第40話:レベル71到達と平和のオアシス島!〜酒場で出会った原初の獣は、俺と対極のバグステータス【厄災】100を持つ転生者でした〜
ルキウスの巨大なマウンテンドラゴンが夜の雲に消えた後、巨人の島の湾には再び静寂が戻った。
レオンは新しく巨大なタイタン級システム・ガレオン船の甲板に数分間立ち尽くし、手すりの板を握りしめていた。
転生した人間が上限100の異常ステータスを持っているという発見は、パズルにおける極めて重要なピースだった。だが、一日の肉体的・精神的な疲労が、部隊全体にのしかかり始めていた。
「今夜はここまでだ」
船長はため息をつき、巨獣の軍隊の方を振り返った。
「船は手に入れた。燃料も無限だ。岩の間に隠れたこの湾で休め。明日の早朝に出航するぞ」
夜は、装甲化された原初の木材に打ち寄せる波の穏やかな音に揺られ、静かに過ぎていった。
朝の最初の光が深い海の霧を通り抜けて差し込んできた頃、クルーたちは目を覚まし始めた。
しかし、火山での終末的な戦闘と海軍大将たちとの衝突の後では、彼らの疲労は完全には消え去っていなかった。
ポールとアナベルが、狼人から奪った地図を片付けていた船長に近づいてきた。
二人の士官は肩を丸め、目の下には隈を作っている。
彼らは今やレベル71の巨大なモンスターだというのに、情けないほどにひざまずき、レオンの前に平伏したのだ。
「船長ぉ……」
ポールは子猫のように泣きそうな声を出し、木の板の上を疲れた尻尾で引きずりながら言った。
「俺たち、ここ数日で死に直面しすぎましたよ。もう体がボロボロです。あのベヒーモスでさえ、休戦を祈ってますよ。お願いです……この航路のすぐ先に島があります。『オアシス島』です」
アナベルも激しく頷き、嘆願のジェスチャーで両手を合わせた。
「絶対的な平和の島よ、レオン。システムが島全体に完全な非交戦ルールを課しているの。素晴らしい宿屋や美味しい食事で有名だけど、何より……天然の温泉があるのよ! 筋肉をほぐし、精神を癒す魔法の温水……もう鱗がカサカサで限界よ。深呼吸する日が一日だけ必要なの」
レオンは彼らを見下ろした。
彼らの鎧のへこみや、顔に深く刻まれた極度の疲労のサインに気づく。
彼は深くため息をつき、冷酷な目で彼らを睨んだ。
「……ダメだ」
ポールとアナベルの顔から、一瞬で血の気が引いた。彼らは文字通り絶望のどん底に突き落とされ、今にも泣き出しそうな目で彼を見上げた。
レオンは数秒間その顔を楽しんだ後、プッと吹き出した。
「冗談だ、冗談。お前らにはその資格がある。悪鬼のように戦ってくれたからな」船長はニヤリと笑った。
その瞬間、甲板の上の巨大なモンスターたちは一斉に歓喜のジャンプをした。タイタン級の巨獣たちの喜びの乱舞により、ドレッドノート全体が地震のように揺れ、海に巨大な波を立てた。
「だが、条件がある」
レオンが爪を立てると、狂喜乱舞していたモンスターたちはピタッと動きを止め、即座に血に飢えた悪魔のような真顔に戻った。
「島に停泊するのは一日だけだ。すぐに出発する。そして島までの全行程、日光浴なんてさせてやらないからな」
船長は、巨大な甲板を占拠する巨獣の軍隊の方を向いた。
「アリック、エンジンをフルパワーで始動しろ! オアシス島へ進路をとれ!」
レオンは響き渡る声で命じ、空と荒れ狂う海を指差した。
「残りの奴ら、よく聞け! 今日一日休みをもらって今夜ゆっくり眠りたいなら、道中でそれを稼げ。トリトン、オーク、カニどもは海へ入って深淵を浚え! 蜂、グール、カラスは空を黒く染めろ! ヒドラ、ベヒーモス、ドワーフは甲板に残って援護射撃を行い、船体に近づくものはすべて粉砕しろ! 俺たちの航路を横切る獣は、一匹残らず大虐殺だ!」
「オオォォォォォ!!」
休息というご褒美にモチベーションを極限まで高められたモンスターたちは、即座に命令に従った。
永久の火山石を燃料とする強力な魔導エンジンが咆哮し、船は魚雷のように前進した。
海の巨獣たちは水柱を上げて外海へ飛び込み、飛行部隊は雲へ向かって突進し、原初の火山ヒドラの3つの頭はマグマを吐く準備をして船の側面に身を乗り出した。
それは、丸一日かけた航海と純粋な絶滅作戦だった。
レオンのモンスターたちは船の止められないスピードを活かし、海洋生物の群れや空中捕食者の群れを容赦なく刈り取っていった。
