第十四話 エルヴェシウスの悲劇
時刻は昼前、そろそろ昼飯食おうかなと考える。
噴水広場でマジックアイテムを買って、そのあとそこから移動して更にいろいろと見て回った。
今は休憩がてら、大通りからすこし外れて静かな並木道のベンチに腰かけている。
ここは商業区と城の北西にかけて広がる住宅街を繋ぐ数ある道の一つだが、この道はその中でも限られた人しか住めない第一級住宅区域、通称貴族街につながっているためそんなに人通りは多いわけではない。
今は閑散としていて、さっきまでの賑やかさが嘘のようだ。
「スー……ふふっ、良いに匂ーい」
隣に座るフランが、首にかけてあるマジックアイテムの匂いを嗅いでいる。
このアイテムはフレグランスという特殊な……まあ何がどう特殊かは知らんがその魔法の術式とやらを組みこんであり、それを起動させることでいい匂いを放つんだそうだ。
ちなみに術式というのは魔法を構成するためのものとかなんとか……えーっと……魔法をプラモデルの完成品としたらとしたら術式はそのパーツ、みたいなもんだと思う。
そういや魔法の授業さっぱりだったな……、どうしよう。
「リューマ、リューマも嗅いでみる?」
「え?」
今後の事について肩を落としていると、フランが首にかけたマジックアイテムをこっちに差し出してくる。
嗅げと? その状態で?
このフラン、アイテムを首にかけたまま差し出しているのだ。
だから嗅ぐためにはこっちから顔を近づけなければならない。
外せよと言いたいが、それじゃあ俺がなんか意識してる感じで……。
いや別に俺は意識してはない。ほんとだぞ?
「どしたの?」
「いや、別に……そ、それじゃあ」
ゆっくりとフラン……いやマジックアイテムに近づいていく。
するとふわっといい匂いが鼻をくすぐる。
これは、オレンジの香りだ。
爽やかな柑橘系の香りがほんのりと光を放つマジックアイテムから漂っている。
「これは……いい匂いだな」
「でしょ!」
上からズイッと迫ってくる。
フランに顔を近づけているからさらに余計接近することになって体が触れあいそうになり、反射的に体を起こした。
この子なんか距離感近くない?
「んー、風が気持ちいいねえ」
「あ、ああ、そうだな」
ベンチに座る俺たちの間を風が流れていく。
ざわざわと揺れる木々の葉擦れの音を聞きながら気を紛らわすために思いっきり背伸びをした。
「んん~~~~……はあ」
「気分転換、なった?」
フランが背伸びをして空を仰ぎ見る俺を覗き込んでくる。
「気分転換?」
「ハワードの事、悩んでたんでしょ?」
「気づいてたのか?」
「もちろん」
えへんと胸を張るフラン。
こいつ、意外と見てるんだな。
「何ー? その目はー」
「いやあ以外と人のこと見てるんだなあと」
「そりゃあそうですよ」
ドヤ顔することじゃないと思うけど。
「私たち、ハワードのこと、知らなこと多いもんね」
「……ああ、そうだな」
知り合ってまだ一週間程度、まだまだ短い位だ。
「人の心なんて読めないんだもん、だから、考えたってわかんないよ」
「そりゃあ……そうだが」
確かにそうだが……。
意外なセリフにきゅっと胸が締め付けられる。
出会ったばかりなのに、俺の事を心配してくれて、家族を探すことを手伝ってくれるとも言ってくれた。
あの後の事も含めて正直出来過ぎなくらい、良い奴だ。
この一週間でだいぶあいつには世話になった、この世界の事をいろいろ教えてもらった。
俺の中ではハワードへの信頼度はうなぎのぼりだ。
だから、何かあるなら俺も手伝ってやりたいと思っている。
「だから、ね」
「何だよ?」
「だから、聞きに行こう!」
「はい?」
聞きに行く? 何を? 誰に?
