67話 雪乃直伝──月に押しつけられた(?)手間スイーツ講座**
67話 雪乃直伝──月に押しつけられた(?)手間スイーツ講座**
閉店後の「雪の庭」。
テーブルを拭き終えた弥生が、カウンターで紅茶を飲む月にそっと問いかけた。
「月姫様……本当に、オペラをお作りになれるのですか?
あれはとても難しいスイーツなのでは……?」
月は当然のように胸を張る。
「もちろんよ! 雪姉様の“直伝”なんだから。」
その言葉に、忍・クラリス・セリーヌの三人が同時に身を乗り出した。
「雪乃お嬢様直伝……!?」 「スイーツ作りを教えられていたんですか?」 「す、すごいです月さん!」
月は紅茶をくるりと回しながら、得意げに続ける。
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■ 雪乃が教えたスイーツの真相
「オペラ、ザッハトルテ、タルトタタン……
こういう“時間も手間もかかるスイーツ”はね、全部、雪姉様に教えてもらったの。」
クラリスが素直に感心する。
「雪乃お嬢様は本当に料理上手なんですね……!」
しかし、次の瞬間――
月の口から、とんでもない真相がさらりと飛び出した。
「だって雪姉様、自分で作るのが面倒でしょ?
だから月に“代わりに作れるようになりなさい”って教えてくれたの。」
弥生:「……ん?」
忍:「……今、なんと?」
月はにこにこしながら断言する。
「つまり、面倒くさいスイーツほど月の担当なの。」
店員全員: 「押しつけられてるだけでは!?」
月は気づかない。
「雪姉様ったら、褒め上手なのよ?
“月なら絶対できるわ”“あなたが作った方が美味しいもの”って♡」
忍は頭を抱えた。
「……それ、完全に都合よく持ち上げられて利用されてません?」
セリーヌが目を潤ませ震える。
「でも月さん……嬉しそうです……」
「だって褒められるの好きだもの♪」
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■ 雪乃の特殊事情
弥生が慎重に尋ねる。
「雪乃お嬢様は、ご自身では作られないのですか?」
月は即答した。
「うん。“食べるのは好き。でも作るのは面倒”って言ってたわ。」
店員一同: 「……ひどい。」
月はそれを肯定するどころか朗らかに笑う。
「でも、雪姉様の味覚は本物よ?
レシピもすっごく厳しいの。
“月、ここ0.5グラム違うだけで台無しよ?”って、本当に細かいの。」
忍は遠い目をした。
「細かいのに自分では作らない……」
セリーヌ: 「……やっぱり面倒くさがりなんですね……」
クラリス: 「でも、そのぶん腕の立つ月さんが育ったんですね」
月は嬉しそうに胸を張る。
「そうなの! 手のかかるスイーツは全部月に任せておけば大丈夫!
雪姉様公認なんだから!」
弥生は苦笑しつつも、どこか納得したように呟く。
「……確かに、雪乃お嬢様らしいですね。」
忍: 「えぇ、とても……らしいです。」
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■ そして明日のオペラへ
月は紅茶を飲み干し、力強く宣言する。
「だから明日のオペラも任せて!
雪姉様より美味しく作ってみせるんだから!」
店員たちは――
苦笑しながらも、どこか安心した表情で頷いた。
「……それなら頼もしいですわ、月さん。」 「雪乃お嬢様の代わりに、ですね……」 「お手並み拝見いたします!」
月は満足げに笑った。
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こうして、“雪乃都合の直伝スイーツ講座”の全貌が明らかになったのだった。
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