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第三十七話 渾身の一撃

「はああっ!!」

「邪魔を……っ!!」


 クラリスとマティアスの剣がぶつかり合い、何度も火花を散らす。

 速く、重いマティアスの連撃を巧みにいなし、決して正面から受け止めることなくさばき、即座に反撃に転じる。


「はっ!」


 敵の攻撃を利用し、流れるように突きを繰り出すクラリス。

 腹へと繰り出されたカウンターにマティアスはわざと体勢を崩し、身体を貫こうとする剣先をギリギリのところで躱した。


「ぐっ!?」


 マティアスが顔をゆがめた。

 はずれはしたもののその刃は体を掠めて僅かに流血していた。


「くそ……!」


 マティアスが崩れた体制を立て直そうとする。

 それを隙と見た俺はその横から回り込み、マティアスへと突っ込んだ。


「ええい……」


 こっちを一瞥したマティアスが手を振る動作だけで魔法を放ち、挟撃しようとしたクラリスを牽制、さらにもう一度、今度はこっちに向かって振って風の塊を発射する。

 足元へと向けて発射された魔法を飛んで躱し、落下の勢いを合わせてマティアスへと拳を叩き込む。

 だがマティアスは、腕を振り上げた絶妙なタイミングで剣を薙ぎ払い、その剣に叩きつけられた俺はそのまま地面へと転がり落ちた。


「がああっ!? ――――くっそ……!」

「止めっ……!」

「そうはいきません!!」


 床を転がる俺に止めを刺そうとマティアスが杖を向ける。 

 しかし、援護するようにクラリスが魔法を連射してマティアスを牽制するが、マティアスも負けじと防御魔法を使い、全ての魔法を防ぎきった。


「はぁ……はぁ……」

「リューマさん! ケガは!?」

「問題ねえ! 心配すんな!」


 クラリスの腕前はマティアスに傷をつけるという事からも相当なものだが、そのクラリスを交えての2対1と言う状況で、剣と魔法を巧み操りこちらの攻撃をしのぎ切ったマティアスもかなりのものだった。

