第八話 揺れていた決意とハヌーとまた食べられた右手
腕時計を確認する。
大体4時くらいか、まだ時間はあるかな。
校長室を出た後、ガウェインの案内で寮に向かっている所だ。
俺たちが住むことになる寮はこの学校の敷地内にあるらしいが、広いからわからん。
この学校、俺の知ってる学校と比べるまでもなくデカいし広いしで、地図もなく歩き回ったら迷子になりそう。
俺嫌だぞ、学校放送で○年○組赤穂龍真君が迷子になったので保護者の方はサービスカウンターまで御越し下さいって言われるの。
どういういじめだよ。
変な妄想に辟易していると、俺が死にそうな顔で入ってきた校門を通り過ぎる。
てことは寮は講堂の反対側か。
そこから少ししてフランがひょこひょこ近づいてきた。
「ねえねえ」
「ん?」
「異世界から来たってホント?」
あの話か。どうするかな……。
校長は俺たちが決めろと言ったけど、俺はこのことを話すかどうか、話したとしてどうするか、それを考えておけということなんだと思う。
でも、まあ異世界から来たことが混乱を引き起こすとか、そんなことにはならないと思うんだがな。
大げさだとは思うけど考えが軽すぎるだろうか、しかし……う~ん、よし、話すか。
「ああ本当だ、俺は異世界から来た」
「へえ~、異世界ってどんなとこ?」
「それ、僕も興味あるなぁ」
ハワードもこの話によってきた。
どんなとこと言われてもな。
考えていると前を行くガウェインが歩く速度を落として聞いてきた。
「話すことにしたのか?」
「ガウェインさん……ええまあ、この際話しとこうかなと」
校長室での話も聞かれてたし、中途半端に隠すよりもちゃんと説明しといたほうが変に関係もこじれなさそうだ。
事情を知ってくれている同級生がいると心強いってのもあるしな。
「異世界……ていうか、俺のいた世界の事か……とりあえず魔法はない」
「え、魔法がないの!?」
ハワードが驚くように声を上げる。
そんなに驚くことか?
でも、俺もこっちに魔法があることに驚いたし、こっちの人からすれば魔法がないほうがおかしいんだろうな。
「それじゃあ魔物と戦うときはどうするの?」
「魔物って……」
魔物……か。
この世界に魔物がいるのは、アルセムでの生活の中ですでに知っていた。
あの商人のおっさんも王都とアルセムを行き来する時にたまに見かけるんだそうだ。
王都近辺は人を襲うような中型以上の魔物はほとんど駆除されていて、基本的に小型のものばかりらしい。だから護衛等も必要ないとか。
一番初めに聞いた異世界の言葉なだけあって少々感慨深い、嫌な思い出しかないけど。
「俺の世界には魔物もいないよ、まあ海賊とかテロリストとかはいるけど」
「てろ? じゃあそれと戦うときはどうするの?」
「ああいうのとは銃とか使うんだよ」
アメリカの警官がパトカーのドア越しに拳銃を構えて撃っているシーンを思い出す。
テレビの衝撃映像とか警察特集とかでよく目にするシーンだと思う。
「じゅうって何? 数字?」
「数字じゃなくて武器だよ、これっくらいので、引き金を引くとバンッてデカい音がして弾が飛んでいくんだ、まあ弓をすごく強くした武器かな」
ジェスチャーを交えながら大雑把に説明する。
銃の構造とか原理をはしょった大雑把な説明でもすごいという部分は理解したようで、フランはほへ~と感心している。
まあこんな説明じゃ理解できるもんもできないとは思うけど。
「あとは車とか、飛行機とかかな」
「それはなんなんだ?」
「車は……ガソリンって燃料で動く、馬の要らない馬車みたいなもんですよ、飛行機は空を飛ぶ乗り物で……」
「空を飛ぶって、龍とかそういうのに襲われないの?」
車と飛行機についてガウェインに説明しているとフランが飛行機に食いついてきた。
