそられた4人の海賊は、群衆の後を追った。
広場に到着すると、何百人もの人々が死のような沈黙の中で集まっていた。
全員の視線が、世界的な発表のために市庁舎の上に設置された、巨大な魔法の投影スクリーンに釘付けになっている。
画面には、無数の傷跡に覆われ、狂気じみた目をしたタイタンのようなネズミの獣人が、チタンの枷で重く縛り上げられ、大将たちの小隊に引きずられている姿が映し出されていた。
レオンは目を大きく見開いた。すぐにそいつが誰だか分かった。
数日前に新聞で見た20万ゴールドコインの賞金首、ソーン ”災厄”だ。
映像の下には、巨大な文字でテロップが点滅していた。
『脅威は根絶された。ソーン ”災厄” は3日後、アイギス・バスティオン(盾の要塞)にて公開処刑される』
「海を荒らし回った最も凶悪な海賊の一人が、我らが無敵の海軍最高司令官によって討ち取られました!」
ツバメの獣人のレポーターが声を張り上げた。
「処刑を待つ間、この怪物は本部地下にある深淵の監獄『レベル・オメガ』に幽閉されています!」
ツバメのレポーターが突然脇へと退き、絶対的な畏敬の念を示して頭を下げた。
画面のフレームが、ある巨大な存在によって埋め尽くされる。
無数の武功勲章で飾られた軍用マントに身を包んだ、青い毛皮の虎の獣人だ。
その顔は兵士のものではなく、食物連鎖の頂点に君臨する捕食者の顔だった。
最高司令官はカメラを真っ直ぐに見据え、その獰猛な瞳を海の隅々へと向けた。
「このネズミはほんの始まりに過ぎん」
青虎の最高司令官は唸り、その低く響く声が広場の石畳を震わせた。
「私の真の標的は別にある。私の弟の艦隊を全滅させた、あの不届き者だ。レオン! 聞いているのは分かっているぞ。臆病者のように隠れているようだが、必ず狩り出してやる。そして『エレファントな犬人、レオン』の首を私の元に持ってきた者には、私個人から50万ゴールドコインの特別ボーナスを支払おう!」
ブラック・ロックの群衆は一瞬息を呑み、直後に混沌としたざわめきを爆発させた。
海賊たちはレオンの手配書を回し見ながら、口々に噂話を始めた。
「ご、50万コインだと!?」灰色の肌の密輸業者が叫んだ。「だが……ちょっと待て、なんであの虎は奴を『エレファントな犬人』なんて呼んでるんだ? どういうあだ名だよ?」
「きっと超巨大なバケモノなんだろ!」別の男が怯えたように周囲を見回しながら推測した。
「いやいや、手配書の写真を見ろよ!」海賊の一人がレオンの写真を振り回しながら言い返した。「身長はせいぜい180センチくらいで、ひょろひょろじゃねえか!」
「あー、分かったぞ!」群衆の後ろにいた巨大な熊の獣人がゲラゲラと冷笑した。「つまりあれだ、太ってるんだよ! 腹がボテボテに出た『デブ犬』なんだろ! だからエレファント(象)って呼ばれてるんだ!」
「違いない! 有名な『デブ犬のレオン』様ってわけだ!」別の海賊も便乗して笑った。「しかし、そんな太った犬がどうやって最高司令官の弟を倒したんだか……」
分厚い黒マントの下で、レオンのこめかみの血管が危険なほどビキビキと脈打ち始めた。
彼の【海賊王】としてのプライドは、たった今土足で踏みにじられ、血を流していた。
レオンは一言も発さず、1245ポイントという計り知れない速度(SPD)と、その効果をさらに倍増させるパッシブスキルを引き出した。
彼は文字通り、蜃気楼と化した。
群衆の誰一人として何も見えなかった。ただ、突如として暴力的で強烈な空気の渦を感じただけだ。
レオンが腕を振るったその瞬間、彼は予期せぬ現象に気づいた。胸元にある【深淵の骨のネックレス】が脈打ったのだ。
純粋で破壊的な暗黒エネルギーが彼の素手の肉球を覆い、呪われたアーティファクトの力が武器だけでなく、素手の格闘攻撃にも完璧に乗ることを証明した。
バチィィィンッ!!