 肩で息をするほど疲労が表れてはいるものの、その目はまだまだ余力があることを感じさせる。


「う……、悔しいですが、さすがです。 マンディアルグの名は伊達ではないようですね……」

「はぁ……当然だ……」


 苦しそうな息づかいで答えるマティアス。

 それでも余裕と言う訳じゃないようだな。


「分からないのです、それほど技量をもつのなら、誇りだってあるでしょう!? そのあなたがどうして……」

「ちっ……!」

「クラリス!」


 マティアスはクラリスの言葉を遮るように、こちらへ向けた杖から魔法を放つ。

 すぐに間へと割り込んだ俺は、左腕を突き出して風の塊を受け止めた。


「ぐぅっ!」

「クソっ……」


 腕に衝撃を受けるもさっきまでの威力が無く、足が下がることなく耐える事が出来た。

 そのことにマティアスが舌打ちする。

 おそらくガス欠か、疲れの影響が出始めたんだ。


「アカホ、貴様は言ったな……、なあなあでは終われんと」

「ああ言ったさ」

「俺はな、腹立たしいんだよ。 ファイエットどころか、貴族とも関わりのないくせに、首を突っ込んできて好き勝手しているお前が……!」


 振り絞る声で叫ぶマティアスが、剣を持ち上げる。

 怒りだ、声色がそれを表している。


「貴族でもない貴様に、使命なんてものないだろう……! なのに何故いきなりお前は現れた……!?」

「何故だと!?」

「クラリスの面にでもあてられたか!? 尻尾を振ってすり寄るようなやつは虫唾が走る! 俺には貴様が、それで好き勝手にやってるようにしか見えないんだよ!」

「てめえが俺をどう思おうとどうでもいい、てめえの心境なんざ知らねえよ。 俺がてめえに突っかかんのはそのやり口が気に食わねえからだよ!」

「俺だって貴様の事なんぞ知らん! だから、ここまでされてもやっぱり終ろうなんて、できないんだよ! ここまでやって知らん奴に負けたなんぞ、そんなバカなことが!」


 マティアスは剣を振りかざし、こちらへと斬りかかる。

 すぐに前に出た俺は、振り下ろされる剣に合わせて横から拳をぶつける。

 振り下ろされた剣は、横から殴られて俺の身体を掠めるが、マティアスはすぐに剣を切り返してきた。

 それを左腕を縦にして受け止める。

 さすがに片手だと衝撃に押されそうだ……!


「大人しくしてくれていればよかったのに……!」

「てめえがメリッサをっ……! だああっ!」


 顔面目がけて放ったハイキックをマティアスが身体を反らし、また紙一重で躱してそのまま距離を取り直した。


「誘拐なんてするからだろうが!?」

「敵が多いくせに、自分に危機感をもてないヤツがバカなんだ!」

「分かっててやるってのはどういう了見だ! てめえは一体何がしたいんだよ!?」


 マティアスはその言葉に黙りこくると、少しして口を開いた。


「今、ファイエットの地盤は緩い、そうだろう?」


 突如投げかけられるクラリスへの言葉。

 クラリスは、マティアスの問いかけに動じることなく沈黙を保っていた。


「彼のカルロス公は、シメオン陛下とは旧友だ。 さまざまな便宜を図られたことだろう。 特に北の大攻略後の復興はよく話題に上がるな。 だがそれ故に、僻地の領主でしかなかった貴様らが、デカい顔するのが気に入らん連中はごまんといる」

「……だから、メリッサを?」


 静かにマティアスに問うクラリス。

 気に入らないから、そんな事の為にこんなことをしたのかと。


「それは偶然だ、セザールがやったことを利用して、ダメージを与えられればそれでいい。 火種が炎になるにはいい薪だ」

「てめえらがそのごまんの連中だってのは分かった。 けどよ、てめえ、セザールの友達じゃねえのか?」

「友人と言えば聞こえはいいがな、そこまで気にしてはいない」

「止めてやらなかったのかよ」

「言ったろう、利用すると」


 つまりセザールがやったのも、それを知ったのも偶然で、でもこれを使って気に入らねえクラリスん家の足を引っ張ってやろうって?

 だからそのまま誘拐を見過ごしたって?


「そうだ、姉妹の仲が良いのはしっているからな、必ずクラリスは動くと思っていた」

「てめえ……」

「騎士団へはすでに連絡が行っているようだな」

「それは……」


 クラリスがたじろぐ。 クラリスにとっては、これは時間をかけたくない事だからだ。


「こっちのやるべきことは、メリッサが救出されようとされまいと関係ない、騎士団がそのために動いたという事実があればそれでいい、あとは……お前たちを黙らせる……それで……」

「腹が立つんだよ……てめえはっ!!」


 マティアスの言葉にかぶせるように俺は叫んだ、もうコイツの御託は聞きたくない!


「要するに気に入らねえからってそれだけだろうが!? ちょっとしでかしたミスを持ち上げて、見せびらかして足引っ張りてえだけだろうが!? それをかっこつけて言ってんじゃねえ!」


 体が熱くなり、体中の痛みが薄れていく感覚、俺は今、マジで怒りが爆発しそうだ。

 誘拐なんて手段を利用して、クラリスの弱みを利用して、そいうのは本当に……。


「裏でこそこそとやりやがって、クラリスがどういう思いで俺らに頼んできたのか分かんねえだろ!? 人の弱み使って無法をするってのは人の屑だ! 胸糞悪いんだよクソ野郎おおっ!!」


 全力で叫び散らした、コイツを倒す、全力で殴り倒す、絶対に!!


