第61話:絶対上限レベル100到達!〜成長の壁に絶望する中、夜の無人島で俺の【運】が未知の声を引き寄せる〜
海賊弩級戦艦の魔導エンジンがフル稼働で唸りを上げ、巨大な黒い船を『起源の航路』の暗く荒れ狂う水面へと押し出していた。
最後の出航後、レオンは絶対的な命令を下していた。「立ち止まるな、慈悲をかけるな」と。
彼らの頭上、夜空は文字通り空中の屠殺場と化していた。
エンピリアン・ドラゴン、インフェルナル・セラフ、影を刈る鴉、そして始祖の火山蜂の群れが、星を隠そうとするあらゆる獣や猛禽類を文字通り薙ぎ払っていた。
海面下の殺戮も負けてはいなかった。キング・トリトン、深淵のオーク、そして巨大な装甲ガニたちがロープに繋がったまま海底をさらい、前代未聞の凶暴さで海獣の群れや下級リヴァイアサンを解体していた。
彼らはその狂宴を7時間ぶっ通しで続けた。
太陽は完全に沈み、深く見通せない夜が訪れ、魔法スキルの閃光と船の炉の火だけが周囲を照らしていた。
そして真夜中。
ガレオン船の航跡が何マイルにもわたってモンスターの血に染まる中、システムがクルー全員の心に、これまで聞いたことのない黄金の鐘の音を響かせた。
それは通常のレベルアップのチャイムではなかった。決定的で、絶対的なメロディだった。
【 起源の航路の殺戮を完了! 神格級の経験値を獲得! 】
【 経験値分配中…… 】
夜の闇の中の灯台のように眩い黄金の光の柱が、ガレオン船全体を包み込んだ。
システムはレベルのギャップを補正し、軍隊のメンバー一人一人を『最高の頂点』へと押し上げた。
【 モンスタークルー全員が レベル100 に到達しました! 】
【 キャプテン・レオンが レベル100 に到達しました! 】
【 システム警告:最大上限(MAX CAP)に到達しました。これ以上、ベースレベルを上げることは不可能です。 】
情報を完全に処理するよりも早く、レオンは爪を滑らせてシステムハブを開き、最大レベルに達した自分と巨大な家族の最終的なステータスを確認した。
【 キャプテン総合ステータス 】
名前: レオン | クラス: 海賊船長 | レベル: 100 (MAX)
HP: 800 / 800
攻撃力 (ATK): 700
防御力 (DEF): 565
速度 (SPD): 945
運 (LUCK): 200 (限界値、7つの海の指輪により2倍)
絆/シナジー (BOND): 100 (異常ステータス MAX)
支配 (DOM): 100 (異常ステータス MAX)
残りステータスポイント: 90
【 クルーステータス 】
最大容量:34 / 36 スロット使用(2スロット空き)
エンピリアン・ドラゴン - レベル: 100 (MAX)
インフェルナル・セラフ - レベル: 100 (MAX)
アリック (霊体の副船長) - レベル: 100 (MAX)
キング・トリトン - レベル: 100 (MAX)
霊霧の覇王 - レベル: 100 (MAX)
原初の火山ヒドラ - レベル: 100 (MAX)
ポール (精鋭戦士) - レベル: 100 (MAX)
アナベル (冥界の暗殺者) - レベル: 100 (MAX)
始祖の火山蜂 (x10) - レベル: 100 (MAX)
鉄茨のベヒーモス - レベル: 100 (MAX)
マストドン捕食キノコ (x2) - レベル: 100 (MAX)
悪魔のグール (x3) - レベル: 100 (MAX)
影を刈る鴉 - レベル: 100 (MAX)
深淵のオーク (x3) - レベル: 100 (MAX)
巨大な双子ドワーフ (x2) - レベル: 100 (MAX)
装甲ガニ (x4) - レベル: 100 (MAX)
生命エネルギーがレオンの血管に流れ込み、痛む筋肉のすべてを癒した。
しかし、システム通知の最後の一行を読み直した時、彼の鼻面に咲いた誇らしげな笑顔は一瞬にして消え去った。
「最大上限(MAX CAP)だと?」
レオンは眉をひそめ、苛立ちと共に木の手すりを殴った。
「『これ以上ベースレベルを上げることは不可能』って一体どういうことだ!」
頂点に達したことで、恐ろしい力のオーラを放射するようになったポールとアナベルが近づいてきた。
「この世界が課す物理的な限界に達したということです、船長」
ポールが猫の尻尾をゆっくりと揺らしながら答えた。
「レベル100は頂点です。定命の者も、獣も、海賊も、それを超えることはできません」
「冗談だろ!?」
レオンは振り返り、その犬の瞳には怒りと純粋な懸念が灯っていた。
「俺の計画は、レベル200か300になるまでノンストップで経験値を稼ぐことだったんだぞ! オアシスの酒場で会ったあの獅子人のステータスを忘れたのか? アーサーの攻撃力と防御力は、今の俺のほぼ2倍だ! レベルを上げてベースステータスを伸ばせないなら、どうやってあんなバケモノと戦えばいいんだ!? 一撃で消し飛ばされちまうぞ!」
レオンは巨大な拳を握りしめ、一瞬目を閉じた。
異常ステータスの計り知れない力が、彼の静脈で振動している。
「でも……俺はまだ『終わった』とは感じていない」
レオンは自分の両手を見つめながら付け加えた。
「俺の体も魂も、もっと多くのものを内包できるような気がするんだ。この100って数字が、本当に絶対の壁だと確信してるのか?」
ポールは耳を伏せて首を振った。
「世界の絶対的な法則です、船長。誰もそれを回避したことはありません。システムは例外を許さないんです」
