第37話:愛船を沈めた海軍に報復の炎雨!〜ステータスを【速度】に全振りした船長が、海軍大将の喉笛を食いちぎります〜
急斜面に沿って火山灰が静かに舞い上がっていたが、空気は張り詰めたまま凍りついていた。
火山の高台から、レオンは眼下の湾で波に飲み込まれていく愛船の黒焦げの残骸をじっと見つめていた。
彼の犬の瞳は、目を眩ませるほどの血の赤に染まっている。
彼の氷のような合理性は完全に拭い去られていた。
彼のガレオン船を破壊して、そのまま息をし続けられる奴など、この世に存在しない。
【船長の鼓動】の深紅のオーラが激しく脈打ち続け、軍隊全体を包み込み、全員の力をいかなる論理的限界の向こう側へと押し上げていた。
レオンは天を仰ぎ、彼の恐るべき航空艦隊を見上げた。
巨人の島の森全体が、たった一人の激怒した個体から放たれる精神的重圧の下で、恐怖に震え上がった。
「アナベル! グール、蜂ども、カラス!」
船長は湾に停泊する巨大な海軍の軍艦を爪で指差して咆哮した。
「あの船の存在自体を消し去れ。上空から炎の雨を降らせて、奴らに地獄を味わわせてやれ! ビーチへ逃げ込むように仕向けろ!」
冥界の暗殺者は残酷な笑みを浮かべ、荘厳なドラゴンの翼を広げた。
彼女が力強く羽ばたいて空へ飛び立つと、影を刈る鴉、3体の悪魔のグール、そして10体の始祖の火山蜂による終末的な群れが後に続いた。
航空艦隊が湾との距離を数秒で縮めていく中、レオンは地上部隊の巨獣たちへと振り返った。
「残りの奴らは俺に続け! 海岸まで全力疾走だ!」
跳躍と共に、船長と彼の巨大な地上軍は火山の急な灰の斜面を駆け下りた。
ヒドラ、ベヒーモス、トリトン、そしてドワーフたちが一歩を踏み出すたびに大地が揺れる。彼らは生存者を迎撃するため、ビーチへと一直線に向かっていた。
空からの強襲は、迅速かつ無慈悲だった。
軍艦の上で、海兵たちは波の音をかき消すような耳をつんざく羽音を聞き、空を見上げた。
「上だ! 対空防衛を——!」
指揮官の一人が叫んだが、遅すぎた。
10体の火山蜂が甲板の上空を旋回し、顎を開いてマグマの絨毯爆撃を放った。
液状の溶岩の球が純白の帆と木材に衝突し、ほんの数分の一秒で制御不能な大火災を引き起こす。
3体のグールが急降下し、大砲が一発も撃たれる前にそれを溶かす腐食性の酸の激流を吐き出した。
その間、影を刈る鴉が無音の影のように通り抜け、黒曜石の大鎌で帆のロープを切り裂き、炎を消そうとする者を片っ端からなぎ倒していく。
軍艦は急速に沈み始め、煙と溶岩の致死的な罠と化した。
「総員退艦!」
燃え盛る甲板から士官が悲鳴を上げた。
「海へ飛び込め! ビーチへ後退しろ! 今すぐだ!」
いかなる恐怖にも立ち向かうよう訓練された100人のエリート兵士たちは、重装備のまま必死に海へ飛び込み、海岸へと狂ったように泳いだ。
沈みゆく残骸から軽やかに飛び移り、彼らを岸へと導くのは、海軍の高官たちだった。
しかし、彼らが安全な避難所だと思っていたビーチは、巨大な死の闘技場へと変貌した。
100人の小隊全員が水から上がり、濡れた砂の上に立って慌てて槍と盾の陣形を組んだ、まさにその瞬間。
レオンの地上軍が完璧なタイミングで背後のジャングルから飛び出し、止められない災厄のように彼らの上に降り注いだ。
「捕虜はとるな!」
最初に砂にブーツを食い込ませたレオンの声が、雷鳴のように響き渡った。
海軍のエリート部隊とレオンのモンスターたちとの純粋な力の差は、瞬時に絶望的なものとして露わになった。
それは戦闘ではなく、機械的な処刑だった。
レベル68の原初の火山ヒドラがビーチを這い進み、大地がうめき声を上げる。
そのタイタンのようなサイズで、ヒドラは何十人もの兵士を黒ダイヤのコイルで巻き込み、彼らの鎧を空殻のように押し潰し、3つの頭から放つ炎の息で隊列全体を灰に変えた。