凄まじい平手打ちの音が路地に響き渡り、続いて黒煙の衝撃波が炸裂した。
さっき口を開いた熊の獣人と海賊の二人は地面を吹き飛ばされ、頬を真っ赤に腫れ上がらせ、残留する黒い瘴気に完全に包まれながら石畳の上を無様に転がっていった。
まさにその瞬間、彼の傷ついたエゴと強大な支配のオーラの物理的顕現に反応し、目の前で青いインターフェースが点滅した。
【 新アクティブスキル解放:王の矜持の平手打ち(キングズ・プライド・スラップ) 】
説明:王の傲慢さを燃料とする屈辱的な一撃。2分間、対象の速度(SPD)を50%低下させる。
【 デバフ適用:対象の速度が50%低下しました。 】
1ミリ秒後、レオンはまるで最初から一歩も動いていなかったかのように、腕を組み、読み取れない無表情を浮かべて元の場所に立っていた。
ポールとアナベルは目を丸くし、その傷ついたエゴと圧倒的な力のデモンストレーションに冷や汗を流した。
「せ、船長……」ポールはマントの袖を神経質に引っ張りながら小声で言った。「今一体何が起きたのか連中が気づく前に、ずらかった方がいいですよ!」
「ええ、絶対に!」アナベルも囁き、人目を避けるために急いで彼の背中を押して港への道へと向かわせた。
無事に桟橋までたどり着き、体型に対する謂れのない侮辱への怒りがようやく冷めると、レオンの犬の瞳は計算高い二つの細いスリットへと変わった。
「サイラス」
レオンは声を潜め、歩くペースを上げながら切り出した。
「少し計算しようぜ。俺たちはすでに7人の『異常』の正体を知っている。俺、お前、ルキウス、アーサー、ヴェイン、そして俺が殺した2人だ。石碑が予言した8人のうち、残る未確認はあと1人だけだ」
魔導機関のフクロウは、その情報を一瞬で処理した。
「そして奴の天文学的な懸賞金と原初の強さを考慮すれば、あのソーンこそが8人目にして最後の『転生した人間』である確率は極めて高い」
「そこが最大の問題なんだ」レオンは唸った。「あの公開処刑はメディアを使った罠だ。もしライオンのアーサーがアイギス要塞に現れて、混乱に乗じてソーンを殺せば、奴はそのステータスを吸収してしまう。アーサーは異常ステータスが一つだけでも壊滅的なバケモノだ……もし二つ手に入れれば、俺たちの同盟にとって越えられない壁になる」
「でも、もし違ったらどうするんです?」ポールが彼に追いつこうと小走りで尋ねた。「もしソーンが、ただのめちゃくちゃ強い現地の海賊だったら?」
レオンの鼻面が、致死的で機会主義的な笑みに歪んだ。
「もし違うなら、あの『レベル・オメガ』の監獄には、世界で最も凶悪な海賊や無法者、モンスターどもが解放されるのを待っているってことだ。俺はそいつらを俺の指揮下に置きたい」
ポールは困惑して眉を上げた。
「でも船長……あなたのスロットは36枠中36枠すべて埋まっていますよ。クラスの勧誘能力はもう上限です。これ以上誰とも契約は結べません」
レオンはドレッドノートのタラップの一歩手前で足を止めた。
彼が振り返ると、その【支配(DOMINION)】の黄金のオーラが桟橋の木の板をビリビリと振動させ始めた。
「誰が契約を使うなんて言った、ポール?」
海賊王は、赤い目を無慈悲な決意に輝かせながらシューッと息を吐いた。
「俺はもう、世界に許可なんて求めない。俺の『支配』を使って、あの要塞にいる囚人どもを一人残らず精神的に屈服させてやる。奴らの心をへし折るんだ。スロットを1枠も消費することなく、奴らが望もうが望むまいが、俺たちの艦隊にしてやるよ」
3人の士官は視線を交わし、獰猛な笑みを浮かべた。
船に足を踏み入れるや否や、レオンは36体の巨獣たちを招集した。
彼の咆哮が甲板に響き渡り、休息していた獣たちを奮い立たせる。
「アリック、サイラス!」
海賊王は水平線を指差して雷鳴のように命じた。
「火山石に点火しろ! ハッチを密閉し、深淵スラスターを起動だ! 水中を最高速度で突っ走り、海軍最高司令部へ一直線に向かうぞ!」
ドレッドノートがそれに応えて咆哮した。
フクロウのエンジニアリング制御の下、エネルギーと空気の完璧なドームが甲板を包み込み、コアの青いクリスタルが爆発的な力を放つ。
ブラック・ロックの港にいる海軍のパトロール隊が一人として気づく前に、巨大な黒い船は船首を海底へと向けた。
海面が激しく沸騰し、戦艦は海の表面下へと突っ込み、視界から完全に姿を消した。