いや分かってるけど、あいつにとって踏み込んでほしくないことかもしれない。
そんなことは微塵も思ってないようにフランは俺の手を取って引っ張ろうとする。
「大丈夫何とかなる!」
「何を根拠に……」
「根拠はないけど、ハワードは、話してくれるよ!」
ついに俺は力任せに引っ張られて立ち上がらされてしまう。
「考えて解らないならとにかく行動! 私のお父さんもそう言ってたもん!」
「は、はは……」
……全くこの子は。
力強い顔が何故か頼りに見える。
フランの積極的な姿勢に感化されたのかもしれない。
これだけのことで我ながら単純だ。
だが、ハワードとはよく分からんうっすらと影の入った間は嫌だ。
「まあ、お前の言うとおりだわな」
「そうそう!」
「ばか、……お前が頼りに見えるとき来るとは思わなかった」
「それはつまり普段は全く頼りにならないと」
「そんなことはないよー」
とりあえず視線は逸らしといた。
すると、目を逸らしたその先に見覚えのある姿があった。
ハワードだ。
「お、おい、フラン」
「え? あ、なに!?」
つい俺はフランの手を引いて立ち並ぶ木々の裏に隠れてしまった。
「あれ? ハワードだ、ってなんで隠れちゃうの!?」
「いやあつい……」
木の裏でコソコソと小さい声で問答する俺たち。
とっさのことでついヘタレてしまい隠れてしまった。
こっそりハワードの様子を見てみると、うつむき加減に商業区の方から歩いてくる。
そして、手には一冊の本が入った紙の袋を持っていた。
「あれ……」
「どれ?」
「あの本だ……」
その袋の中身、僅かに見えた色あせた表紙の色から、中に入っている本に俺は当たりを付けた。
ハワードが全て燃えたと呟いた古い本。
「どこ行くんだろ?」
「あっちって確か、貴族街だよな」
「うん」
ハワードは何故か貴族街に向かっていた。
一体何しに行くんだろうか。
「ちょっとついて行ってみる?」
「……」
何言ってるんだお前、そんなことしねえ…………と、思ってたんだけどなあ。
唆されたわけでもないんだが、俺たちはハワードの後をつけてきてしまっていた。
「どこに行くんだろ?」
「さあなぁ……」
「あ、止まったよ」
貴族街に入って数分、似たような洋館並び城が見下ろす広い街道の一角にある古びた館の前で立ち止まったハワードは、その館を見上げていた。
その館はもうすでに何年も人が住んでいないのか、何故か煤けている壁にはツタがびっしりと覆い、玄関前の芝も雑草が生い茂っていて全く手入れがされた様子がない。
錆びついた小さな門には黄色いテープが幾重にもまかれていて、何人の侵入を拒んでいる。
「ハワードの家?」
「まさか……」
こんなところに住んでるとは思えんな。
ていうかハワードはこの王都とは別の町から来たって言ってたし。
じっと廃れた館を見ていたハワードが、意を決したようにその門へと手を伸ばした。
「ハワード」
「っ!?」
そこでとっさに俺はハワードを呼んでしまった。中に入られたら機会を失うと思ったから。
急な呼びかけに驚いて、本の入った袋を抱きかかえながらこっちを振り向いた。
「え!? リューマ君!? フランさんまで、え、どうして……」
驚くその顔に映るのはどういう気持ちなのか。
悲しみ、後悔、それらを綯い交ぜにしたような、何でそんな顔をするんだよ……。
「ごめんねハワード」
「悪い、後つけちまった」
「そ、そう……これは……」
バツの悪い顔をしてハワードが後ずさる。
その本が何なのか、異世界人の俺には分からん、でも。
「ハワード!」
「!?」
「図書館のあれから、お前の様子が何か、少し変だって気はしてた」
「……」
ハワードが静かに俺の言葉に耳を傾ける。
今はフランも黙って俺が話すのを聞いている。
「多分、その本の事なんだろ? 悪い、全部燃えたって言葉、聞こえた……」
「そう……」
「お前に過去に何かあったかは、俺には分からない、けど」
