第三十話 バッカス大盗賊団
「こいつは……」
二階から現れたのは、身長2mはあろうかという大男。
多分さっきの連中の頭だろう。
魔法によって現れた岩塊に退路を塞がれている今、まずいかもしれない……。
「ふふん、外の連中をやってここまで来るとは、ガキのくせにやるじゃねえか」
見下ろしてくる大男が不敵に笑う。
「だがあ、調子乗るのもこれま」
「かしらあっ!! 邪魔ッス!! 出れないッスよ!?」
「ちょっ!? おいこらてめぇ、いいとこなのに邪魔すんな!!」
頭と呼ばれた大男のセリフの途中で誰かに邪魔され、後ろで誰かともめだした。
やっぱり仲間がまだいたのか……。
どうする? 逃げるか? この隙に仕掛けるか?
「リューマ!? リューマ聞こえる!?」
「フラン!?」
岩の向こうからフランが叫ぶ。
しまった、仲間がいるって事は当然外も!
「馬鹿野郎! 押すな押すな!? 落ちるだろうが!」
「んんっぐ、ふう……やっと出られた。 かしらあ! 頭は図体でデカいんスから、こんなちんまい入口に立たれちゃあ出られないんスよ!!」
「やかましい! さっさと前に行かねえお前が悪いんだ!」
「んなアホな!?」
「バッカス~、オイも出られないっすよ~」
「うっせえ!! お前もささっとでやがれえ!」
…………。
こっちはこっちで真剣にどうしようか考えているのに、なんであいつらはコントみたいなことやってるんだよ。
頭と呼ぶ大男を押しのけて新たに表れたのは、二人の仲間だ。
背の小さいヤツと丸く太ったヤツ。
どちらも大男と同じような装備をしているから、頭と呼ぶことからも大男の部下だろう。
「ゴホン! 待たせたな!」
「待ってねえよ、てか何もんだてめえら!」
「ほほう? この俺を知らねえか、いいだろうならば教えてやる!」
いきなり芝居がかった口調で言い放ち、両手を広げる大男。
「俺たちゃ~大陸中を、西へ東へ金銀財宝を求め駆け巡り――」
なんか口上っぽいのが始まった、しかも長そう。
が無論聞く気はない。
何故か悦に浸ってまくしたてるアイツを放っておき、ハワードとクラリスを集める。
「クラリス、今のうちにさっきみたいにまとめて薙ぎ払えないか?」
「すみませんここは狭すぎます、まだコンパクトに扱えないのです」
申し訳なく首を振るクラリス。
どうやら広い場所でないとうまく扱えないらしい。
「ハワード、後ろの岩何とかできそうか?」
「できるけど、詠唱に時間が掛かるから、その時間が稼げるかどうか」
「まあ、見逃しちゃくれないか」
「多分」
外のフランたちが気になる。
分断して仲間が出てきたって事は、それぞれに対処するやつがいるってことだ。
おそらく外も既に増援が現われているはずだ。
でも変だな、外が妙に静かだぞ。
「あ、天下無敵の大盗賊!! それが俺たち」
「あの~頭~? アイツら全然聞いてませんけど~?」
「バッカス大盗賊団だっ!! ってなにい!?」
ヤバい気付かれた。
「てめえら人の話は最後まで聞きやがれ!!」
「やかましい!! てめえらコントに付き合ってる暇はねえんだ!!」
「ですよねー、頭っていつも長々と変な口上言うもんスからあーしら結構うんざりしてんスよね~いだっ!?」
苦笑する小さい方に大男が拳骨を振り下ろした。
異様にデカい大男と女の子並に小さい身長の高低差からくる拳骨に頭を押さえてしゃがみこむ。
「うっせえ余計な事言うな!! ゴッホン、まああれだ、そう言うな、外の連中も今は俺の部下共とお楽しみ中だ。 急ぐこたあねえだろ」
「やはり罠でしたか、急いで外に向かわないと……!」
クラリスが剣を抜き戦闘態勢を取る。
広さからいっても外の方が数は多いはずだ。
すぐに外に行かないとフランたちが危険だ!
