第57話 討論 アルベルトVS王子
第57話 討論 アルベルトVS王子
昼下がりの「雪の庭」。
いつもなら落ち着いたアールグレイの香りが満ち、穏やかな音楽と客の囁き声が心地よい空間――
……のはずが。
今日はまるで決闘前の緊張のような空気が張り詰めていた。
店の中央では、
フードを被った第一王子アルフレッドと、
スーツ姿のスタードール店長アルベルトが、テーブル越しに睨み合っていた。
「雪の庭史上、最も空気が重いわね……」 セリーヌが震える声で呟く。
クラリスがそっと弥生の背に隠れながら返す。 「まるで戦場ですわ……スイーツの香りも吹き飛んでます……」
忍はカウンター奥から様子を伺いながら、ぼそり。 「お嬢様、そろそろ止めないと店が壊れます」
だが。
当の雪乃は――
眉間に深い皺を刻みながらも、あくまで優雅に紅茶を飲み続けていた。
(……どうして私の店で討論会が始まるのよ……静かにお茶を飲ませてほしいわ……)
ピキッ、とこめかみが小さく震えている。
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王子、強めの説教モード
「店長としての誇りを持つべきではないか!」
王子の凛とした声が店内に響きわたった。
変装をしているつもりだが――
誰がどう見ても王子そのものの威圧感である。
「雪の庭の店長に頼り、レシピを恵んでもらうなど……!
「それでは自分の店と言えるのか?」」
胸を張り、堂々と叱責するその姿に、常連客数名が息を呑む。
「ひ……ひえぇ……本物の王様みたいだ……」 「いや王子だろ……」
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アルベルト、負けじと反論
しかしアルベルトも引かない。
背筋を伸ばし、落ち着いた声で反論する。
「私は雪乃店長から“学び”を得ているだけだ。
彼女の技術や発想は、店として尊敬に値する。提携は互いの利益のためだ」
王子が眉を吊り上げる。
「“学び”ならばまだしも――実態は依存だ!
客の大半が雪の庭の恩恵を求めている現状、君の店の色はどこにある?」
アルベルトの瞳にも激情が宿る。
「色はこれから作る!
客が喜べばそれでいい――そのために最善を尽くしている。誇りを捨てた覚えはない!」
店内の温度が上がっていく。
常連客たちは固唾を飲んで見守っていた。
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店員たちの悲鳴
セリーヌが震えながらクラリスに囁く。
「こ、これ……もう喧嘩ですよね……?」
「ええ……どう見ても政争の匂いがしますわ……」
忍は静かに呟いた。
「このままだと、店が“舞台”として使われてしまいます……お嬢様、出番です」
すると弥生が、雪乃の様子を見て青ざめる。
「や、やばい……眉間の皺が限界突破しそう……!」
その間にも討論はヒートアップしていく。
「君の店は雪の庭の影に甘えているのだ!」
「甘えてなどいない!必要だから提携した、それだけだ!」
「必要に応じて雪乃店長を利用しているだけではないか!」
「利用ではない!尊敬だ!」
言葉の刃が飛び交い、空気は完全に修羅場。
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雪乃、静かなる怒気
雪乃は紅茶を飲み干し、カップを静かに置いた。
その仕草は優雅。
だが、その後に続く沈黙が――怖い。
(……ここ、喫茶店なんですけど?
あなたたちの口論会場じゃないのよ……)
眉間の皺が深く深く刻まれ、こめかみがピクピク。
店員たちが一斉に背筋を伸ばす。
「あ……お嬢様が……怒る……!」
クラリスとセリーヌが震える中、
雪乃はまだ言葉を発さない。
だが、店内の誰もが悟っていた。
――そろそろ限界だ。
喫茶店の静寂を守るため、
優雅な店長がついに動き出す……!