ゆっくり、慎重に言葉を選ぶ。
「お前と出会って、ダチになって、ハワードは俺の事、いろいろ手伝ってくれた、感謝してる」
広過ぎる校舎を地図を使って探索した。
教科書の翻訳を手伝ってくれた。
この世界の事を教えてくれた。
まだ、これっぽっちしかないが、ないかもしれないが、誰も知らない、何も知らない世界に放り出された俺にとって、そういう人に出会えるのは本当にうれしかった。
「だから、何かあったんなら、いつでもいい、俺に相談してくれないか?」
「……」
「助けられてばっかじゃあ、な、俺じゃ何の役も立たねえと思うけど、何か、恩返しというか」
いかん、こんなことは初めてだからなんて言ったらいいのかどんどん言葉が詰まってくる。
「とりあえず、一人で抱え込むのはよくないぜ、誰かに話してみるのもいいと思うぞ? 大丈夫、俺は口が堅いことで有名だ、いつでも聞いてやる」
「そんなこと聞いたことないよ?」
おうフラン余計なこと言わんでよろし。
付き合いに弱いも薄いも短いも関係ない、俺はハワードのために何かしてやりたい。
「……ありがとう、リューマ君」
「おう」
きゅっと真ん中によっていた眉が解けて表情が柔らかくなる。
説得成功、かな?
「少し、歩こうか」
「ああ」
「うん」
俺たちはその場から離れて、来た道を戻っていた。
周りは静かだが、遠くに見える市場は人通り多く、活気が目に見えるようだった。
「リューマ君、フランさん」
「なんだ?」
しばらく歩いた俺たちは並んであるベンチに座って、その時を待っていた。
そしてハワードが決心して口を開く。
「僕は、あの家で生まれたんだ」
「あの家、ハワードのお家だったの?」
フランの問いにハワードが頷く。
「それじゃあハワードって貴族の人?」
「元、ね、8年前に潰れたんだ……」
元、とハワードは言った。
ここに生家があるのに、他のところから来たというのもそこに関係があるのか?
「僕の父さんは、有名な魔導士で、昔は神童って呼ばれてたし、騎士団に入ってからも、討伐や攻略、救助で数多くの実績を残してきた、でも……父さんは何時からか、ある魔法の研究に没頭していったんだ」
ある魔法の研究……。
俺はハワードが手に持ってずっと眺めているあの本に目を移した。
構造変形について。
「それが、この本の事なのか?」
「うん、構造変形、端的に書いてはいるけど、この研究の正体は、魔力による生物の魔物化についてなんだ」
魔物化、魔物学の先生も言っていたが、魔物は魔力を持つ生き物だと。
そこで二日目の授業辺りに聞いたのだ。魔力を持たない生物が魔力を持つと魔物になるのかと。
答えはYESだった。
魔物ではない通常の生物も何らかの要因で魔力を内包すれば魔物になり、その影響で体が変形して別の生き物のようになると教えてくれた。
ハワードの親父さんが調べたのは、おそらくその事だろう。
「そして父さんは、そのために動物を使って魔物化の研究をした。動物にいろんな方法で魔力を与えて、魔物化させようとした。そして、魔物化に成功した……」
言葉がとぎれ、本を持っている手に力が入った。
今は何も言わずに、ハワードがまた話し出すのを待つ。
「……父さんは、成功して、次に……研究対象を変えた、…………人間に」
「っ!?」
人間に……だと!?
つまりそれは、人間を魔物化させるってことか?
「父さんは自分の体を使って、人体の魔物化の研究を続けたんだ」
「ハワードのお父さんは、なんで……そんなことしたの?」
フランがたまらず質問を挟んできた。
「分からない、父さんが何でこんなことを研究し始めたのか」
「ハワードの親父は、何も教えてくれないのか?」
「うん、ただ、人を助けるための研究だって言ってた」
人を魔物化させることが?
「でも、8年前、この研究をしていることが、イシュベル教のブノワ派にばれた」
「イシュベル教?」
確か、この国の宗教で、一番信者の多い宗教だったっけ?
