第51話 雪乃、忙しすぎて逃亡?
第51話 雪乃、忙しすぎて逃亡?
店長の一言で店内が凍りつく
「忙しくて話にならないわ!」
カウンター奥で紅茶を飲んでいた雪乃が、ぷいっと頬を膨らませた。
その声は、まるで“忙しさの被害者”のようだが……
弥生は注文用のトレイを片手に、冷え切った視線でツッコミを入れた。
「……お嬢様、今日一度も働いてませんよね?」
しかし雪乃は、豪快に無視した。
そして突然、椅子から跳ね起きる。
「ちょっと向こうの喫茶店に行ってくるわ!」
「はい!? なぜ今!?」
弥生が目をむいた。
「偵察よ。あの店がどうやってあんなに客を集めていたのか確認してくるの。」
「いや、今は明らかにこちらの方が忙しいんですけど!?」
店員が右へ左へ走り回り、店内は軽い戦場なのに、店長は堂々と逃亡を宣言していた。
雪乃はマントを翻し、強引に店を出て行った。
弥生・忍・セリーヌ・クラリス
(いや……誰か止めてくださいよ……)
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閑散とする「スタードール」
その頃、向かいの新喫茶店「スタードール」。
数十分前までは大賑わいだったが、いまは――
客、ほぼゼロ。
店員が虚無の視線でテーブルを拭き続ける地獄カオス状態だった。
カウンター奥では、店長アルベルトが腕を組んで頭を抱えている。
「な……なぜだ……!?
どうしてたった3時間しか営業していないあのふざけた店に客が流れる……!?」
店員が恐る恐る手を挙げる。
「あの……店長。もしかして『雪の庭』の方が美味しいのでは……?」
「バカなこと言うな!!」
アルベルトは机を叩いて叫んだ。
「うちのスイーツは王宮御用達シェフの監修だぞ!?
向こうの店長、毎日ソファで紅茶を飲んでるだけらしいじゃないか!」
店員A
「それは……ええ……噂で聞きました……」
店員B
「働かない店長って、本当にいるんですね……」
アルベルト
「じゃあなぜだ! なぜうちが負ける!?」
店員たち
「知らないです……」
答えられる者は誰一人としていなかった。
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敵(?)店長、登場
そのとき、「スタードール」の扉が勢いよく開いた。
カランコロン。
雪乃が堂々と入店した。
店員たちの顔が一瞬で青ざめる。
「い、い、いらっしゃいませ……!?
ご、ご用件は……?」
「店長に会わせてちょうだい。」
落ち着いた声で雪乃は言う。
店員は慌てふためき、裏へ走る。
「店長!! 大変です!!
雪の庭の店長が来ました!!
敵の店長です!!」
アルベルトは思わず書類を落とした。
「なにいっ!? 向かいの……あの天才か怠け者かわからない店長が!?
なんの用だ……!? まさか宣戦布告か……!?」
店員
「わ、わかりません! ただ、“話がしたい”と……!」
アルベルトは立ち上がる。
「……よし。来い。受けて立つ。」




