第39話:伝説の無限燃料石で『魔導海賊弩級戦艦』が誕生!〜四つ葉のクローバーを掲げた日、別の転生者の秘密を知る〜
狼人大将の首なし死体が、血に染まった砂の上に力なく横たわっていた。
レオンは巨大な黄金の鎧の横にしゃがみ込み、爪でそれを探った。
倒した敵から戦利品を奪うのはすべての海賊の黄金律であり、これほどの格の士官が手ぶらで旅をしているはずがない。
システムによって完全に密閉された内ポケットを探り、船長は重い革の筒を取り出した。
コルクを抜くと、海軍最高司令部の公式スタンプが押された、非常に高精度な海図の数々が現れた。
ポールとアナベルが近づき、月明かりの下で砂の上に広げられた地図を覗き込む。
「船長……これは『起源の航路』の機密地図ですよ」
ポールが囁き、黄色い目をインクの線の上で走らせた。猫人は爪で航路をなぞる。
「俺たちが思っていたような、世界の果てまで続くただの一直線の海じゃありません。ここを見てください。終点に到着するまでに、赤でマークされた謎の島や群島がまだいくつもあります。海軍でさえ完全に未踏の、極度の高リスク地帯です」
レオンはため息をつき、前足で鼻面を撫でた。
「このペースじゃ、俺が本当は誰なのか一生分からないかもな……」
フラストレーションを滲ませながら地図を握りしめる。
しかし、彼はすぐに肩をすくめ、その視線を再びクリアで決意に満ちたものに戻した。
「まあ、いいさ。島が多ければ多いほど、最後までにより多くのレベルを稼げるってことだ」
アナベルが鱗に覆われた腕を組み、真剣な表情を作った。
「ええ、でもゲームは変わったわ、船長。今日私たちがしたことの後では、常に背後を気にしなければならなくなる。それも海軍からだけじゃない。これからは世界政府の全艦隊、栄光を求める大物海賊、そして海中のあらゆる賞金稼ぎ派閥が私たちを狙ってくるわ」
「並んで待たせておけ」
レオンは冷笑した。
その時、海岸の方から深いゴボゴボという音が彼らの注意を引いた。
湾の暗い水面が分かれ、キング・トリトンのタイタンのような姿が浮上してきた。
しかし、その威厳ある姿には似つかわしくないほど、海の王は文字通り大量の海藻やヒトデにまみれ、おまけに錆びた大砲の残骸まで三叉槍に引っ掛けて引きずっていた。
だが、その巨大な水かきのある手には、暖かな青い光で脈打つ結晶球がしっかりと握られていた。
【船の核】だ。彼らの船の魂は生き残っていた。
レオンは立ち上がった。
脈打つクリスタルを受け取ると、彼はトリトンを上から下まで値踏みした。
「核を持ってきたのは素晴らしいが、そのゴミは海の底に置いてきてよかったんだぞ」
トリトンは不満げに「フンスッ」と鼻を鳴らし、海藻を振り払った。
レオンは苦笑しながら、核をビーチの中央に突き立てた。
「海軍は俺たちの家を破壊した」
船長は巨獣の軍隊に向かって雷鳴のように宣言した。
「だが奴らは、俺たちが『巨人の島』にいることを忘れている。ここは想像を絶する災害に耐えるために作られた大陸だ。通り過ぎるだけで海を震え上がらせるような船を造るぞ。お前らが手に入るもの、全部あのコアに放り込め」
レオンは背後の原始のジャングルを指差した。
「ベヒーモス、ドワーフ、カニども! あの古代樹を切り倒せ。鋼みたいに硬いあの木材が欲しい! 深淵のオーク、キノコ、グール! 湾の底を浚って、沈んだ海軍の軍艦の残骸から金属板、梁、大砲を一つ残らずひっぺがしてこい! 火山岩でも、鉄のツルでも、何でも持ってこい!」
モンスターたちは、建設的な熱狂に駆られて一斉に咆哮した。
それは純粋な腕力によるスペクタクルだった。
鉄茨のベヒーモスが森へ突進する。
ミノタウロスは巨大な斧に力を込め、通常の武器ではかすり傷一つつけることすら不可能な、鋼鉄並みの強度を誇る超巨大な幹を持つ千年樹を次々と伐採していった。
巨大な双子ドワーフとマストドン捕食キノコたちが、そのサイクロプスのような丸太をビーチへと引きずり出す。
だが、作業は決してスムーズではなかった。
ドワーフとベヒーモスが「俺の方がでかい丸太を運ぶ!」と競争を始めた結果、二本の巨木が空中でガッチリと挟まり、彼ら自身が身動き取れなくなってしまったのだ。