「え? 他に仲間ってまだいたんスか?」
このちっさい方の台詞にピタッと空気が止まる。
まだ?
「あ? ダニー、まだってなんだ?」
「ええー!? だって頭ぁ、さっきアイツらが攻め込んで来たって情報聞いて全員突っ込めって!?」
「ああ!? まさかてめえら以外もういねえのか!?」
「さっき頭がそう言ったんじゃないっスか~!?」
ちっさい方が涙目で訴える。
クラリスもハワードもどうしたらいいのか分からないようで、困った表情だ。
まあとりあえず外に敵は来ていないらしい。
だから静かだったのか。
「なあ、おい」
「ああなんだ! いまこっちゃあ取り込み中なんだ!」
「それはこっちも同じだ! 用が無いなら帰らせてもらうぜ」
罠にかかって出てきたのが盗賊だけ。
罠ならメリッサがここにいるとは思えない。
もう場所が移されたか、それとも誘導されたか。
「おっとそうはいくか! とうりゃあっ!!」
「なにっ!?」
突然大男が二階から飛び降り、俺の頭上へ斧を振り下ろしてきたのを何とか避けれた俺は武器を構え直す。
「リューマさん!」
「大丈夫だ!」
「おめえらがここに来た時はぁ、全員始末しろって言われてっからなあ。 ま、悪く思うなよ」
床をぶち抜いた斧をゆっくりと引き抜き、その巨大な刃を見せつけてくる。
使い手の図体と相まってプレッシャーが半端ない。
「おらぁダニー! モッズ! ぶちのめしてやれ!!」
大男が味方に檄を飛ばし、俺たちにけしかけさせようとする。
この狭い中で6人での戦闘だと!?
ヘタに振れば味方に当てかねないのに!
「くっ、ハワード、援護頼む」
「うん、気を付けて!」
「おう」
杖の先に魔法陣を展開しながら、俺とクラリスの間に移動し、俺たちを援護できる位置へと移動する。
さあ来やがれ、いつまでも剣先なんかにビビる俺じゃねえぞ!!
「頭ぁ、あーし無理っスよ、近接戦闘なんて無理無理」
「バッカス~、おいらの武器、足りないからってさっきの連中に持ってかれて残ってないですよ~」
大男、盗賊の頭バッカスは頭を抱えて呻った。
後ろの二人のやる気のなさに気が抜ける。
いやだが、来ないってなら好都合だ。
容赦なくこの男を3人で叩きのめそう。
「ええいじゃあもういい!! 魔法で援護しやがれえ!!」
「まかせろ~! ふんぐぐぐぐ……」
応えた太った方、モッズが気合を入れるように両手を掲げると、魔法陣が浮かび上がり光を放ち始める。
だが、すぐさまハワードが反応し妨害に入る。
「させるか! 穿つは突風、ハンマーガスト!」
モッズに向けた杖先の魔法陣が強く輝き、周りの砂塵を巻き込みながら風の一撃が突き進む。
だがちっさい方、ダニーがハワードの詠唱に合わせて杖を取出し同様に詠唱する。
「おっと! 阻むは風幕、ゲイルバリア」
当たる寸前でハワードの魔法が軌道を逸らされ、近くの窓を破壊する。
何があったのかよく見ると、風に舞いあがった塵がモッズの手前で激しく揺れ動いている。
魔法名からして風属性のバリアってとこか!?
「そんな……騎士団の魔法を何故!?」
「ふふん、騎士団の近代魔法術はけっこー出回っているんスよ? これでもお勉強はできる方っスから」
「よくやったダニー!」
クラリスのセリフにダニーが得意げに胸を張る。
騎士団の魔法は他の魔法と違って詠唱や魔法陣の形成を速く、効率的に行うために研究、改良され独自の体系ができている。
『近代魔法術』とも呼ばれているらしい。
戦闘での使用を前提としているためすぐ使えるよう詠唱・形成方法が高速化され、第二環位程度までの下級魔法ならば、瞬時に発動できるほどだ。
「うおっしゃ~、大地よ! 鋭利な槍となって、『敵』を貫けー!!」
そしてモッズの詠唱が完了し上の魔法陣が輝く。
「ロックランス!」
モッズが両手を振り下ろすと、先が尖った岩が魔法陣から現れ俺に向かって飛んでくる。
左に飛び退くと俺のいた場所を岩が貫き、塵芥を巻き上げ視界が煙でふさがれた。
「ぇふっ! りゅ、龍真!!」
「お、おう!! 間一髪だ!」
煙に咳き込みながら駆け寄ってきたハワードに無事を教える。
喰らってたらミンチどころじゃ済まねえぞこれ!?