そういえばこの子、龍に乗ってきたって言ってたな。
「だから、魔物とかいないんだって、龍も同じ」
「龍もいないの!?」
この世界では龍と魔物は別という考えなんだろうか。
龍……っていうよりドラゴンは魔物の中でもかなり強い存在としてゲームとかによく出てくる。
ちなみに俺の世界にもドラゴンはいないわけじゃない、コモドドラゴンっているしな。オオトカゲだけど。
「いないいない、そんなのいたら大パニックだよ」
「魔物に龍もいないのか、平和な世界なんだね」
「まあね」
平和か……それでもテレビをつければどっかがミサイルを撃っただの、テロリストがどうたらだの。
現地で奮戦している人たちからすれば違うんじゃないだろうか。
ただ俺のいた場所がそうだっただけってだけで。
まさか異世界に来てこんなことを考えることになるとは。
「龍いないのかぁ……あ、そだ、ガウェイン……副団長!」
急にフランが何か思いついたようでガウェインに話しかける。
「ガウェインでいい、その敬称は……まだ慣れないいんだ」
「え、あぁ……それじゃあガウェインさん」
恥ずかしそうにする頬を描くガウェインに、フランは改めて質問した。
「ハヌーが心配なので先に龍舎によっていいですか?」
「ああ君が乗ってきた龍の事だね」
そういえば龍が大人しくなってくれなくて遅れたんだっけか。
龍か、気になるな。見てみたい。
「たしかラシーティって種類だよね、確かに心配にもなるよね」
「うん」
そういえば臆病で警戒心が強いって言ってたな。
ハワードの言葉にフランはうなずく。
あれ? そういえばハワードはフランの龍を知ってるのか?
「校長室の前で待ってる時にフランさんから聞いたんだよ」
「ああ、なるほどね」
「それじゃあ先に龍舎に向かおうか」
そういうわけで行先を変更してハヌーがいる龍舎へと向かった。
ここからだと寮よりは近いらしい、校門から大体200mほど隣だそうだ。
何気なく200mって言ったけどほんとに広すぎない?
「あれだね」
「はい!」
しばらく歩いてすぐ、ガウェインが指差す先に立派な建物が見えてきた。
テレビとかで見えた牛舎とかをさらにでっかくしたような建物だ。
学校にしろ講堂にしろこれにしろ、いちいちスケールがデカいな。
もうすぐ会えるからか、心なしかフランの声にも元気が戻っているようだ。
すると牛舎……じゃない龍舎の外側にくっついている自転車置き場というかバス停というか、備え付けの屋根が壁に沿ってずらーっと並んでいるその一番手前、干し草に体を乗せて休んでいた何かがのっそりと首を持ち上げて鳴き声を上げる。
「ひょっとしてあれがフランさんの龍?」
「うん! ハヌー!」
そういってその龍に駆け寄っていくフラン。
そのまま首元に抱き着きわしわしと体をなでる。
あれがハヌーか。
座ってるからよく分からないが、その状態でも俺より高い位置に頭がある、体長は2・3mよりもっといくだろうか。
首と尻尾が長く、首元と足の付け根あたりにふわふわとした白い体毛がまとまって生えていて、腕は細く蝙蝠のように翼が生えている。
体色は灰色だがつやがあって、鱗が日の光にきらきらと輝いていた。
あれが龍、本物の龍! ちょっとテンション上がってきた!
「よしよし、ごめんね遅くなって、いい子に待ってた?」
「キュルルアアァァ」
フランがマッサージをするように撫でると、気持ちよさそうに体を寄せていくハヌー。
いいな、俺も近くで見てみたい。
そう思って近づいて行こうとすると、ガウェインに止められてしまった。
「これ以上はよくない」
「え?」
「リューマ、あれ」
ハワードがハヌーの方を指さすと、こちらに気づいていたのか近づこうとした俺をじっと見つめていた。
ひょっとして警戒してる?