「そのためにクラリスに協力したか」

「いねえ奴を思う気持ちってのは、嫌と言うほど分かるんだ!」

「リューマさん……?」

「だから俺はクラリスを助ける、だからてめえを止める! くだらねえ企みも、そのチンケなプライドも全部ぶっ壊してやるっ!!」


 ファイティングポーズにマティアスが剣を構え直す。


「威勢はいいが、尻尾を振っているだけの貴様が助けるなんぞ……偽善者の言う事を……!」

「上等だっ! 悪党より百倍マシなんだよ!!」

「大口を叩くな!!」

「抜かせクソ野郎!!」


 俺とマティアスが、叫びながら再び激突する。

 さっきの魔法の威力の低下に舌打ちしていたのが嘘の様に、繰り出されるその一撃は鋭さを衰えさせなかった。

 だけど、こっちだって何度もその剣筋は見たんだよ!


「今度こそ黙らせる……!」

「やってみろおおおっ!!」


 互いに組み合うほどの距離では手が出せないと、一度離れようとするマティアスの肩を掴み強引に引き寄せる。


「なにっ!?」

「っらああっ!!」


 俺は空いているその腹に思い切り膝蹴りを叩き込んだ。

 マティアスがたまらず体を曲げ、その頭が下がったところに頭突きをくらわせる。


「ぐああっ!」

「ぃづっ……うおおおおっ」


 頭突きの衝撃が自分の頭にも帰ってくる。

 額から何かが流れる感覚……、ちょっと切れたかもしれない、でもこんなものたいしたことじゃない!


「おのれ……騎士がケンカの真似事などっ……!!」


 マティアスが反撃に出る。

 だが、そのスピードに陰りが見えた。

 さっきまでの勢いが衰えている。


「であああっ!!」


 右からの薙ぎ払い、距離が近いためにバックステップでも躱せない。

 俺は右手の手甲の僅かに残った部分を押し出し受け止めようとする。


「ぐっ!?」

「はああああっ!!」


 何とか受け止めたものの、マティアスはそのまま剣を振り抜き、防いだ腕ごと押し切られた。

 切っ先が頬を掠め、こっちからも血が流れる。


 そして二撃目が襲い来る。

 だが、今度はこっちの番だ!


「ふんっ!」


 姿勢を低くし、短く息を吐き、今度は左から振り抜かれる剣をかいくぐるようにして、マティアスの懐に飛ぶ込む。


「避けたっ!?」


 その脇腹がお留守だぞっ!!

 強く拳を握り、渾身の力でリバーブローを打ち込んだ。


「うおおおおっ!!」

「ぐうぅ……があああっ!!」


 痛みに耐えながらもマティアスが握る剣の柄で殴ろうとするのを、マティアスの左へ回り込むようにして避ける。

 大丈夫だ……ちゃんと追いつける!!


「ひだりっ!!」

「何度も……っ!?」


 左からの攻撃宣言にマティアスが即座に反応してガード体制を取る。

 だが、その時すでに俺は腕を引き戻し、ストレートを打ち込むためのモーションに入っていた。


 マティアスの目が見開く。


「フェイント……!?」


 騎士の家系故の経験の違い、その各上の強さを見せつけられた相手、マティアスのその顔を、俺の拳は遂にとらえた。


 歯ぁ、喰いしばれ!


「おぉぉああああああっ!!!!」


 硬い拳がマティアスの頬へと突き刺さり、重い打撃音がエントランスに響き渡る。

 全力で殴り抜けた拳はマティアスをぶっと飛ばし、壁際のドアを突き破ってその奥にまでなだれ込んだ。


 廊下に横たわるマティアスは目を見開いたまま動かない。


「はぁ……はぁ……はぁ……」

「う……が、……ぁ……ぐっ!!」


 ダン!