レオンは黄金の目を細め、青いホログラム画面をじっと見つめた。まるで、彼の視線だけでそれが震え出すかのように。
「システムは俺のことを計算に入れていない。この天井を打ち砕く方法があるはずだ……俺には分かる」
アナベルが安心させるように微笑み、首を横に振った。
「船長、ベースレベルが100で止まるからといって、私たちがこれ以上成長できないわけじゃありません。戦い続ければ、新しいスキルを学んだり、解放したりすることはできますよ」
レオンは眉をひそめ、胸の前で腕を組んだ。
「なるほどな……で、レベルアップなしでシステムからクラスチェンジをもらうことは可能なのか?」彼は船の木材を爪でトントンと叩きながら尋ねた。「正直なところ、クソみたいな最大レベルに達したんだから、少なくとも最終進化くらいは期待してたんだがな」
「それは……あまり一般的ではありませんね」
ポールが顎をこすりながら答えた。
「というか、極めて稀です。ですが、戦闘や世界での偉業に結びついた、特定の隠された条件を満たせば可能です」
アナベルがパッと明るく微笑み、猫と意味ありげな視線を交わした。
「そして、運200を持つ船長なら、その条件に『たまたま』つまずくことは、絶対に可能だと思いますよ」
レオンは凍りついた。
古代の白い石のモノリスに刻まれていた言葉が、力強く脳裏に蘇る。
初期の不安は消え去り、冷たく計算高い生存ロジックへと道を譲った。システムが通常の数値的な成長をブロックするなら、異常を利用してルールを回避するしかない。
「お前らの言う通りだ」
レオンは拳を握りしめ、無慈悲な笑みを浮かべて呟いた。
「ああ……俺には可能な限りのステータスを手に入れる必要がある。あのライオンに対抗する本当のチャンスを得るための、唯一の忌々しい方法だからな」
その時、船首の前の濃い夜霧が晴れ始めた。
遠く、月光に照らされて、大きな島のシルエットが浮かび上がった。港の明かりも、集落も、停泊している船もない、完全に無人の島だった。ただ、手つかずの白いビーチへと続く、濃密で静寂に包まれた野生のジャングルがあるだけだ。
「アリック、エンジンの出力を落せ」
レオンは肩の力を抜いて命じた。
「あの島に航路をとれ。今日は十分すぎるほど殺した。あそこに錨を下ろして、一晩休むぞ」
巨大な弩級戦艦は音もなく滑り、岸から数ヤードのところに錨を下ろした。
クルー全員が騒々しく船から降り、未知の島の土を踏んだ。
重いブーツや蹄が地面に触れた途端、彼らはある驚くべきディテールに気づいた。
その白い砂は信じられないほど柔らかく、まるでベビーパウダーの絨毯の上を歩いているかのように、触れると現実離れした感覚があった。
レベルアップのアドレナリンが引くと、7時間ぶっ通しで行われた水中および空中での大虐殺の代償がすぐに現れた。
最も激しく休むことなく戦ったモンスターたち――深淵のオーク、装甲ガニ、火山蜂、そしてグールたち――が最初に限界を迎えた。疲労に圧倒され、彼らはその信じられないほど柔らかい砂の上に文字通り崩れ落ち、数秒で深く、ブーンと音を立てる眠りに落ちた。
一方、残りの巨獣たちは、レベル100到達を独自の方法で祝うことにした。
ベヒーモス、二人の双子ドワーフ、ヒドラ、そして熾天使は、船倉から上質なラム酒の樽をいくつも海岸に転がしてきた。彼らは巨大な一口でアルコールを飲み干し、ついに酔いが回って、満足げに白いビーチで一人また一人と眠りに落ちていった。
アナベルが火を熾した即席のキャンプで、ただレオン、ポール、アナベル、そしてアリックだけが起きていた。
亡霊が静かに浮かんで仲間を見守る中、三人の海賊は船倉から持ってきた肉を焼き、エネルギーを回復するために美味しそうに頬張った。
最後の骨を綺麗にした後、ポールとアナベルのまぶたも耐え難いほど重くなり始めた。
終わりのない戦闘の日々の疲労と、突然の力の急上昇が彼らを圧倒し、消えゆく熾火の隣で二人を眠りへと誘った。その直後、アリックも自身のオーラを弱め、眠りに似た霊的な静寂の状態へと後退した。
島全体で唯一目を覚ましている存在となったレオンは、丸太から立ち上がった。
音を立てることなく、船長は即席のキャンプから離れ、水が柔らかい砂を洗う波打ち際を歩き始めた。
夜は穏やかだったが、彼の心は嵐だった。
長めのレザーコートのポケットに両手を突っ込み、暗い波に視線を迷わせながら歩く彼の脳裏を、数々の思考が容赦なく襲う。
(あの玉座に座ったらどうなる?)
彼は拳を握りしめ、天空の聖域の予言を思い出しながら考えた。
(もし俺が死んだら? つまり、この世界でも負けて死んだら……俺を待っているのは何だ? 絶対的な無か?)
彼は海に反射する月を見つめ、そこにはない答えを探した。
(なぜ俺と彼らが選ばれた? 過去の人生から俺たちを引き裂いた基準は何だ? そして何より……なぜ俺たちは殺し合わなければならないんだ?)
レオンはため息をつき、冷たい風に毛皮を揺らさせた。
(いつか説明がもらえるといいが。俺はこの世界が大好きだ、今まで以上に生きていると感じる……でも、クソほど未解決の疑問だらけだ)
彼は立ち止まり、目を閉じて波の音を楽しみ、心を空にしようとした。
だが、夜の静寂は突如として破られた。
「おい、そこのお前……」
背後のジャングルの影から、微かだが紛れもない、見知らぬ声が響き渡ったのだ。
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