「こっちを警戒しているんだ、人馴れしているとはいえ無暗に近づくのはよした方がいい」
「そっか……」
残念、近くに行くのは無理そうだ。
だがフランはそんな警戒する姿勢を見せるハヌーを宥め、大丈夫だと言い聞かせる。
「大丈夫だよハヌー、あの人たちは私の友達なの、お母さんやお父さんに隣のおじさんと一緒、大丈夫、怖くないよ」
そういいながらハヌーの頭を抱き、首をやさしく撫でるフラン。
「龍って人の言葉とか分かるのかな?」
「知能は高いほうだからだいたい分かるんじゃないかな?」
ほうほう。
ハワードから龍について聞いていると、ハヌーが落ち着いてきたらしくフランがこっちに手招きをする。
「大丈夫なのかな?」
「俺はぜひとも行きたいんだけど?」
ハワードの疑問に俺はそわそわと答えた。
まるで子供のようだが、本物を近くで見れるんだと思うと居ても立っても居られない。
とはいえ何かあると大変なんでゆっくり近づくけど。
「おお……」
すごい、でかい。
最近こんな単純な言葉くらいしか言ってないけど、ほんとにデカい。
フランが宥めている間にゆっくりじっくりハヌーまで近づくと、ハヌーが首を伸ばしてくる。
犬の様に匂いを嗅いでいるんだろうか。
俺と同じように近づいてきたハワードが言う。
「危険かどうか調べてるんだよ、変に騒がなければ大丈夫なはずだよ」
「お、おお……」
ほんとに犬みたい。
しばらく俺の匂いを嗅いでいたら次はハワードに向かった。
ハワードも緊張しているのか少し強張っているな。
俺たち二人を嗅ぎ終えると起こした体をまた干し草に横たえる。
「大丈夫みたいだね」
「よしフラン、俺も撫でてみていいか?」
「うん、大丈夫だと思うよ」
そういうとフランがハヌーの頭をこっちに誘導する。
以外とクリクリとした目できれいだ。
ゆっくりと手を差し出すとハヌーの方から頭を近づけてきてくれた。
「おおっ!?、お……おおお……!」
急に来たからびっくりしたが、でもハヌーは大人しくなでさせてくれる。
意外とサラサラした手触りだ。鱗が生えてるからザラザラしてるもんだと思ったけど違うんだな。
後ひんやりしてる。
目の上あたりから首にかけてゆっくりと撫で下ろすと、目をつむりながら頭をこすり付けてくる。
気を許してくれたのかな。最初は少し怖いと思う所もあったがもうなんてことはない。
犬みたいでかわいいじゃないか。
「エサあげてみる?」
「いいのか?」
「うん、はいこれ」
そういって差し出してきたのは……人参?
「人参なのか」
「ハヌーは人参大好きなんだよ」
そうなのか、どっかの軍人も見習ってもらいたいものだ、目にいいみたいだしな。
ハヌーが取り出された人参を見て口を近づけようとするが、フランが優しくそれを制した。
ほんとに好きなんだな。
「ハヌーまだ、まだダメだよ、待って、待てだよ……」
こう聞くとまさに犬だな。撫でられる様といい躾方といいそういう龍なんだろうか。
「いいよ」
「よし」
フランが合図をしたので、手に持った人参をハヌーの口元に近づけていく。
だがここで俺は失敗してしまった。
あろうことか俺は人参を、端っこを摘まむ様に持つのではなく握るように持ってしまっていた。
初めての龍ということでテンションが上がっていたんだろう。そんな些細なことは気にすることはなかった。
だから……。
バクン!
口を開けたハヌーは、俺の手ごと銜えた。こうバクンと……バクンと……・・・・・・
「……」
「あ……」
「ほああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?」
「キュルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「あああっ!? お、落ち着いてハヌー!」
くっ、くわっ、食われたああああ!!