彼らがオアシス島を視界に捉えたのは、深夜のことだった。
暗闇は、海岸を見下ろす木や竹の建造物を彩る暖かい提灯の光によって照らされていた。
藻や泥、そして血にまみれた巨獣たちが船に這い上がってきた。
一日の狩りで文字通りボロボロになり、足で立つことすらままならない状態だった。
しかし、アリックが港の安全な湾に錨を下ろしたまさにその瞬間。
システムが黄金の、勝利のシンフォニーを爆発させた。
道中の労力は、経験値の海を生み出していたのだ。
【 航路沿いの狩り完了! 莫大な経験値を獲得! 】
【 経験値の分配を進行中…… 】
エネルギーの波が船を包み込んだ。
システムは補償のロジックを適用した。すでに高レベルだった者はわずかにレベルアップするための経験値を受け取り、低レベルだった者は巨大な飛躍を遂げ、光り輝く通知の連続の中で軍隊全体が一直線に並んだのだ。
[原初の火山ヒドラ] がレベル73に到達!(69 -> +4)
10体の [始祖の火山蜂] がレベル71に到達!(65 -> +6)
[船長レオン] がレベル71に到達!(63 -> +8)
[アリック] がレベル71に到達!(63 -> +8)
[キング・トリトン] がレベル71に到達!(63 -> +8)
[ポール] がレベル71に到達!(63 -> +8)
[アナベル] がレベル71に到達!(63 -> +8)
[鉄茨のベヒーモス] がレベル71に到達!(63 -> +8)
2体の [マストドン捕食キノコ] がレベル71に到達!(63 -> +8)
3体の [悪魔のグール] がレベル71に到達!(63 -> +8)
[影を刈る鴉] がレベル71に到達!(63 -> +8)
3体の [深淵のオーク] がレベル71に到達!(63 -> +8)
2体の [巨大な双子ドワーフ] がレベル71に到達!(63 -> +8)
4体の [装甲ガニ] がレベル71に到達!(63 -> +8)
【 船長ステータス 】
名前: レオン | クラス: 海賊船長 | レベル: 71 (63 -> +8)
HP: 700 / 700 (660 + 40)
攻撃力 (ATK): 435 (395 + 40)
防御力 (DEF): 465 (425 + 40)
速度 (SPD): 720 (ベース680 + 自動ポイント40)
運 (LUCK): 200 (MAX、7つの海の指輪により倍増)
残りステータスポイント: 80 (未消費)
最大容量:31 / 32 スロット使用(1スロット空き)
筋肉の疲労は洗い流され、濃密で脈打つような力に置き換わった。
しかし、レベルが上がったとはいえ、ここ数日の地獄のような精神的疲労が彼らを覆った。黄金の光が薄れるや否や、巨獣たちは文字通り甲板に崩れ落ち、即座に眠りに落ちた。
ポールとアナベルは甲板の下のハンモックまで引きずって行き、深い眠りに落ちた。
全員が眠った。レオンを除いて。
船長は港の光を見つめていた。
彼の思考は渦を巻いていた。ルキウスの言葉が頭の中で鳴り響く。
「転生した人間は上限100の異常ステータスを持っている」
一睡もできないレオンは甲板の下へ行き、ポールとアナベルの肩を優しく揺すった。
「ちょっと港の近くの酒場まで歩いてくる。ビールが飲みたくてな」
レオンは囁いた。
「お前らは寝てろ。もし何かあれば、『船長の鼓動』を発動する。ステータスが瞬時に倍になるのを感じるはずだ。それが俺の合図だ」
二人の士官は弱々しく頷き、再びいびきをかき始めた。
レオンは静かに船を降り、オアシス島の木の桟橋を歩いた。
その場所は真の平和の避難所であり、滑らかな岩の間を温泉の小川が流れていた。
港の近くに開いている素朴な酒場を見つけた彼は中に入り、ダークウッドのカウンターに近づいた。
「ビールをくれ」
彼は座りながら注文した。
店主は頷き、なみなみと注がれたジョッキを彼の方へ滑らせる。レオンはそれを掴んだ。
突然、酒場の重い扉が開いた。
船長の隣の丸椅子が、タイタンのような巨体の下で重くきしむ。
巨大な存在が彼の隣に座ったのだ。
「俺にもビールを」
暗い権威に満ちた、深く重い声が注文した。
レオンは横目でチラリと見た。