「イシュベル教は、人は神の姿を借りてこの世に生まれる、加護は神が与えた神の分身である証、って言う宗教なんだ」
「結構ざっくりした教えだな」
「僕は無宗教だから詳しくは分からないんだけど、その宗教は人の体を傷付けることは神に傷をつけることだとして、その行為を最も重い罪だとしてる。実際にはそこまでぎちぎちに縛るような教えじゃなくて、だから他人を傷つけてはいけない、自らを傷つけてはいけないと当たり前のことを説く、そういう宗教だったんだ」
言ってることは分からんでもない。
誰だって傷つきたくないし、ごく一部を除いて誰かを傷つけるようなことはしたくないと思うだろう。
「でもその中に、それを曲解して教えを広める派閥がいるんだ、それがブノワ派」
「そいつらは何かヤバいのか?」
「過激派とも呼ばれてる、彼らは自分たちの事をそうは言わないけど。ブノワ派は、人は神と同じ姿している、故に傷つけてはならない、変えてはならない、なぜなら私たちは神の一部なのだから」
「神の一部て……」
なぜそうなった?
姿を模して生み出される、そこは分からんでもないが何故一部分化してる?
「そしてそれは傷をつけることだけにとどまらない、体を鍛えることもダメだし、もし事故などで体に傷がついたしてもそれを治すのもダメ」
もはやその時点で意味が分からない。
互いを傷つけあってはならないという元の教えから、なぜ鍛える努力、傷の治療まで禁止するのか。
それじゃあ助けられる奴を見殺しにするつもりか?
それを説くやつの頭の中はお花畑なのか。
「だから、それを犯した者は、神として神罰を下す」
「ん? 信者が?」
「うん」
ずいぶん図々しい考えだ。ていうか神としてって。
一瞬にして一部から神にすり替わってるし、どうなってんだこれ。
だが、そのブノワ派ってのが、人体に影響を与える様なことを禁止してるんなら……。
「そのブノワ派が、父さんが魔物化についての研究をしていると、どこかで聞きつけた。そして8年前、ブノワ派はあの家を襲撃した」
「襲撃した……ってハワードの家を!?」
奴らが過激派と言われるのはそれの所為か。
「母さんは、その襲撃で、僕を逃がすためにかばって殺された。父さんは、ブノワ派の連中に捕まって……」
ハワードが声を震わせながら言葉を紡ぐ。
その眼尻のは涙が溢れていた。
フランがそっとハワードの肩を抱き寄せる。
「ハワード……無理に話そうとしなくてもいいよ……」
「ごめん、でも……ちゃんと、最後まで話したいんだ……」
「うん……」
抱き寄せる手を放してハワードの言葉を聞き入れ俺を見るフランに、俺はただ頷いた。
「……捕まった父さんは、三日後、処刑された。裁判にかけられることなく、衆人環視の前で……」
「……」
「……そんな」
俺は、何も言えなかった。
ハワードの過去が、あまりにも……辛いから。
「父さんの研究資料や、エルヴェシウス家のものは、ブノワ派に全て燃やされた。ひとつ残らず、エルヴェシウス家に関わる物は全て消された。エルヴェシウス家は、神に背き、神聖なる神の体を踏みにじった汚らわしい家系だと。父さんは、人を魔物に変える悪魔だと」
その後、国に対して強力な発言権を持つブノワ派の筆頭は、エルヴェシウス家を取り潰しにさせた。
そして何とか生き延びたハワードは、助けに来た父の友人であるダリルソン家に引き取られた。
今はエルヴェシウスの悲劇と言われるその事件から遠ざけるように。
そこまで話して、ハワードの声にいつもの声色が戻る。
「もう8年も前だけど、父さんと母さんには魔法の勉強を見てもらってたんだ。教えてもらった難しい魔法ができると褒めてもらうのがすごくうれしかった」
「ハワード……」