 マティアスが、床を叩いた。


「マティアス……」

「ぐ、ううぅ……あ゛あ゛っ!」


 ふらつく体を気力だけで動かすように立ち上がったマティアスは自分の手元を見た。

 剣は持っていない、俺の足元だ。


 苦虫を噛み潰したような顔をすると、最後まで放すことのなかった杖を取り出して俺に向ける。

 受け止める事の出来たハンマーガストに、あのダメージ、俺は完全に油断していた。


「風の項、第4環……!!」


 マティアスが呪文のようにそれを唱えると、すでに展開された魔法陣が第4環位まで完成されていた。


「そんなっ!? 一瞬で!?」

「何だと!?」


 冗談じゃない!!

 メリッサでさえ第4環位形成まで、短くないとはいえ時間はあったのに!?


 このマティアスはこの状況で中級に分類される第四環位の魔法陣を一瞬で展開させたのだ。

 先生曰く中級規模の破壊力は、大型の魔物との戦闘を想定したものになっているらしい。

 そんなもんをここでぶっ放してみろ、ただじゃすまないぞ!?


「正気かてめえ!!」

「正気でこんなものが使えるかっ!! アカホ!!」

「間に合いません! 外へ!!」

「クソおっ!!」


 クラリスの制止も聞かずに俺はマティアスへと走り出した。

 自爆覚悟なんて冗談じゃない、俺も、アイツも!!


「マティアス!!」

「根幹に風、もたらすは無法、望むは破壊! 来たれ絶風!!」



 あと数メートル、まだ数メートル、走り出したばかりなのに、遠く感じるんじゃねえ!! 


「龍真!!」

「なっ!?」


 突然の呼び声に上を向く。


「こっち!!」


 エントランスの吹き抜けになっている二階の廊下にハワードがいた。

 しゃがみ込み、手すりの隙間から腕を伸ばしていたのだ。


「ハワード!?」


 前方にはすでに発動寸前のマティアス、後ろにはクラリス……。


「クラリス! 外へ逃げろ!!」

「リューマさんはどうするんですか!?」

「大丈夫だ、何とかなる!」


 曖昧な言葉を全力で言い放った。

 一瞬呆気にとられるクラリスが何を言っているのかと声を上げる。


「いいから外に出て防御!!」

「しかし!!」


 直も止めようとするクラリスを無視して再び俺は走り出す。

 頼むから避難しててくれよ!!


 そして、目の前の魔法陣が強く輝き、圧倒的な威圧感を放つ。


 来る!!


「負けられないんだよ……俺は!! ストーム……ブリンガアアアアアア!!」


 マティアスの叫ぶ詠唱と同時に、今までとは桁の違う巨大な竜巻が床を、壁を、天井を、眼前にあるすべてを破壊して俺を飲み込まんと突き進む。


「ハワードおおっ!!」


 迫る巨大竜巻に臆さず、俺は体を捻りながら飛び上がった。

 精一杯伸ばした手が、ハワードの手をつかむ。


「うおおおおっ!!」


 前から後ろへ、振り子の要領で反動を利用し、足を振り上げて体を持ち上げる。


「間に合ええええ!!」


 ハワードが叫び、掴んだ俺を引っ張り上げた。

 そして、俺たちの叫び声をかき消すように、マティアスが作り出した巨大な竜巻が全てを破壊していった。


 かつて多くの人て賑わっていたのであろう玄関も、一つの目印になっていたであろうその外壁も、すべてをぶち抜き飲み込んだ。


 時間にして何秒だろうか、十はいっていないはず。

 だが、たったそれだけの僅かな間に、スラム街の景観は破壊しつくされた。

 風が止み、文字通り半分が吹き飛んだ建物へと、日が落ちて肌寒い外気がなだれ込む。


「はぁ……はぁ……お、俺は……」


 力なく膝をつくマティアス。

 既に杖を持つことすらできなくなっていたらしく、足元をひび割れた杖がコロコロと転がっていた。


「はっ……これが、中級か……、上級なら……どうなるんだろうな、ぐっ、う……!!」


 マティアスが壁を支えに立ち上がろうとする。

 すると目の前に、自身の足元と同じ高さの位置に光が集束し、消え失せた床に変わって光の足場が広がっていった。


「は……何だ?」


 どこかに何かが落ちる音、そして……。


「――――ふんぐっ!! んぐ……痛ぅぅ……」

「なっ!?」


 その再現された足場に、鈍い衝撃音を響かせながら俺が着地した。

 それを見たマティアスが驚愕する。


「バカな……どうやって!?」

「くぅぅ……さすがにあの高さは、無理があったなあ……いっってええええ……」


 着地の衝撃を堪えて何とか立ち上がる。

 ここで倒れちゃ情けないからなあ!