その威圧的な人物は、豪華な深紅のコートに身を包んだ獅子人だった。豊かな黄金のたてがみと、傷だらけの鼻面を持っている。
ライオンはジョッキを受け取ると、無造作な仕草で店主に代金を支払いながら、自分のホログラムのハブインターフェースを堂々と開いた。
その怪物は隠すことなど全く気にしていなかった。誰かにステータスを見られようが、知ったことではないという態度だ。
レオンは視線を落とし、青い画面に照らされたデータを読んだ。
【 ターゲット識別 】
名前: アーサー | クラス: 原初の獣 | レベル: 78
HP: 1500 / 1500
攻撃力 (ATK): 870
防御力 (DEF): 930
速度 (SPD): 620
厄災 (CAL): 100 (システム最大値)
ライオンはハブを閉じた。
レオンの心臓がドクンと跳ねた。
背筋に冷たい悪寒が走る中、彼は計算機のような冷酷さでその狂った数字を分析した。
(俺よりきっちり10レベル上か)
レオンは気付かれないように生唾を飲み込みながら考えた。
(だが、レベルだけの問題じゃない。あいつの攻撃力と防御力は文字通り俺の2倍だ。あいつの『原初の獣』というクラスが、俺の『海賊船長』クラスとは全く違う基本ステータスと成長倍率を持っているのは明らかだ。もし正面からあいつの一撃を防ごうとすれば、俺の骨は10分の1秒で粉になる)
しかし、レオンの犬の目は、その筋肉の山の唯一の、そして致命的な詳細でピタリと止まった。
速度において、ライオンは彼より正確に「100ポイント」低かったのだ。
(もし乱闘になったら)
カウンターの下で拳を握りしめながら、船長は頭の中で計算した。
(俺は絶対に奴と打ち合うことはできない。奴と戦う絶対的な唯一の方法は、自分のスピードをフル活用することだ。触れられない影となって、奴の死角から削り続け、絶対に捕まらないようにする。奴の腕力に対する、俺の敏捷性だ)
そして最後に、彼の心は最後の項目に焦点を合わせた。
厄災(CAL):100。
その啓示は、パンチのように彼を打った。
昔、ダンジョンでポールが恐怖に怯えながら言った言葉を突然思い出したのだ。
『俺たちの前の船長は、恐ろしい獅子の獣人に服従するのを拒否して……即座に呪いを受けたようなものでした。あの男は、関わる者すべてを襲う厄災なんです』
ポールの古いクルーを壊滅させた怪物が、すぐ隣に座っている。
そして彼は明らかに、もう一人の転生した人間だった。
彼の厄災100は、レオンの運の正反対であり、暗く致命的なアンチテーゼだった。
隣の男の正体を知る由もないライオンは、ゆっくりと顔を向け、退屈そうだが致死的な冷笑を浮かべてレオンを見下ろした。
「おい、小犬」
巨大なライオンは言った。
「忘れるために飲んでるのか?」
レオンは1ミリもたじろがなかった。
彼は顔を上げ、耳を伏せることなくネコ科の目を見つめ返した。
「思い出すために飲んでるんだ」
獅子人は一瞬彼を見つめ、それから頭を後ろに反らして、深く雷鳴のような笑い声を上げた。
「俺も思い出すために飲んでる」ライオンはジョッキを掲げて答えた。「乾杯」
「乾杯」レオンが応える。
カチンと音がした。
木がぶつかる鈍い音が、二人の転生者の間のシュールな出会いを封印した。
二人ともジョッキを鼻面に近づけ、ビールを大口で一気に飲み干す。
そして、彼らはグラスを下ろし、全く同時に口を開いた。
「このビール、クソ不味いな!」ライオンが嫌悪の表情で唸った。
「このビール、最高だな!」レオンが牙を舐めながら叫んだ。
二人は一瞬、無言で見つめ合った。
ライオンは半ば笑い声を漏らし、たてがみのある頭を横に振った。
「またな、小犬」
アーサーは重々しく立ち上がり、出口へと向かいながら唸った。
「またすぐにな」
レオンは三角帽子を直して答えた。
酒場の扉がアーサーの背後で閉まると、レオンは無言でビールを飲み干した。
カウンターに数枚のコインを置き、星空の下、港へとゆっくりと歩いて戻る。
緊張と疲労が入り混じっていた。
彼はタイタン級のガレオン船に戻り、自分の船室へ降りると、翌日彼を待ち受ける厄災に立ち向かう準備をするため、深い眠りへと崩れ落ちた。
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