66話番外編
66話番外編
雪乃庭に現れた月姫に雪の庭自慢の紅茶を出す弥生。
一口くちにした月姫は
「青の月ね。」と言い合あてる、。
「さすがですね。月姫様。よくお分かりで…」
「当然よ。これは、月の紅茶だもの」
「え?、月姫様の?どう言うことでしょうか?」
「ジパング王室、門外不出の7品種の一つなの」
「門外不出は、存じてますか…月姫様のとは?」
「7品種というのは、私達7姉妹をイメージして作られたひんしゅなの」
「では、青の月とは…」
「そう私をイメージしたらしいの…だから、私の紅茶…ここは、雪姉様のお店だから、てっきり、雪姉様の紅茶 雪白を出すのかとおもっていたわ」
「その七品種についてくわしくお教えくださいませんか?」忍が興味深そうに聞いてくる。
門外不出の七品種──姫たちが宿す物語**
閉店後の静かな「雪の庭」。
紅茶の香りが残る店内で、忍が興味津々といった顔で月に尋ねた。
「月姫様、門外不出の七品種 ……にあれは本当に王家の姫様方をイメージして作られたのですか?」
月はくるりとスプーンを回し、得意げに微笑む。
「もちろんよ。全部、本当のこと。」
店員四人が一斉に身を乗り出す。
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■ 七品種の秘密
「じゃあ、教えてあげるね?」
月は一人ずつ指を折りながら説明を始めた。
「第一王女・壱姫姉様は《深紅》」
「第二王女・星姫様は《星の輪舞曲》」
「雪姉様は《雪白》」
「第四王女・風姫姉様は《微風》」
「私は《青の月》」
「第六王女・夢姫は《琥珀の夢》」
「第七王女・花姫は《びっくり箱》」
クラリスが目を瞬かせた。
「……最後だけ、何か系統が違いますよね?」
「花姫に会えば分かるわ。あの子、“歩くサプライズ”みたいな子だから。」
忍は興味深く紅茶をかき混ぜる。
「びっくり箱という銘柄名にも、何か理由があるのですか?」
月は楽しそうに頷いた。
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■ 《びっくり箱》の由来
「この紅茶ね、気温・湿度・お湯の温度……
ほんの少し条件が変わるだけで、香りも味もまったく違うの。」
「えっ……そんな繊細なんですか?」
「そうなの。七品種の中でも最も栽培が難しうえ、
毎回“どんな味が出るか分からない”から――《びっくり箱》。」
セリーヌが感嘆の声を漏らす。
「花姫様ってどんな方なの?」
月は嬉しそうに微笑む。
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■ 《深紅》が危険な理由
忍がメモをとりつつ、さらに尋ねた。
「では、《深紅》はどんな特徴が?」
月は少し言いにくそうにしながらも、淡々と答えた。
「壱姫姉様に由来する銘柄なんだけど……
“字の通り”紅のような鮮やかな色をしている紅茶なの。」
「栽培は、難しいのですか?」
月はこともなげに続けた。
「えぇ、とても難しいわ。別の意味で、だけど。」
忍たちは不安な視線を交わした。
「……別の意味とは?」
月は軽く指先を立てて説明した。
「《深紅》を植えるとね……
周囲50メートルくらい、他の植物が生えなくなるの。」
「え……?」
「土壌の栄養分を全部吸いつくしてしまうから。
作物どころか、雑草さえ生えないわ。」
店員全員:
「こわっ!!」
月はさらっと爆弾を追加する。
「うっかり変な場所に植えたら……
砂漠化するかもね?」
弥生は紅茶を噴きかける勢いで叫んだ。
「怖すぎます!!それもう紅茶じゃなくて兵器です!!」
月は悪びれもせず、紅茶カップをくるくると回した。
「でも美味しいのよ? だから壱姫姉様はお気に入りなの。」
忍:
「(お気に入りの基準が違いすぎる……!)」
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■ 《青の月》の話へ
クラリスが興味深そうに尋ねる。
「では……《青の月》は、月様の……?」
月は楽しげに頷いた。
「うん。雪姉様が一番好きな銘柄なの。
……“月が好き”って意味で選んだわけじゃないと、思うけどね?」
セリーヌはこっそり弥生に耳打ちする。
「……これ、完全に姉妹の溺愛では……?」
弥生:
「言わないであげて。月様が照れるから。」
月は気づかぬまま紅茶をすする。
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「月姫様、雪白についても教えてくださいますか?」
「あれ?弥生ちゃん、雪姉様の紅茶なのに…知らないの?雪姉様付きのメイドなのに…」
「不勉強でもしわけありません。雪乃様が教えてくださらないのです」
「ああっ…ねぇ…そりや言わないか…」
「え?あの…?お教えくださいませんか?」
「雪姉様が、話したがらないなら、少なくとも本人のいないとこでは、話せないわ…」
「?では、雪乃様がいるときならお教えくださいますか?雪姉様のメイドなのに雪白について何も知らないなんて恥です」
「まあ、みんな身内だし、雪姉様も、ムキにならないと思うし…、いいわよ」
「なんか、よくわからないけど約束ですよ」
「は~い」
――こうして、「七姫と七品種」の裏話は静かに更けていくのだった。