使った奴の見た目に反してエグすぎる魔法の威力に冷や汗をかきながら立ち上がる俺に、ハワードが腕をつかんで引き寄せた。
「ハワード!?」
「しっ!」
周りの視界が奪われる中、ハワードが両腕を取り集中する。
どうしたんだ?
「ゲホッ! ゲホッ! バカ野郎モッズ!! ゲホッ、かげんしやがれ! 回り見えねえじゃねえか!!」
「え、ええ~、そんな~」
やつらが塵煙に怒鳴る中、ハワードが掴む俺の腕、と言うかミスリルの手甲が徐々に綺麗な輝き纏い始める。
いや光が手甲の中から出てきているのか?
「よし、これでしばらくは……」
「ハワード?」
「ああっ! 頭、そこ! 目の前! 2人まとまっているっスよ!!」
「何!? そこか!!」
二階からダニーが俺たちの位置をバッカスに教え、それを聞いたバッカスはすぐさま攻撃に出た。
「龍真!」
「さがれハワード!!」
「剣じゃ折れる!! 手甲で!!」
晴れはじめた視界が捉えるのは大斧を振り上げた大男。
あんなデカ物じゃあこんな細っちょろい剣は簡単にへし折られるだろう。
拳を握りしめて祈る。
とびっきり頑丈な手甲、ミスリル製、信じさせてもらう!!
「だああ!!」
「うおうりゃああああ!!」
両腕をクロスさせて振り下ろされる斧の一撃を、耳障りなほどの金属音を響かせ受け止める。
手甲は傷一つ付けずに巨大な一撃を防ぎきった。
さすがミスリル何ともないぜ!!
しかし押しつぶされそうなほどの重圧がのしかかってきてつぶされそうになる。
「ぐ、ぐうう……」
「その腕ごと叩き割ってやるぁああ!!」
「んなこと……」
地面に押し付けてくる重量を流すために後ろへ下がろうと構えると、左から隙を窺うために身をひそめていたクラリスが飛び出し、バッカスの背後を狙う。
「っ!!」
「頭あ! 後ろっス!!」
「うおおんどれやああっ!!」
しかし、ダニーが再びバッカスにクラリスの位置を教える。
それを聞いたバッカスが、斧を受け止めている俺ごと、薙ぎ払うように背後のクラリスへと斧を叩きつける。
「なっ!? ぐああっ!?」
「くっ、ああっ!!」
2人とも吹き飛ばされるが、受け身を取って体制を立て直す。
くそっ、やっぱり上の連中をほっとくわけにはいかないか。
「クラリス!! まずを上の二人だ!」
「はい!」
クラリスが応答し、素早く階段を数段飛ばしで駆け上がり、その剣先をダニーへと狙う。
「げえっ!? やばっ!?」
「もらいます!」
「させるかあ!!」
だがバッカスも負けじとその動きに追いつき、近くの椅子を掴むとそのままクラリスへと向かって放り投げた。
「きゃあっ!!」
「ぐわあっ!?」
投げられた椅子はクラリスとダニーの間にぶつかって砕け散る。
くそっ! あと少しだったのに!