キング・トリトンが最前線に躍り出る。
電撃の三叉槍を振り回し、超高圧の水の川を解き放って装甲歩兵たちをいとも簡単に薙ぎ払う。
鉄茨のベヒーモスがその直後に乱戦に身を投じた。
【漆黒の炎】を纏った斧が振るわれるたびに防衛陣形が引き裂かれ、兵士たちの重い金属の盾は紙切れのように粉砕された。
3体の深淵のオークが【血の渇望】を解き放つ。
【海の水】の投射物で一つの小隊を全滅させた後、彼らは接近戦に突入し、水かきのある手と恐ろしい爪で敵をバラバラに引き裂いていく。
2体の巨大な双子ドワーフは、動かざる戦車のように前進した。
槍は彼らの超巨大な鎧に空しく弾かれ、彼らのウォーハンマーは敵の胸当てをただのスクラップの山へと変えた。
その傍らでは、4体の巨大な装甲ガニが鋼のハサミを使い、逃げ惑う男たちを文字通り真っ二つに切断していた。
2体のマストドン捕食キノコでさえ、この物理的な大虐殺に加わった。
接近戦の乱戦の中で味方まで石化させることを恐れ、彼らは【麻痺胞子】を使わないことを選んだ。
代わりに、その巨大なサイズと【菌糸の力】を活かし、腕の太い根を致命的な鞭として使い、オークやドワーフたちと肩を並べて兵士たちを打ち据えた。
海軍のエリートたちは、一切の慈悲もなく殲滅されていった。
レベル65の鷹人大将は、自軍の兵士たちが抵抗すらできずに虐殺されていくのを見て激怒した。
彼は羽毛に覆われた翼を広げ、弾丸のように空へ飛び立つと、輝く剣を抜き放ち、海岸を爆撃し続ける航空艦隊を撃ち落とそうとした。
しかし、力強くしわがれた咆哮が彼を地上へと引き戻した。
「鷹、降りてこい!」
炎に包まれた砂浜を歩み出たのは、艦隊の最高指導者であるレベル68の狼人大将だった。
威圧的な犬科の獣人は、自兵たちが倒れていくのを見つめ、このままでは即座に介入しない限り全滅することを悟った。
彼は隣の巨大な中将へと顔を向けた。
レベル66の猿人の指揮官が頷いた。
彼は破壊的なバトルアックスを胸当てに打ち付け、空へ掲げた。
そこから、青と金の光の柱が噴出する。
「絶対正義の名の下に……【海軍支配の盾】!!」
青虎の咆哮のエンブレムと融合した巨大な黄金のオーラが猿人の体から爆発し、湾全体へと半径を広げ、すべての兵士を包み込んだ。
これこそが軍事指揮の究極能力だ。
負傷した歩兵たちは再び立ち上がり、彼らの鎧は純粋な魔法の力で輝き、その力と回復力は人間の限界を遥かに超えるレベルにまで引き上げられた。
活気を取り戻した雄叫びと共に、100人の海兵たちは盾を地面に突き立てた。
今度こそ、ヒドラとベヒーモスが彼らに激突した時、防衛線は崩れなかった。
指揮官のバフによって限界まで強化されたエリート歩兵たちは互角の戦いに持ち込み、一方的な大虐殺を、レオンの巨獣たちに対する血みどろで熾烈な塹壕戦へと変えたのだ。
鷹人がリーダーの隣に重々しく着地した。
海軍の真の指揮官たちが湾の中央に集結する。
狼人と鷹人に加え、この致死的なグループを完成させたのは、先ほどの重装甲の猿人と、抑制されたエネルギーで筋肉を震わせるレベル61のチーター人大将だった。
狼人は剣を真っ直ぐレオンに向けた。
レオンは堂々と立って彼らを待ち構えていた。
「全員で行くぞ! 奴を殺せば、モンスターどもは自動的に死ぬ! 蛇の頭を切り落とすんだ!」
狼大将が咆哮した。
4人の恐るべき海軍の戦士たちが同時に駆け出した。
彼らの圧倒的な力で海賊の船長を押し潰せると確信し、合同攻撃の構えをとる。
しかし、彼らは弩級戦艦の「士官たち」の存在を計算に入れていなかった。
グループの中で最速のチーター人大将が姿勢を低くし、肉眼では捉えられない速度でスプリントした。
彼がレオンに到達するよりも早く、青い火花がビーチを照らした。
ガキィィン!!