それを見たキノコたちが気を利かせて太い根の触手で引っ張ろうとしたが、誤って通りかかったアナベルをぐるぐる巻きにしてしまう。
「ちょっと! 私は丸太じゃないわよ! 燃やすわよ!?」
アナベルの叫び声を背に、海でも作業が進められていた。
深淵のオークとキング・トリトンは、海底から破壊された敵の軍艦の船体の巨大な破片を力任せに引き上げた。
装甲ガニたちは、そのハサミを工業用ペンチのように使い、海軍の巨大な鋼板や重砲を文字通り引きちぎっていく。
何トン、また何トンと、古代の木材、金属板、岩、そして武装の山が、青いクリスタルに向かって容赦なく投げ込まれた。
ナヴァル・コアはすべてを吸収し、狂ったようなペースで脈打ち、湾を真昼のように照らすシステム光の渦の中で膨張していく。
膨大な素材の山がすべて食い尽くされた時、レオンが一歩前に出た。
彼はジャケットの中に手を入れ、プライスレスな伝説のアーティファクト、【永久の火山石】を取り出した。
躊躇することなく、彼はその燃え盛る石を直接コアの中へ放り込んだ。
システムのホログラムインターフェースが開き、極限の素材の融合を計算し始める。
【 アップグレード進行中…… 素材を計算中:原初の木材、海軍鋼、永久の火山石。 】
【 創造完了! 】
光が霧散した。 クルー全員が息を呑んだ。
水の上に浮かんでいたのは、単なる船ではなかった。
それは巨大で、止められない巨像だった。
以前の船とは比べ物にならないほど巨大で幅広な【タイタン級のシステム・ガレオン船】。
破壊不可能な原初の木材で鍛造された漆黒の船体を持ち、海軍から奪った鋼板で重装甲化されている。
船体の側面には、木と鋼に完璧に統合された、20門もの巨大な大砲が火を噴く準備を整えて並んでいた。
後部甲板からは威圧的なダークメタルの煙突がそびえ立ち、今や火山石の消えることのない輝きで燃え盛るエンジンと繋がっている。
船尾にある豪華な船長室の巨大な窓の上には、見事な巨大な「牙を剥く犬の顔」が暗い木材に彫り込まれていた。
レオンが乗船した。その隣にはアリックが続く。
霊体の副船長の顔に、初めて心からの嬉しそうな笑顔が浮かんだ。
愛する船とナヴァル・コアが無傷で、しかも以前よりはるかに強くなって戻ってきたことに、彼は目に見えて歓喜していた。
これなら、巨獣たちのクルー全員を乗せても微塵の窮屈さもない。
船長は巨大な黒い帆を見上げた。
カスタマイズメニューを引き出し、レオンは古いジョリー・ロジャー(海賊旗)を捨てることに決めた。
帆が勢いよく広がる。
キャンバスの中央には、変わらず野良犬の獰猛な鼻面が描かれている。
だが、その後ろには、もはや古典的な「交差する骨」はなかった。
背景として描かれていたのは、巨大なエメラルドグリーンの【四つ葉のクローバー】だった。
その4枚の葉と茎が幾何学的に完璧に交差し、かつての「海賊の骨」と全く同じ形に組み合わさっているという、天才的なデザインだ。
彼の『運(LUCK)200』の、絶対的なシンボル。
「クローバーですか、船長?」ポールが目を瞬かせた。「これじゃ、ゴブリンの酒場の看板みたいじゃないですか!」
「ドクロなんて時代遅れだ」レオンは指輪を撫でながら笑った。「本当の恐怖ってのは、俺たちに逆らおうとしたら『数学的にすべてが裏目に出る』って知ることなんだよ」
レオン、ポール、アナベルが自分たちの美しく新しい水上の家を感嘆の目で見上げていたまさにその時、巨大な空気の変動がビーチを揺るがした。
力強い咆哮が船の板を振動させる。
雲の中から恐るべき獣が降下し、湾の火山砂の上に重々しく着地したのだ。
レオンのインターフェースが、即座に新参者を識別した。
【 進化したマウンテンドラゴン - Lv. 58 】
【 ルキウス船長 - Lv. 57 】
巨大なマウンテンドラゴンに跨っていたのは、海賊島のアリーナで会ったリス人だった。
ルキウスは長いレザーコートを整えながら友好的に微笑み、鞍から滑り降りた。
レオンの巨獣たちは攻撃の構えをとって身構えたが、船長は前足を上げて彼らを制した。
「なんてクルーを作ったんだ、お見事だな」
ルキウスは、甲板にひしめくレベル60越えのモンスターたちと、恐るべき新しい弩級戦艦を完全な畏敬の念を持って見つめながら叫んだ。