「か、頭あ! 危ないっス、危ないっスよ!!」
「うっせえ!! よけやがれえ!!」
「んな無茶苦茶な!?」
バッカスが理不尽な命令を下しながら、二つ目の椅子を掴む。
「クラリス戻れ!」
「あ!」
クラリスがバッカスの二投目を察知し、二階から飛び降りようとする。
そして俺はその二投目を防ぐためバッカスへと突撃する。
「二度も!!」
「今度はこっちい!」
俺の突進に気付いたバッカスは再び斧を振り下ろすが、今度正面から受けず、受け流すように手甲を当てて軌道を逸らそうと左手を前に出す。
風切り音を伴う斬撃が迫る。
タイミングを合わせ、左手で斧の側面に裏拳を入れるように叩きつける。
「ぅぐ……らああ!!」
眷属のぶつかり合う鈍い音が響き、左腕に衝撃が走るが、斧は俺の体に当たることなく真横の床を粉砕した。
「なに!?」
「でえぇあああっ!!」
防いだ衝撃で体が左に引っ張られるが、それを利用して剣を振り上げる。
床を引っ掻きながら振り上がった剣は、バッカスが投げようとした椅子を破壊する。
「ちいっ!」
「きゃあっ!?」
だが、破壊した椅子の足が運悪くクラリスの方へと飛び、離脱しようとしたクラリスが足を止めてしまう。
そしてそれを見たダニーが見逃しはしないだろう、案の定狙いをクラリスへと付ける。
「しまった!」
「とったあ! 穿つは突風、ハンマーガスト!!」
「させない! 阻むは風幕、ゲイルバリア!」
ダニーの魔法が飛び降りようとするクラリスを捉えるが、すかさずハワードがダニーも使用した防御魔法でクラリスを守る。
「くっそう、仕返しっスか!? そうっスか!?」
「そうだよ! ハンマーガスト!」
「同じ事! ゲイルバリア!」
魔法の応酬だ、見ていてハラハラする。
ハワードが再び放った風の一撃は、同じように風のバリアによって軌道を逸らされ壁を突き破る。
だが、ハワードも同じ手をくらうつもりはないらしく、すぐさま次の魔法を発動させる。
「貫くは烈風、スプリットピアース!」
新たに発動させたハワードの魔法は、杖の先で塵を巻き込み、螺旋を描きながらダニーへと突き進む。
さっきの風のバリアでまた防がれると思ったが、その風の螺旋は敵の防御を突き破りダニーの足元に着弾する。
「なにっ!? わぎゃっ!」
足元が崩れダニーが一階に落下する。
打ち所が悪かったのか起き上がる様子はない。
よし、まず一人!
「悪いクラリス」
「私は大丈夫です、ハワードさんも、助かりました」
「ダニー! てめえらよくもダニーをやったなあ!?」
「ま、まだ……死んで、ない……っスよぅ、うぐ」
呻くダニーをよそにこちらを睨むバッカス。
だが二階で強い光が再び輝く。
しまった、モッズの方か!?
「ば、バッカス~、二回目いくぞ~!」
「よーしモッズ! ダニーの仇を取ってやれえ!!」
「いや、だから……死んで、ないっ……ス」
上げた両腕の先に浮かぶ魔法陣が再度強い輝きを放ち、魔法陣から床を打ち砕いた岩槍が出現する。
またあれか!
さっきは何とか避けれたが、ここが狭いうえに以外と弾速が速いから避けづらいんだよ。
再びモッズへの妨害に出ようと動き出した時、発動の兆候を見たクラリスがひと足早く行動に出る。
「何度もさせません、貫くは岩槍ロックランス!」
素早く詠唱し間髪入れず魔法を発射するが、またバッカスが間に割って入る。
斧を振り上げ、モッズに迫る岩槍を叩き落としたのだ。
「くっ、また!」
あの速さに対応するだけじゃない、素人の俺でも気付いた。
コイツ、援護と言いながら魔法攻撃をメインにして、自分は後ろの防御に専念してる事だ。
そして隙あれば後ろからの指示で攻撃にも回る。
こいつらチームワークが出来てやがる!
「大地よ! 鋭利な槍となって、『敵』を貫け~……」
「くそったれ!!」
悪態をつきながら後ろに手を回し、ウエストポーチから鉄球を取り出す。
接近したんじゃ間に合わない、これなら!