斑点模様の大将は目を大きく見開いた。
彼の電光石火の攻撃が、片手だけで防がれていたのだ。
ポールがサーベルでその一撃を妨害していた。
巨大化した体躯と船長のオーラのおかげで、彼は微塵の努力も要せずにその場に立っていた。
「斑点の奴は俺がやりますよ」
ポールは興奮で尻尾を鳴らしながら笑った。
瞬く間に、彼は稲妻の閃光と共に消え去り、チーターを彼が完全に圧倒する残忍な決闘へと引きずり込んだ。
全く同じ瞬間に、鷹人大将がレオンを上空から急降下で狙おうとしたが、炎の軌跡が空中で彼の進路を塞いだ。
アナベルが彼の前に立ち塞がり、輝く刃を猛禽の剣と交差させた。
「小鳥さん、何をするつもり?」
冥界の暗殺者は、無慈悲な笑顔でシューッと息を吐いた。
ドラゴンの翼を羽ばたかせ、アナベルは彼に炎の嵐を解き放つ。鷹人が防御するのすら困難な炎の渦の中に、彼を空中で完全に釘付けにした。
地上では、強力な猿人指揮官が頭を下げて突進し、レオンに破壊的なバトルアックスを振り下ろそうとした。
しかし、周囲の気温が突然急降下した。
アリック、霊体の副船長が吹雪のように出現した。
亡霊は純粋な永久凍土の刃を抜き放ち、一歩踏み込んで猿人の斧を凍りつくような衝突と共に逸らした。
彼は霊長類の腕を凍らせ始め、触れることすら不可能な生ける伝説を前に、彼を完全に麻痺させて不利な状況に追い込んだ。
海軍のグループ攻撃は、完璧に解体された。
レオンの3人の士官たちは一度も後れを取ることなく、リーダーへのすべての道を塞いでいた。
しかし、唯一劣勢に立たされていたのは、レオン自身だった。
レベル68の狼人大将が、ハリケーンの怒りを持って彼に迫っていたのだ。
彼はレオンの肺から息を奪うほど速く重い、垂直の連続攻撃を解き放った。
レオンは【伝説の盾】を掲げた。
アーティファクトは衝撃に完璧に耐えたが、絶対的なレベル差により、破壊的な衝撃波が船長の骨に直接伝わった。
レオンは砂の上を後退し、土埃の雲を巻き上げた。
彼は鎖鉤で反撃を試みたが、指揮官の盾で強化された狼人は速すぎた。
手首の滑らかなスナップで、大将は大剣の軌道を反転させ、犬の防御を叩き落とすと、真っ直ぐに胸へと残忍な蹴りを叩き込んだ。
レオンは後方に吹き飛ばされ、砂の上を数メートルも悲惨に転がってようやく止まった。
痛みが彼の息を奪う。
「貴様は七つの海の歴史上、最も弱い海賊船長だな」
狼人大将は唸り声を上げ、大剣を握りしめて容赦なく前進してきた。
「クルーがいなければ、貴様は無価値だ。集めた獣の後ろに隠れているだけの、ただの野良犬に過ぎん」
レオンは血を吐き出したが、その目は純粋な計算の光で燃えていた。
単純な腕力では彼を上回れないことは分かっている。レベルの差と敵のバフが、彼を貫通不可能な壁にしていた。
しかし、敵の攻撃は、標的にかすりさえしなければ全くの無意味だ。
素早い思考のジェスチャーで、レオンはホログラムのインターフェースを呼び出した。
火山の奥底で蓄積した【190ポイント】を見つめる。
彼は10分の1秒もためらわなかった。
攻撃力(ATK)を無視した。
防御力(DEF)を無視した。
彼はその莫大な力のすべてを一滴残らず、たった一つの不可欠な方向へと注ぎ込んだ。
【 速度(SPD)】へ。
新たな、そして恐ろしい速度でレオンは前方に踏み込んだ。
狼人大将はまばたきする暇すらなかった。
最大化されたステータスを燃料とし、船長は文字通り彼の視界から消え去り、ほんの一瞬後に敵のガードの完全に内側に再び現れた。
レベル68の海兵は巨大な両手剣を絶望的なスイングで振り下ろしたが、空気を斬るだけだった。
レオンは巨大な刃の下を流れるように潜り抜け、手首の素早い動きで、斬り込み用の鎖鉤の重い鎖を敵の剣の鍔に巻き付けた。
その勢いと異常な加速を利用し、レオンは足を踏ん張り、全力で引っ張った。
凄まじい運動エネルギーが、狼人の手から武器を暴力的に引き剥がした。重い刃はビーチの数十メートル先へと飛んでいく。
自分より格下だと見下していた海賊に武装解除されたことに激怒し、狼人は唸り声を上げた。
レオンは氷のような視線を崩さず、自ら腕から鎖を外し、自身の鎖鉤を鈍い音と共に砂の上に落とし、武器を捨てた。
大将の目は野性的な狂気で燃え上がった。
暗く捕食的なオーラが灰色の牙を包み込み、彼の顎が不自然に開いた。
「これで貴様と俺だけだな、犬め」
狼人がシューッと息を吐いた。
「【狂狼の咬傷】!!」
大将が咆哮し、彼自身の致死的な接近戦スキルを発動させ、一撃で首を噛みちぎるつもりで真っ直ぐレオンの喉元へと飛びかかってきた。
しかし、電光石火のスピードにより、レオンは見事に横へスライドした。
空気を噛み砕いただけに終わった狼の破壊的な一撃を、間一髪で回避する。
相手が体勢を崩したのを利用し、レオンは一瞬で位置を直した。
ダークメタルの【野獣の指輪】が原始的な熱で燃え上がり、彼の野獣のパッシブスキルを4倍にする準備を整える中、彼自身の顎が大きく開かれた。
大将が振り返ろうとした時には、レオンはすでに彼の目の前にいた。
そこには、一切の慈悲を約束しない血に飢えた笑顔があった。
「どっちの牙が致命的か……試してみようぜ」
レオンはそう囁き。
その顎を、強く噛み合わせた。
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