アホなもち方してまんまと食われた俺は素っ頓狂な叫び声を出してしまい、ハヌーもそれに驚いて鳴き声で叫び返し翼をバタつかせた。
そしてフランが必死にハヌーを宥めようとする。
「ど、どうしたんだ一体!?」
後ろにいたガウェインが何事かと近づいてきた。
「くわれ、食われた! 手が食われたあ!」
「大丈夫落ち着いて、付いてるから、手は食べられてないから!」
ハワードがそういって手を見せてくる。
たしかに俺の手はくっついている。そしてすこし生温かい。
ケガをしたら魔法でポンというわけにはいかない体だからこういうのを見るのは心臓に悪い。
「大丈夫か龍真君」
「ご、ごめんねリューマ、ケガない?」
俺のリアクションに驚きハヌーを大人しくさせたフランが駆け寄ってきた。
いやこれは俺が悪かった、もう少し落ち着くべきだった。
「大丈夫みたいだ、大丈夫、ごめんなハヌーを驚かせちゃったみたいで」
食われた方の手をブラブラと振りながら返事をした。
ハヌーの方は暴れはしたけど、フランの言うことは素直に聞くのかすぐに大人しくなったみたいだ。
だけどまた警戒心が出てきたのか、体を起こしてこちらをじっと見ていて、さらにさっきよりも翼がゆらゆらと揺れている様に見えた。
近づく前より警戒されてるよなこれ。
「ああ……やっちまったなこれ……」
「今日はここまでにしよう、あの子にストレスを与えすぎるのはよくない」
「はい……」
そうガウェインがいうのでハヌーと仲直りするのはまた今度となった。
次は注意してエサをあげる事にしよう。いつか仲よくれたらはその背中にも乗りたいな。
後ろ髪を引かれる思いで龍舎を後にし再び寮に向かった俺たち。
ようやく見えてきたのは……何アレ、ホテル? いや屋敷?
うっそだろおい、もっと小ぢんまりしててアパートみたいなのかと思ったら全然違う。
そりゃあもともと貴族だけ通って場所だとしてもこれはやりすぎだろ。
ここに住むの? マジで?
「あれが寮だ、向かって右が男子寮、左が女子寮になる、詳しいことは中に使用人が常在しているから聞くといい」
マジだ、使用人までいるのかよ。
目の前に迫ってくる建築物に呆けていると次はハワードが話しかけてきた。
「ねえリューマ」
「ん、ああなんだハワード」
「リューマはどうしてこの世界に来たの?」
「え?」
いきなりの質問に足を止める俺。
いつの間にかみんなも足を止めて俺を見ていた。
どうしてって……。
「魔物も龍もいない平和なところなのに、どうしてこっちに?」
「え、いやーそれは……」
つい口ごもってしまった。
ハワードはそれを勘違いして場を取り繕おうとする。
「あ、話したくない事なら別いいんだ、ちょっと気になっただけだから、ごめんね、変なこと聞いて」
「いや、別に話したくない事とかじゃないいんだ、こっちに来たのは、事故みたいなもんで偶然とういうか、…………何でこっちに来たのかわからないんだ」
「分からない?」
俺はこっちに来た当初、ガウェインらにも話したようにハワードとフランにもこっちに来た経緯を話した。
夏休みという長期休暇を利用して家族と遠出したこと、車に乗っていて事故にあったこと、気が付いたら俺だけがあの森にいたこと。
今思い出しても背中に変な汗を掻いて嫌な気分になる。だから普段は何もなかった、そういう風に考えて思い出さないようにしているのに。
「リューマだけいたの?」
「ああ」
「じゃあ他の家族は……」
「どうだろうな、俺だけいたってことはほかの皆は来ていないかもしれない、もしかしたら別の場所にいるかもしれない、みんなじゃなくて、父さんか母さんか理華か、だれか一人だけかもしれない、正直何も分かんないから考えても考えても限がないのよな、でも……いてくれてたらって思ってて」
「それでは、ここに入学すると決めたのは、家族を探すため?」
ガウェインが言った通りだ。
でもどちらかというと……。
「納得するため、自分を納得させるため、かな」
「自分を?」
「いるかどうか分からなくてずっともやもやしてるんだ、だから、探しに行って見つかったらそれでいいし、見つからなかったら俺だけがここに来たんだってそう思えるし、でもその前に探しに行けるだけの強さを手に入れないとどうにもならないからな、探しに行って賊につかまって死にましたじゃ笑い話にもならない」
あの時は探しに行こうとはっきり思えたのに今は正直心の中がもやもやしている。言葉にできない。
はっきりさせるためにも、まずは力を付ける。
まずはそれからだ。
「見つかるといいね」
「ああ」
「あ、じゃあ僕も手伝おうか?」
「え?」
ハワードはいきなりそんな提案を出してきた。
手伝うって……探すのを?
