59話 雪乃、限界につき閉店します。
59話 雪乃、限界につき閉店します。
店員たちの反応
「お嬢様……あんなふうに声を荒げるなんて、本当に珍しいですね。」
セリーヌが恐る恐る近づき、小声で呟く。
「確かに。お嬢様が怒ると、ああなるんですね……。」
忍も驚きを隠せず、感心半分の声を漏らした。
雪乃はカウンターに腰を下ろすと、どっかりと紅茶のカップを置き、深いため息を一つ。
「本当はこんなことしたくなかったわ。でも……もう今日は何もしたくない。」
弥生が新しい紅茶をそっと置き、微笑を浮かべる。
「お疲れさまでした、お嬢様。」
雪乃は紅茶を一口飲むと、静かな声で宣言した。
「明日は休業にします。絶対に誰にも邪魔させないから。」
その言葉に、店員たちは同時に顔を見合わせた。
(お嬢様……相当お疲れだ)
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雪乃、気力が落ちた
閉店から数時間後。
店内の片付けを終えた弥生たちは、階段の方をちらちらと見上げていた。
「……完全に、気持ちが切れてる。」
弥生が腕を組んで呟く。
セリーヌが階段をそっと上り、扉越しに声をかけた。
「お嬢様、何かお持ちしましょうか? 紅茶でも……」
返ってきたのは、短く、鋭い一言。
「いらない。」
クラリスが眉をひそめ、弥生に囁く。
「お嬢様、ここまで頑なになるのは珍しいですね。どうしましょう……?」
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忍の冷静すぎる分析
一方、忍はティーカップを片付けながら落ち着き払った声で言った。
「お嬢様は自分のペースを大事にされます。こういう時は無理に構わず、放っておくのが最善です。」
「で、でも……明日は休業なんですよね? 本当に何もしないなんてこと……あるんでしょうか?」
セリーヌが不安げに訊く。
弥生は苦笑しながら即答した。
「あるわね」
忍は小さく微笑み、言葉を添える。
「……再開の鐘が鳴るまで、静かに待ちましょう。」
その瞬間、店員全員が同時にため息をついた。
(お嬢様……長引きそうだ)
そんな中、忍はひとり静かに新しい紅茶を淹れた。
「まあ、気長にいきましょう。お嬢様は、必ず戻ってこられますから。」
その穏やかな声に、店員たちはようやく心を落ち着かせるのだった。
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