「何とか、なったぜ……!!」

「なぜだ!?」

「あれが当たる直前な、上に、ハワードがいたんだよ」


 つんと指を上に指すその先をマティアスの視線が追う。

 まあ、もうその先は何もなくて、綺麗な夜空な訳だが。


 ハワードが俺を引っ張り上げた後、ハワードは自分が使える防御魔法を何度も何度も発動し、暴風によって上に吹き飛ばされて天井に叩きつけられながらも、俺たちを竜巻の破壊力から守り切ったのだ。


「そんな、ことで……」

「そんな事でも、やり切ってくれたんだよ、俺のダチはよ」


 まあそのおかげでダウンして、今は奇跡的に残った踊り場で寝てるけどな。

 俺が落ちる前に、無くなった床の代わりの足場を作り、俺がその踊り場まで投げたのだ。


『後は任せたよ』


 投げる直前、託された言葉だ。

 本当に感謝するぜ、任されたぜハワード。


「ぐ、う、おおおおっ!!」

「マティアス!!」


 一歩ずつ、マティアスへと近ずく、倒れぬようにしっかりと踏みしめて。


「メリッサの誘拐と、クラリスん家への嫌がらせと、俺らを殺そうとしたこと、まとめて、その借りを返すぜえええ!!!!」

「くっ……そおおおおっ!!」


 マティアスが初めて繰り出したパンチに、俺はカウンターで返す。


「がっ!?」

「だああああっ!!!!」


 そして顎を全力で打ち上げる!!


「ぐ……」

「く、た、ば……れえええええ!!!!」


 腕と襟元をひっつかみ、反動をつけてがむしゃらに投げ飛ばす。

 円を描くようにマティアスの体が宙に舞い、そして鈍い音とともに地面へと、その背中を叩きつけた。


「がはっ!?」


 マティアスが呻き、足場に横たわる。


「はあ、はあ、ぐ……はあ……」


 本当はこっちだって限界なんだ。

 頼むから、もう、立つなよ……。


「…………」


 マティアスを見下ろすと、白目をむいていた。

 これは、もう、そういう事だよな?


「はぁ……はは、いい面だ」


 その顔を笑って、崩れるように隣に座り込んだ。

 マティアスは、今度こそ倒れた。


「かっ……った、づぅ……ぐ、う……」


 ああ、ヤバい、これは本当に……。

 やっと、やっと終わったと思うと、急に力が抜けて体中の痛みがぶり返してきやがった。


 ああダメ、ヤバい、ほんとに……いだだだだだ!?


「リューマさん!? ご無事ですか!?」


 後ろからクラリス叫ぶ声が聞こえたから振り向くと、その背中にはぐったりとしたハワードが背負われていた。

 どうやら先に見つけてくれたらしい。 よかった。

 周りを見渡すように顔をせわしなく動かしていると、こっちを見て止まる。


「リューマさん! あっ……」


 その隣で伸びている奴を見て驚いている。

 おう、そんな信じられないような光景を見る顔をするんじゃない。


「マティアスに勝たれたのですね……」


 どうやら心配してくれていたらしい。

 その表情が安心したというようにほころんだ。


 まあ、俺一人じゃ到底無理だったけど、いいだろ?

 俺はなけなしの体力を使って腕を持ち上げ……。


「おう!」


 サムズアップで応えた。


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