「僕はね、魔道士になりたくてここに来たんだ、ここならそういう勉強をするにはうってつけだから」
「でも俺の手伝いなんかしたら魔道師にはなれないんじゃないのか? 俺、ここ卒業したら旅に出るつもりだし」
「騎士団に入ることだけがゴールじゃないよ、世界を知るのも一つの勉強だと思うし」
「ハワード……」
「それに、家族に会えないのはほんとに寂しいんだよ、どんなに強がっても……」
「それは……」
そんなことを言ったハワードの顔は一瞬暗くなった。
何を思ってそんなこと言ったのかは分からない。それを悟られまいとすぐにまた明るい顔で話し出す。
「だから、会えるなら、会えるかもしれないなら、探しに行った方がいいよ」
いい笑顔で言ったくれたハワードに涙が出そうになる。
今日初めて会ってくれたばかりなのにここまで考えてくれるとは。
元の世界でもこんなダチに出会いたかった。
「ありがとな、ハワード、よろしくたのよ」
「うん」
そういって俺たちは固い握手を交わした。
すると横からフランがひょっこりと割り込んでくる。
「そういうことなら私も手伝っちゃおうかなあ」
「は? フランも?」
「うんうん、そんな境遇にいる友達を放っておくなんてできないよ」
いつの間にか友達になっていた。
腕組んで頷いちゃいるけど、いいのかお前は?
「お前、竜騎兵とかいうのになりたいんじゃなかったのか?」
「え? ああ……そうだけど、うーん……なんか仲間外れっぽいし、行くなら私もついてくよ!」
軽い! そんなんでいいのか!?
「まあまあ、それに私がいるともれなくハヌーもついてくるよ! どう? お得でしょ?」
「お得って、そんな相棒をサービス品みたいに……」
「竜騎兵なんて見つけた後でもなれるし何とかなるよ!」
「あ……」
適当だなぁ、でも、見つけた後で……か。
前向きだな。
「はぁ、どうなっても知らないから、自己責任でついてこいよ」
「まっかせてよ!」
そしてフランとも握手を交わした。
……すこしドキドキしたのは内緒。
「コホン、できれば卒業したらちゃんと騎士団に所属してくれたら嬉しいんだがねえ」
聞こえた咳払いにガウェインの事をすっかり忘れていたことに思いついた。
騎士団関係者からすればとんでもないこと口走ってたな俺ら。すんません。
「まあ、そういう意思があるなら無理にと言わない、ハワード君の言ったように騎士団に入るだけがすべてではないからな。
卒業して別の道に進むものもいないわけではない、中にはギルドの世話になり冒険者として渡り歩く者もいる。
ただ、世界を旅するというのは未知の脅威に触れるということだ、戦うすべは学校が教えることだけではあまりにも不十分すぎる。 この世界に広さに較べれば、な。
だから、研鑽を怠るなよ。 よい友人ができたのだ、切磋琢磨して実力をつけるといい」
「ありがとうござます」
ガウェインもどうやら俺たちの背中を押してくれるらしい。
心強い味方ですよほんと。
「さて、そろそろ私は執務に戻る、そろそろ校長のお小言も終わっている頃だろうしな」
「ああ~……」
そういえばガラハッドが怒られてたっけ。
あの時のかっこいい姿を最初に見てたから今との落差がこうガクッとあってなぁ。
「そうだ諸君、最後に君たちに言っておく」
「は、はい!」
去り際にガウェインが姿勢をただし言ってきたので、俺たちもそれならってぴんと背筋を伸ばす。
「剣は投げないようにな」
ハワードとフランはポカンとしてるけど、俺は吹き出してしまった。
「はい!」
投げた暁には強力な雷魔法が落ちそうだ。
ガウェインと別れた後、寮に入ってそこにいた使用人というリアルメイドからそれぞれ説明を受け、それぞれの部屋へと向かっていった。
そしてようやく長い一日が、ほんとに長かった一日目が終わったのだった。