「ルキウス」
レオンは腕を組んで答えた。二人の船長は顎を引いて挨拶を交わす。
「レベル上げに精を出してたみたいだな。だがお前……なんでドラゴン一匹だけなんだ? それだけの獣がいれば、軍隊丸ごともてただろうに」
リス人の笑顔が少し色褪せた。
彼はため息をつき、自分の獣の巨大な鱗を撫でた。
「俺の基本クラスは『ドラゴン・テイマー』なんだ。システムは俺のドラゴンをクルーとしてカウントして、俺を船長として識別するけどな」ルキウスは説明した。「システムは俺に厳格なルールを課してる。他の種類のモンスターは一切勧誘できないんだ。それに、俺はこの世界の意味をまだ理解しちゃいないから、こいつと一緒に海を放浪するのを楽しんでるだけさ」
レオンは眉をひそめ、犬の耳をピンと前に立てた。
「どういう意味だ……この世界の意味を理解していないって?」
ルキウスは視線を逸らし、暗い波を見つめた。
深いメランコリーの影が彼の瞳をよぎる。
「7ヶ月ほど前……俺は突然、この場所で目を覚ましたんだ」ルキウスは、予期せぬ脆さで声を震わせながら告白した。「最初は、自分がリスだってことすら分からなかった。俺は……自分が『人間』だと思ってたんだ」
「笑わないでくれ。奇妙でイカれた話だってことは分かってるが、本当なんだ。俺は自分が何者なのか理解したいという希望を持って、起源の航路の終点へ行きたいんだよ」
船上に落ちた沈黙は、耳をつんざくほどだった。
ポールとアナベルはゆっくりとレオンの方を向き、その顔はショックで凍りついていた。
レオンは石化したように立ち尽くしていた。
息が喉に詰まる。立ち直るのに数秒かかった後、彼は一歩前に踏み出し、絶対的な強さでルキウスを見つめた。
「笑うことなんて何一つないぞ、ルキウス」
レオンは、かすれた囁き声にまでトーンを落として答えた。
「俺も全く同じだからだ。俺も、約7ヶ月前に自分が人間だと確信したままビーチで目を覚ました。だがお前と同じように、過去の人生の記憶は一切ない。俺ももっと知るために起源の航路を航海してるんだ」
ルキウスは目を大きく見開いた。
リスの鼻面が、純粋で計り知れない安堵の表情に開いた。
「じゃあ、俺は狂ってなかったんだな……」ルキウスは囁いた。
そして、誇り高いしかめ面を取り戻し、微笑んだ。
「なら、次は起源の航路の先で会おう、レオン船長。誰にも分からないが、もしかしたら航路の終点で俺たちの答えが見つかるかもしれない」
リスは振り向き、ドラゴンの鞍に再び乗ろうとした。
「ちょっと待て」
レオンが彼を呼び止めた。一つの閃きが彼の心を駆け巡ったのだ。
「お前のシステムステータスに……『運(LUCK)』ってあるか? 俺にはHP、ATK、DEF、速度、そして運がある。お前はどうなんだ?」
ルキウスは立ち止まり、混乱して振り返った。
「運? いや。そんなステータスはない。俺には【ドラゴン親和性(AFF)】という異常なステータスがあって、それが100でカンストしてる。このステータスは、俺がテイムできたドラゴンのすべての物理・魔法ステータスに自動的にパッシブで+100%のブーストを適用するんだ。だがどうやら、この世界にはあまりドラゴンがいないらしくてな。俺が倒した奴らは勧誘できなかったんだ」
ルキウスは肩をすくめ、進化したマウンテンドラゴンの手綱を掴んだ。
「チームを拡大するためにもう一匹ドラゴンを探してたんだが、どうやらこの島は俺にはハードすぎるみたいだ……もっと安全な海域で経験値を稼ぎに戻るよ。また今度な、レオン。どうやら俺たちには、すごく似た何かで繋がってるみたいだな……また会おう!」
巨大なマウンテンドラゴンが力強いエメラルドの翼を羽ばたかせ、飛び立ち、星空へと舞い上がっていった。
レオンは甲板に残り、空を見つめ続けた。
彼だけが転生者だったわけではない。
そして何より、この世界に転移させられた人間の「異常」は、みな等しく「初期上限が100に設定された、システムのルールそのものを曲げることができる独自のステータス」を持っているという事実を、彼はたった今発見したのだ。
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