「まだまだたくさん教えてほしい事があった、もう昔の事だけど、思い出すとやっぱり……。リューマの事、聞いた時、他人の事じゃないように聞こえて、何とかしてあげたいって思って」
だから、そんなことがありながら、ハワードは……。
「んん、ごめんね、なんかこういうこと人に話すの初めてで、順を追ってきちんと話したいけど……どう話したらいいか分かんないや」
涙をぬぐって無理矢理笑顔を作るハワード。
こいつは……いいやつ過ぎる。
「お人よし過ぎるよ……お前は……」
「リューマ君だって、そうじゃないか」
笑うような場面じゃない、けど、なぜか自然に笑みがこぼれた。
ハワードと分かりあえたことが嬉しいのかもしれない。
「ハワードは、お父さんのこと、信じてる?」
「フラン?」
フランが立ち上がってハワードに問いかけた。
じっと見つめるフランにハワードは力強く頷いた。
「うん。父さんのこと、父さんがあの研究を人を助けるためだって言ったことは本当なんだって、信じてる」
「じゃあハワードのお父さんは、悪魔でも、汚い人でもないよ。だって、今お父さんの事を一番知ってるハワードがそう言うんだもん。だから、ハワードは、お父さんのこと、悪魔とか、汚いとか言っちゃダメ」
フランの根拠のなさそうな自身に溢れた目。
それなのに、無駄に前向きだから。
「ありがとう、フランさん。そうだよ、僕が言っちゃだめだよね、父さんはそんな人じゃ無いって言わなきゃ」
「ふふん、私いいこと言ったでしょ!」
胸を張るな踏ん反り返るなドヤ顔すんな。
「今ので台無しだよ!」
「ははは、フランさんらしいね」
つい口を出して突っ込んでしまった。
空気を読めお前は!
ぐ~~。
っておいフラン!
「わた、私じゃないよ!?」
いきなり聞こえた腹の虫の鳴き声に、さっきまで漂っていた暗い雰囲気が霧散していく。
フランの頭をわしわしかき回してるとハワードがそっと手を挙げた。
「ごめん、これ僕」
「ハワードかい!」
「も~……そう言えばまだお昼まだ食べてないね」
フランが髪を直しながら思い出したように言う。
「僕もそうだった、それじゃあ食べに行こうよ」
「ああ、そうするグ~~…………」
「……」
おうなんよ。こっち見んなや。
「リューマ、今すぐワシワシして上げるから頭を出しなさい」
「断固拒否する」
「まあまあ、早く行こうよ」
フランと取っ組み合いを開始する前に間にハワードが入ってくれた。
さっそく昼飯を食べるために商業区に進む。
「リューマ君」
「ん?」
「実はまだ、話してないことがあるんだ、でも……」
「でも?」
再び言いよどむハワード。
でも、その顔はもう辛そうじゃなかった。
「今はまだちゃんと制御できてないから、また今度話すよ」
「……正直暗い話はもう勘弁だ」
「でも、聞いてくれるんでしょ?」
「ああもちろん」
制御ってのが気になるが、まあその辺も含めて、また話してもらおう。
「聞いてくれてありがとう」
「どういたしまして!」
フランが言うんかい!
そうして俺たちは、賑わいながら昼下がりの市場へと入っていった。
ただ一つ、後ろにいた一つの影を残して――――。
~~~~~~
「うわぁっ!?」
時刻は十二時、場所は学校の食堂。
多くの腹を空かせた学生たちで込み合うそこに、皿の割れる音が響き渡る。
「大丈夫かハワード!」
「う、うん」
俺は押し倒されたハワードに駆け寄った。
ハワードが一人の学生に押し出されたのだ。
「ちょっと何するの!? 危ないじゃない!!」
フランが声を荒げてその生徒に注意する。
俺はそいつを見て驚愕した。
「見つけたわ、汚らわしいエルヴェシウスの生き残り……!!」
「っ!?」
手を貸すハワードの肩が震える。
だが俺は、あの生徒の顔から目が離せなかった。
「お前は……」
あの中庭にいた女子生徒だった。
文言追加微調整
シリアスって難しいです