「だぁらああ!!」
モッズに向かって全力投球。
だが、またしてもバッカスがこれを防いでくる。
「させるかってんだあ!!」
弾かれた鉄球が斧に打ち返され俺の真上の天井に激突する。
それを見た瞬間、まだ手があることを閃き納刀して鞘ごと取り外す。
そして構えると同時に鉄球が重力に従い落下して。
「かっとばせええ!!」
フルスイングした剣が落下する鉄球を完璧に捉え、金属音をとどろかせながら再度モッズへと鉄球が飛んでいく。
「なにっ!?」
「ロックラんぶ!?」
魔法名を言い終える前に鉄球はモッズの顔面に直撃した。
ゴトッと鉄球が落ち、鼻血を噴き出しながらモッズも一階へと落下する。
「も、モッズううっ!?」
「っしゃあおらああ!!」
決まった! 完璧だ!
まさかきれいに顔面にすっ飛んで行くとは。
思わずガッツポーズしてしまった。
「くっそおお!! 貴様らあっ!! もう容赦しねえぞ!!」
怒りの形相でバッカスが振り返る。
そして握りしめる斧がその怒り具合を表すかのように赤く光りだす。
「まとめて焼き尽くしてやるぜえ! フレイムアーックス!!」
「なに!?」
バッカスが魔法を唱えると、炎が斧を包み、徐々に赤熱した刃を形成する。
しかもさっきより斧が大きくなってるような。
「どうだあ、命乞いするなら今の内だぞ!」
「あっつ!? ってふざけんな!」
「だったら、くたばれええ!!」
バッカスが炎の斧を振り上げる。
流石にこれはミスリルでも無理だろ!
「龍真さがって!」
「っ! おう!」
ハワードの合図に後ろへと飛ぶ。
そしてクラリスが詠唱を始める。
「遮るは流水、ストリームバリア!」
俺とバッカスの間に壁を作るように渦を巻く水が出現し、振り下ろされる炎の斧を受け止める。
炎と水が触れ合った瞬間、大量の水蒸気が発生する。
「くおぉのおお、ちょこざいなああ!!」
「放つは散水、アクアスプラッシュ!」
水にふれてもなお燃え続ける炎の斧を押し込むバッカスに、ハワードが水の魔法を発動する。
水色の魔法陣から水の散弾が放出され斧と共にバッカスを押し返す。
「ぐおお!?」
「ハワードさん! 今です!」
「はい!」
バッカスが押し返され距離が離れたのを確認したクラリスがハワードに合図を出す。
そして応えたハワードが杖をバッカスの真上にむける。
「いけえ!」
その声と同時に杖の先から、光る煙のようなものが真っ直ぐ飛んでいく。
その飛んでいく先には。
「何だ?」
バッカスが真上に飛んでいく煙を追って顔を上に向ける。
その先には、モッズが発動し損ねた魔法陣があった。
「リューマさん伏せてください!」
「マジか!?」
そして煙が魔法陣近づくとスーッとその中に吸い込まれ、より一層強く輝き。
「な、何が……っ!?」
魔法陣は爆音を轟かせて爆発した。
「うぐっ!!」
爆発の衝撃波が体を叩きつける。
決闘で受けたヤツよりまだマシだが、それを思い出して冷や汗が出てきた。
「そうだった、出し損ねると爆発するんだっけか……あれ」
「だ、大丈夫ですかリューマさん、ハワードさん」
「お、おう、ハワードは?」
「僕も、大丈夫……ケホッ」
爆発の煙でまたエントランスが煙ったくなるなか、連中を探して立ち上がる。
「やったの?」
ハワードが立ち上がりながら、この状況では聞きたくないセリフを言う。
この世界にフラグなんてものがあるか疑わしいが。
ないよな? ないと言ってくれ。
しばらく警戒するが物音も何も聞こえない。
前に進んでみると、爆発を受け気絶しているバッカスが床に伸びていた。
ダニーとモッズの方も同様のようだ。
「ふうぅ……」
戦いが終わったことを感じて肩の力が抜けていく。
勝った……。




